SlideShare une entreprise Scribd logo
1  sur  25
Télécharger pour lire hors ligne
関西大学
福元 颯,○高橋 知奈,松下 光範,山西良典
料理レシピ特徴に基づく料理-器関係の獲得
[4J1-OS-25a-02] 食とAI(1/2)
2/22
背景
u QOLを高める食事には美味しさだけでなく「見た目」も重要
- Instagram などのSNSが「料理の見映え」を加速
見映えの要素である料理の盛り付けや食器の選択などが重要視
食事を通じたQOLの向上
QoD(Quality of Dish)
3/22
QOD(食事や料理の質)を向上させる
https://fundo.jp/328163
問題
4/22
料理の知識・経験や美的感覚がない人にとって
料理にあった器を選択することは困難
この料理と相性の良い器は?
最終目標
5/22
料理に適した器の選択を支援するシステムの実現
器推薦
器選択支援システム
これまでの取り組み
6/22
・機能的側面
利用目的や料理の性質から器を選択
・美的側面
人の美的感覚から器を選択
形状
形体情報 美的情報
器の属性を考慮した2つの器選択方法を定義
そもそも人間はどういう風に器を選択しているのか
これまでの取り組み
7/22
STEP1: 料理情報と器情報をそれぞれ機械可読なデータに変換
STEP2: 変換された料理情報と器情報の関係性の対応づけ
001
サイズ
⻑辺 短辺 ⾼さ 丸 ⾓ 花 陶器 磁器 ガラス
形状 材質
15.0 15.0 2.0 1 0 0 1 0 0
器情報の例
料理情報 器情報
対応付け
dish_ID
システム化に向けたプロセス
これまでの取り組み
8/22
STEP1: 料理情報と器情報をそれぞれ機械可読なデータに変換
→楽天市場データセットを用いて半自動的に抽出が可能
STEP2: 変換された料理情報と器情報の関係性の対応づけ
E
C
サ
イ
ト
「パスタ」の文字が商品説明文に
含まれていた器の情報100件
dish_ID
個々の料理には,どのような器の属性値を持った器が用いられるのかを明らかにした
https://www.nii.ac.jp/dsc/idr/rakuten/
これまでの取り組みにおける課題点
9/22
STEP1: 料理情報と器情報をそれぞれ機械可読なデータに変換
STEP2: 変換された料理情報と器情報の関係性の対応づけ
uパスタやシチュー,煮物などの抽象的な料理名
u楽天の商品説明文に記述されている料理名に限定される
u料理名がついていない料理に対応できない
料理情報として,ベクトル化したレシピデータを用いる
レシピ特徴ベクトル
アイデア
10/22
なぜレシピデータを用いるのか
食材の色は
器の色に影響を与える
水の量は
形状に影響を与える
火を使うか使わないかは
材質に影響を与える
材料の分量は
サイズに影響を与える
https://cookpad.com/recipe/3927860
アイデア
推定
料理情報としてレシピ特徴ベクトルを用い,
それを入力とした際の器の属性値を推定
レシピ特徴ベクトル 器の属性値
11/22
https://cookpad.com/recipe/2882320
本稿での検証
3層
ニューラル
ネットワーク
レシピ特徴ベクトル
• 食材
• 調理動作
器の属性値
• 形状
器の形状(平皿または深皿)を推定するには
どのようなベクトル表現を用いるべきかを検証
平皿
深皿
ベクトル化
12/22
レシピ特徴ベクトルの生成
u Flow Graph Corpus from Recipe Texts(Moriら, 2014)
- 料理レシピを用いて手順を示したフローグラフから手順を示す文を自動生成する手法を提案
クックパッドデータセット
- 15カテゴリ(77,567レシピ)
用いたレシピデータ
レシピ特徴(食材・調理動作)抽出
クラス 意味
F 食材
Ac 調理動作
13/22
Mori, S., Maeta, H., Yamakata, Y. and Sasada, T.: Flow Graph Corpus from Recipe Texts., The International Conference on Language Resources and Evaluation, pp. 2370‒ 2377 (2014).
https://www.nii.ac.jp/dsc/idr/cookpad/
レシピ特徴ベクトルの生成
バイナリ
14/22
レシピ特徴ベクトルの生成
バイナリ
15/22
u調理動作(茹でる,炒める,切る,混ぜる)
Acf-bv = (1,0,0,・・・,1)
u食材+調理動作(じゃがいも,にんじん,玉ねぎ,炒める,茹でる,切る)
Facf-bv = (1,1,1,1,0,・・・,1)
レシピ特徴ベクトルの生成
有向関係
16/22
正解データの作成方法
カテゴリごとで平皿と深皿にアノテーション
https://cookpad.com/category/list
ごはんもの
麺
シチュー・スープ・汁物
鍋もの
パスタ・グラタン
野菜のおかず
お肉のおかず
魚介のおかず
たまご・大豆加工品
サラダ
ソース・ドレッシング
乾燥・乾物・こんにゃく
コロッケ・メンチカツ
粉もの
ヘルシーおかず
深皿
平皿
u ごはんもの
- どんぶりもの
- リゾット・雑炊類
- 炊き込み・混ぜご飯
u 上記以外
u パスタ・グラタン
- スープパスタ
- グラタン
- ラザニア
u 上記以外
深皿
深皿
平皿
平皿
17/22
3層NNを利用し器の属性値を推定
https://cookpad.com/category/list
モデル設定
学習方法
18/22
レシピ特徴ベクトルごとの精度比較
https://cookpad.com/category/list
器の属性値を表現するレシピ特徴は食材+調理動作(FAcf)
19/22
結論
https://cookpad.com/category/list
器の属性値を表現するレシピ特徴は食材+調理動作(FAcf)
3層
ニューラル
ネットワーク
レシピ特徴ベクトル
• 食材
• 調理手順
器の属性値
• 形状
平皿
深皿
組み合わせて7種で
ベクトル化
20/22
展望
https://cookpad.com/category/list
形状以外の器の属性とレシピ特徴ベクトルとの対応付け
• サイズ → 食材の量
21/22
• 材質 → 調理動作
• 色 → 食材
u 本稿で扱ったデータでできること
u 今後データを追加することでできるようになること
u 料理に対しての器の提案
肉じゃがを盛り付けるにはこういう器が合う
u 意外性がある器の提案
典型的な器でないものを意外性がある器と仮定
u 器に対しての料理名の提案
この器にはカルボナーラ・焼きそばと合う
応用例
22/22
器選択支援システムを用いることでできるようになること
- QOLを高める食事には美味しさだけでなく「見た目」も重要
背景
- 見映えの要素である食器の選択が重要視
今回の検証
アイデア 料理情報としてレシピ特徴ベクトルを用い,それを入力とした際の器の属性値を推定
器の形状(平皿または深皿)を推定するにはどのようなベクトル表現を用いるべきかを検証
展望
u サイズ→食材の量
u 材質→調理動作の中の火力
u 色→食材の色
形状以外の器の属性と
レシピ特徴ベクトルとの対応付け
問題 料理の知識・経験や美的感覚がない人にとって料理にあった器を選択することは困難
提案手法
最終目標 料理に適した器の選択を支援するシステムの実現
応用例
u 料理に対しての器の提案
u 器に対しての料理の提案
u 意外性がある器の提案
HayateFukumoto_jsai2022
HayateFukumoto_jsai2022

Contenu connexe

Plus de Matsushita Laboratory

松下研究室紹介_関西大学高槻キャンパスオープンキャンパス
松下研究室紹介_関西大学高槻キャンパスオープンキャンパス松下研究室紹介_関西大学高槻キャンパスオープンキャンパス
松下研究室紹介_関西大学高槻キャンパスオープンキャンパス
Matsushita Laboratory
 
ChinaTakahashi_Exploration cycle finding a better dining experience: a frame...
 ChinaTakahashi_Exploration cyclefinding a better dining experience:a frame... ChinaTakahashi_Exploration cyclefinding a better dining experience:a frame...
ChinaTakahashi_Exploration cycle finding a better dining experience: a frame...
Matsushita Laboratory
 
効果音と抽象図形の動作の組み合わせによる印象変化に関する研究
効果音と抽象図形の動作の組み合わせによる印象変化に関する研究効果音と抽象図形の動作の組み合わせによる印象変化に関する研究
効果音と抽象図形の動作の組み合わせによる印象変化に関する研究
Matsushita Laboratory
 
RyotaHiguchi_MasterThesis2023
RyotaHiguchi_MasterThesis2023RyotaHiguchi_MasterThesis2023
RyotaHiguchi_MasterThesis2023
Matsushita Laboratory
 
携帯端末を用いたポインティングによる室内空間でのアドホックな情報アクセス手法に関する研究
携帯端末を用いたポインティングによる室内空間でのアドホックな情報アクセス手法に関する研究携帯端末を用いたポインティングによる室内空間でのアドホックな情報アクセス手法に関する研究
携帯端末を用いたポインティングによる室内空間でのアドホックな情報アクセス手法に関する研究
Matsushita Laboratory
 

Plus de Matsushita Laboratory (20)

TaketoFujikawa_10thComicComputing2023
TaketoFujikawa_10thComicComputing2023TaketoFujikawa_10thComicComputing2023
TaketoFujikawa_10thComicComputing2023
 
SayakaHayashi_FIT2023
SayakaHayashi_FIT2023SayakaHayashi_FIT2023
SayakaHayashi_FIT2023
 
松下研究室紹介_関西大学高槻キャンパスオープンキャンパス
松下研究室紹介_関西大学高槻キャンパスオープンキャンパス松下研究室紹介_関西大学高槻キャンパスオープンキャンパス
松下研究室紹介_関西大学高槻キャンパスオープンキャンパス
 
ReonHata_JSAI2023
ReonHata_JSAI2023ReonHata_JSAI2023
ReonHata_JSAI2023
 
HarukiShinkawa_FIT2023
HarukiShinkawa_FIT2023HarukiShinkawa_FIT2023
HarukiShinkawa_FIT2023
 
ChinaTakahashi_Exploration cycle finding a better dining experience: a frame...
 ChinaTakahashi_Exploration cyclefinding a better dining experience:a frame... ChinaTakahashi_Exploration cyclefinding a better dining experience:a frame...
ChinaTakahashi_Exploration cycle finding a better dining experience: a frame...
 
TaketoFujikawa_KES2023
TaketoFujikawa_KES2023TaketoFujikawa_KES2023
TaketoFujikawa_KES2023
 
Unification of Terminology for Accurate Communication among Experts --- Basic...
Unification of Terminology for Accurate Communication among Experts --- Basic...Unification of Terminology for Accurate Communication among Experts --- Basic...
Unification of Terminology for Accurate Communication among Experts --- Basic...
 
JSAI2023_企画セッション(仕掛学)資料
JSAI2023_企画セッション(仕掛学)資料JSAI2023_企画セッション(仕掛学)資料
JSAI2023_企画セッション(仕掛学)資料
 
触感に関わる共感覚的表現と基本6感情の対応関係の検証
触感に関わる共感覚的表現と基本6感情の対応関係の検証触感に関わる共感覚的表現と基本6感情の対応関係の検証
触感に関わる共感覚的表現と基本6感情の対応関係の検証
 
レシピの手順に着目した 複数の器特徴の推定
レシピの手順に着目した 複数の器特徴の推定レシピの手順に着目した 複数の器特徴の推定
レシピの手順に着目した 複数の器特徴の推定
 
TaketoFujikawa_comic2023
TaketoFujikawa_comic2023TaketoFujikawa_comic2023
TaketoFujikawa_comic2023
 
複数の質感を複合的に提示可能な触覚提示デバイス
複数の質感を複合的に提示可能な触覚提示デバイス複数の質感を複合的に提示可能な触覚提示デバイス
複数の質感を複合的に提示可能な触覚提示デバイス
 
効果音と抽象図形の動作の組み合わせによる印象変化に関する研究
効果音と抽象図形の動作の組み合わせによる印象変化に関する研究効果音と抽象図形の動作の組み合わせによる印象変化に関する研究
効果音と抽象図形の動作の組み合わせによる印象変化に関する研究
 
RyotaHiguchi_MasterThesis2023
RyotaHiguchi_MasterThesis2023RyotaHiguchi_MasterThesis2023
RyotaHiguchi_MasterThesis2023
 
携帯端末を用いたポインティングによる室内空間でのアドホックな情報アクセス手法に関する研究
携帯端末を用いたポインティングによる室内空間でのアドホックな情報アクセス手法に関する研究携帯端末を用いたポインティングによる室内空間でのアドホックな情報アクセス手法に関する研究
携帯端末を用いたポインティングによる室内空間でのアドホックな情報アクセス手法に関する研究
 
Kokogatari:実環境を介したリレー小説執筆ツール
Kokogatari:実環境を介したリレー小説執筆ツールKokogatari:実環境を介したリレー小説執筆ツール
Kokogatari:実環境を介したリレー小説執筆ツール
 
Visualization of the Relationship Between Lectures and Laboratories Using SSNMF
Visualization of the Relationship Between Lectures and Laboratories Using SSNMFVisualization of the Relationship Between Lectures and Laboratories Using SSNMF
Visualization of the Relationship Between Lectures and Laboratories Using SSNMF
 
iiWAS2022_Miyagawa
iiWAS2022_MiyagawaiiWAS2022_Miyagawa
iiWAS2022_Miyagawa
 
reIDR2022_takahashi.pdf
reIDR2022_takahashi.pdfreIDR2022_takahashi.pdf
reIDR2022_takahashi.pdf
 

HayateFukumoto_jsai2022