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はじめに
• 私は10年ほど前に「TOC思考プロセス」と出会い、人生の様々な場面で活用してまいりました。
• TOC思考プロセスの活用は私を有意義で充実した人生へと導いてくれています。
• このレポートは、私がどのような場面でTOC思考プロセスを活用し、どのような成果を上げてきたのか
を皆様に知っていただくことを目的に作成いたしました。
• このレポートを通じて多くの方がTOC思考プロセスに興味を持ってくださることを願っています。
• 人生をもっと有意義で充実したものにしたいと願う方、現在かかえている悩みやストレスから解放され
たいと願う方にぜひ読んでいただきたいと考えています。
• この資料は多くの方に読んでいただくために作成しておりますので、お知り合いの方にもご紹介して
いただければ幸いです。ただし、ご紹介いただく際にはご自身がよく資料に目を通していただき、「事
例Ⅲ(職場でのTOC思考プロセス活用)」の私の当初の失敗のように、不適切な場面での提案になら
ないよう十分注意した上で、適切だと判断された場合にのみご紹介いただければと考えております。
このレポートの目的
5. 5
はじめに
• 「TOC思考プロセス」とは、TOC(Theory of Constraints: 制約理論)の創始者であり、『ザ・ゴール』の
著者としても有名なエリヤフ・ゴールドラット博士が中心となって開発した「論理思考ツール」です。
• 私はTOC思考プロセスについて下図のようなイメージをもっています。
• TOC思考プロセスは、いくつかの「ツール」から成り立っていますが、そのツールは数学で使う「方程
式」のようなものであると思います。
• 現状のありのままを、「思考プロセスのツール = 方程式」に当てはめると、「解 = ソリューション」を
得ることができます。そしてそのソリューションを実践すると、パフォーマンスを改善することができると
いうイメージです。
TOC思考プロセスのイメージ
TOC思考
プロセスの
ツール
現状 ソリューション パフォーマンス
改善
7. 7
事例Ⅰ TOC思考プロセスとの衝撃的な出会い
• 私にTOC思考プロセスのツールを教えてくださっているのは、株式会社ジュントスの白土竜馬氏です。
• 私が最初にTOC思考プロセスに出会ったのは、10年ほど前に白土氏にTOC思考プロセスの代表的
なツールである「クラウド」のことを教えていただいたときです。
• 当時私は大学を卒業して証券会社に入社したばかりのころでした。白土氏は私の当時の悩みを聞い
て、次頁のようなクラウドを作成してくれました。
• 新入社員である私は、下記のような悩みを抱えていました。
仕事をする上で、分からないことはたくさんあります。分からないことは先輩に聞くと早く解決で
きるのですが、先輩は営業ノルマを抱えていつも忙しそうにしていて、時間を取らせてしまうの
は申し訳ないという気持ちがありなかなか聞くことができません。
また、新入社員研修では、「分からないことは社内の『規定集』をみて調べること」と指導を受け
ていました。そこで、『規定集』を調べるのですが、そもそも『規定集』のどこを見ればよいのか
が分からず、『規定集』を読んでいるうちに時間ばかり経ってしまい作業が進まず、「私は仕事
ができない」と落ち込んでいく・・・といった状況でした。
• なお、このレポートでは、ツールを使った場面とその成果のみをご説明し、ツールの使い方のご説明
は割愛しておりますのでご承知おきいただいた上でご覧いただければと存じます。
クラウドとの出会い
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事例Ⅰ TOC思考プロセスとの衝撃的な出会い
• 前頁のジレンマを「クラウド」として表現したのが下記の図です。
• 自分の仕事を前に進めるためには(B)、分からないことを先輩に尋ねる(D)必要があります。
• しかし、いつも忙しそうにしている先輩と良好な関係を保つために(C)、分からないことを尋ねることが
できない(D’)というジレンマです。
• 私が職場でパフォーマンスを高める(A)ためには、(B)、(C)の両方を満たすことが大切であるため、
(D)と(D’)の間でいつも迷っているという状況を表しています。
新入社員のクラウド
A:目的
現在の職場でパ
フォーマンスを高める
B:ニーズ
自分の仕事を前に進
める
D:行動
分からないことを先輩
に尋ねる
C:ニーズ
先輩との良好な関係
を保つ
D’:行動
分からないことがあっ
ても先輩に尋ねない
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事例Ⅰ TOC思考プロセスとの衝撃的な出会い
• 前頁のソリューションを見られた方の中には、「そんなの当たり前ではないか?」と思われる方もい
らっしゃるかと思います。
• TOC思考プロセスで作成したソリューションは、当たり前のことが出てくることが多くあります。
• 重要なのは、それまでその「当たり前のこと」に気付いていなかった自分が、TOC思考プロセスを使っ
て分析を行う過程でその「当たり前」に気付くことができるということです。
• もし当時の私が、私の悩みを誰かに話して、「先輩が気持ちよく答えてくれるように上手に質問すると
いいよ。」とのアドバイスを受けたとしても、そのアドバイスをうまく受け入れることはできず聞き流して
しまっていただろうと思います。
• TOC思考プロセスのツールを使う過程で、自分自身の現状について自分自身に問いかけ、自分自身
の中に潜む「間違った考え方(マインドセット)」に自分自身で気づくことができるのです。そして正しい
マインドセットを受け入れることができて初めて、ソリューションを心の底から受け入れ、自分自身の
行動を変えることができるようになるのです。
ソリューションを導く過程での「気づき」
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事例Ⅰ TOC思考プロセスとの衝撃的な出会い
• 今回の事例での私のマインドセットの変更は下記のようなものでした。
• この件に関してTOC思考プロセスを使う前の私は、自分が分からないことを先輩に聞かないのは、
「忙しくしている先輩に迷惑をかけないため」と思っていました。確かにそれも事実なのですが、ソ
リューションを導く過程で、自分自身の奥底に潜む本当の考え方が浮き彫りになってきました。
• 私は先輩に聞くのが、「恥ずかしく、悔しい」と思っていたのです。その思いが私が正しい行動をとるこ
とを阻害していたのです。
• そして、自分自身が先輩に質問をすることを好意的に捉えることができれば、先輩も余裕があれば後
輩の指導をしたいと思っているということにも気づくことができました。
マインドセットの変更
【TOC思考プロセスを使う前】
先輩に聞くことは、自分が仕事ができないと言っているようで恥ずかしく、悔しい
先輩はいつも忙しく、後輩に質問をしてほしくないと思っている
【TOC思考プロセスを使った後】
分からないことを先輩に尋ねるのは恥ずべきことではない
先輩は、いつも忙しくしているわけではなく、余裕があるときは後輩の指導をしたいと考えている
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事例Ⅰ TOC思考プロセスとの衝撃的な出会い
• 前頁の行動の変化を起こすことによって、私自身のパフォーマンスは下記のように変化しました。
• TOC思考プロセスによる分析を行う前は、仕事が分からずいつもイライラしていて職場に馴染めてい
ない状況でしたが、ソリューションを実行するうちに、状況が大きく変わってきました。
• 仕事で分からないことがあればすぐに先輩に教えてもらえるようになり、仕事がスムーズに進むように
なり、先輩からも可愛がられるようになりました。
• その後、徐々に重要な仕事を任されるようになり充実した社会人生活を送ることができました。
パフォーマンスの改善
【TOC思考プロセスを使う前】
事務手続きが分からず作業が前に進まなくて、いつもイライラしていた
職場に馴染めず、疎外感を感じていた
【TOC思考プロセスを使った後】
自分の仕事がスムーズに進むようになった
先輩から可愛がられるようになった
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事例Ⅱ 長年抱えてきた対立の解消
• そして、前頁のクラウドから私が導き出したソリューションは下記の通りです。 (※詳細は後述します
が、実はこのクラウドは正しく書けていません。)
• それまで、「一度仕事を辞めてしまったら社会復帰など無理」と考えていたのですが、上記のクラウド
からソリューションを出すことで、「一度、仕事を辞めても、資格取得など次のキャリア形成のための
勉強をしていれば、再びキャリア形成することができるだろう」と考えるようになったのです。
クラウドから導き出したソリューション
A:目的
充実した人生を送る
B:ニーズ
彼と結婚する
【 ソリューション 】
私は、一度仕事を辞め
て次のキャリア形成の
ための勉強をすること
ができているC:ニーズ
キャリアのある人生を
送る
18. 18
事例Ⅱ 長年抱えてきた対立の解消
• 前頁のソリューションを実行し、私は仕事を辞めて彼と結婚をしました。
• そして結婚後すぐに税理士試験の勉強を始めました。夫は、「自分と同じ会社でなければ仕事をして
もいい。ただし、子供ができて子供が小さいうちは家にいてほしい。」という考え方で、税理士試験の
勉強に応援も反対もしませんでした。
• 私は税理士試験の勉強をしながら就職活動をしていましたが、苦労して就職を決めた途端に、夫が
転勤になって内定を辞退せざるを得なくなったり、税理士の資格をとっても就職できるとは限らないと
いう現実を知ったりで、自分自身のキャリア形成に全く期待が持てなくなりました。
• 当時、私は1人で勉強をしていましたので、他人との関わりもなく、自分自身の将来に希望がもてず辛
い日々を過ごしていました。
• 前頁で出したソリューションは私の問題を解決するのに十分なソリューションではなかったようです。
後に分かったことですが、使うべきツールを間違っていたために適切なソリューションを出すことがで
きていなかったのです。
• 次頁でお示しするように取り扱う問題の種類によって使うべきツールが異なるのですが、私は使うべ
きツールを間違えてソリューションを出していたのです。
結婚後の状況
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事例Ⅱ 長年抱えてきた対立の解消
問題の種類によって使うべきクラウドが異なる
ジレンマ・クラウド : どの選択肢をとるべきか分からず悩んでいる状況を克服する
コンフリクト・クラウド: 自分と他者との間で起きた意見/利害の衝突を解決する
火消しのクラウド : 「火消し」をせざるを得なかった状況を分析し、再発を防止する
UDEクラウド : 繰り返し発生する問題や特定の課題に対処する
統合クラウド : 複数のUDEクラウドを統合し、システムの中核問題を解決する
葛藤/
意見の衝突
火消しの
状況分析
不特定だが
複数の問題
慢性的な問題/
特定の課題
発生頻度
抽
象
度
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事例Ⅱ 長年抱えてきた対立の解消
• そして、前頁のクラウドのソリューションは下記の通りです。
• その時に起こっていた様々な問題を解決するためには、まず「専業主婦」であるという現実を受け止
める必要があるということが分かりました。
• もし、私が「専業主婦」であるという現実を受け止めたうえで自己実現の方法が分かっていれば、日々
の生活を楽しむことができますし、自己実現をすることも可能になります。
• このソリューションを見たとき、「これが実現すれば本当に素晴らしい」と思う一方で、「そんなの無理
ではないか」という思いもありました。
クラウドから導き出したソリューション
A:目的
充実した人生を送る
B:ニーズ
日々の生活を楽しむ 【 ソリューション 】
私は、専業主婦であるという
現実を受け止めた上で、
自己実現の方法が分かって
おり、その状況を楽しむこと
ができる。C:ニーズ
自己実現をする
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事例Ⅱ 長年抱えてきた対立の解消
No. 障害 Show-
Stopper
成果物/ IO 阻害
要因
1 達成したい将来像が不明確で
ある
IO 2– 私は家族と自分自身の両方を
満足させる将来像を描くことができる
2 家族とのバランスのとれた
自己実現の方法が分からない X
IO 3- 現状から将来像を実現するた
めにいつ、何を、どのようにすれば達
成可能か明文化することができる
将来像の
欠如
3 私は「専業主婦」という言葉に
抵抗感を感じている X
IO4 - 私は専業主婦になった上での
自己実現の方法を見つけることで、
価値観を変えることができている。
価値観
4 私は周りの人に自分がどう思
われているか気になる
IO 5- 私は自分がやっていることの
意義を家族や友人や元同僚・上司に
自信をもって説明することができる
• ソリューションの実行可能性に懸念を持っていた私が、次に作成したのが、もう一つの思考ツールで
ある「中間目標マップ – IOマップ」です。
• IOマップを作成するにあたり、以下のフォーマットに従って、実行に向けた「障害」を明らかにしました。
以下は作成した表の一部です。
ソリューション実行に向けた「障害」の表面化
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事例Ⅱ 長年抱えてきた対立の解消
• 前頁の障害を明らかにする作業を通じて、私自身がどのようなマインドセットの変更を行わなければ
ならないのかが明らかになりました。それは下記の通りです。
• 通常、TOC思考プロセスを使って分析を行うと、ソリューションを出す過程で自分自身の捨てるべきマ
インドセットと新しく取り入れるべきマインドセットを認識することができます。そしてそれと同時にマイ
ンドセットの変更も自然にできることが多いです。
• しかしこの事例のケースでは私は容易にマインドセットの変更を行うことができませんでした。
マインドセットの変更
【捨てるべきマインドセット】
① 一度専業主婦になってしまったら、パート以外の仕事に二度と戻れない
② 自分の自己実現にとって夫の存在は邪魔にしかならない
③ 夫と私にとって両方プラスとなるような自己実現は存在しない
【新しく受け入れるべきマインドセット】
① キャリアをあきらめなければ専業主婦になっても、パート以外の仕事に戻れるかもしれない
② 夫の助けを借りることで私の自己実現は有意義なものになる
③ 私と夫にとって両方プラスとなるような自己実現は存在する
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事例Ⅱ 長年抱えてきた対立の解消
• 前述のように、私はソリューションを得てもすぐにそのソリューション及びマインドセットの変更を受け
入れることができませんでした。
• そこで私は新しいマインドセットを受け入れる努力を始めました。
• 最初に受け入れることができたのは、前頁①の「キャリアをあきらめなければ専業主婦になっても、
パート以外の仕事に戻れるかもしれない」でした。それまでの私は、「専業主婦になる」ということを、
「キャリアをあきらめ、社会復帰のための努力をやめる」と同義であると考えていました。その2つを切
り離して捉えることで、「専業主婦としての現在の自分」を受け入れた上で「キャリア形成の努力をしよ
う」と思えるようになりました。
• マインドセットの変更が難しかったのは、前頁の②「夫の助けを借りることで私の自己実現は有意義
なものになる」及び③「私と夫にとって両方プラスとなるような自己実現は存在する」でした。私は長い
間、私の仕事について夫と対立しており、実際に夫の強い希望や転勤によりキャリアを諦めてきた経
験から夫が私のキャリアを邪魔する存在として強く認識されていたのです。
• そこで私は新しいマインドセット②③を受け入れるために、次のようなことを夫の前で口に出すように
しました。
ソリューションを得た後の実践 ①
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事例Ⅱ 長年抱えてきた対立の解消
• 前述したマインドセットの変更及び行動の変化により、下記のようなパフォーマンスの改善を果たすこ
とができました。
• 結婚前から6年にわたって抱えてきた夫との対立を解消することができ、私は自分の人生に希望を持
てるようになってきました。
• ちょうどそのころ私は古い知人から就職先の紹介を受けました。私は「夫との対立は必ず解消できる」
との強い信念を持つことができていましたので、夫の反対意見を積極的に聞く姿勢で夫に就職につい
ての話をすることができました。夫は私の就職に反対することなく、私は無事に社会復帰を果たすこと
ができました。
パフォーマンスの改善
【TOC思考プロセスを使う前】
日常の中で辛いと感じることが多かった
現状の自分に不満を抱き、自分の将来に希望が持てなかった
【TOC思考プロセスを使った後】
日々の生活が楽しくなった
現状の自分に不満をいだかなくなり、自分の将来に希望が持てるようになった
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事例Ⅲ 職場でのTOC思考プロセス活用
• そして私は上記のようなクラウドを書きました。
• プロジェクトのパフォーマンスを高めるためにはプロジェクトマネジャーにTOC思考プロセスを使ってソ
リューションを出しなおすように提案する必要があります。
• しかし、新人の私が経験豊富なプロジェクトマネジャーのやり方を否定して新しいやり方を提案したり
すると、プロジェクトマネジャーの機嫌を損ねてしまうと思われます。
• その状況を表したのが上記のクラウドです。
TOCの提案に関するクラウド
A:目的
現在の職場で成功す
る
B:ニーズ
プロジェクトのパ
フォーマンスを高める
D:行動
プロジェクトマネジャー
にTOC思考プロセス
を使おうと提案する
C:ニーズ
プロジェクトマネジャー
との良好な関係を維
持する
D’:行動
プロジェクトマネジャー
にTOC思考プロセス
を使おうと提案しない
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事例Ⅲ 職場でのTOC思考プロセス活用
• そして、前頁のクラウドのソリューションは下記の通りです。
• 最初にこのソリューションを出したとき、そのソリューションに納得できずに何度か同様のクラウドを書
いたのですが、結果は同じでした。
• 「TOCを提案したい」という強い気持ちがあったのですが、「TOCを提案してはならない」とのソリュー
ションが出たのです。
• 後に分かったことですが、私が直面したこの問題はTOC思考プロセスを学ぶ多くの人が直面する問
題で、上記のソリューションはTOCを学ぶ方々が知っておくべき重要なソリューションであるようです。
クラウドから導き出したソリューション
A:目的
現在の職場で成功す
る
B:ニーズ
プロジェクトのパ
フォーマンスを高める
【 ソリューション 】
私は、TOCの提案をしようと
することをやめ、プロジェクト
マネジャーから指示された仕
事を、指示されたやり方で、
速く正確に遂行することがで
きている
C:ニーズ
プロジェクトマネジャー
との良好な関係を維
持する
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事例Ⅲ 職場でのTOC思考プロセス活用
• 今回の事例での私のマインドセットの変更は下記のようなものでした。
• 私は事例Ⅱの経験から、「TOC思考プロセスを使えばどんな問題も解決することができる」と考えてい
ました。しかし、この時の私には「他人や組織が抱える問題を解くことを支援する能力はまだ備わって
いない」という現実を直視する必要がありました。
• 私のすべきことは、プロジェクトマネジャーの指示に的確に従い、プロジェクトマネジャーの求めるやり
方でプロジェクトに貢献することであるという認識ができました。
マインドセットの変更
【TOC思考プロセスを使う前】
TOC思考プロセスを使えばどんな問題でも解決することができる
私はプロジェクトのパフォーマンスを改善する方法を自ら考え提案しなければならない
【TOC思考プロセスを使った後】
解こうとする問題が自らの責任範囲外ならば、TOC思考プロセスをむやみに使ってはいけない
(もし本当に解決するのであれば、それ相応の高度な知識とスキルが求められる)
私はプロジェクトマネジャーの求めるやり方でプロジェクトに貢献しなければならない
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事例Ⅲ 職場でのTOC思考プロセス活用
• 前述のソリューションを得て私は下記のように行動を変化させました。
• 私は職場でTOCについて提案しようと試みることをやめ、プロジェクトマネジャーのやり方に従うように
行動を変えました。
• プロジェクトマネジャーが考えるソリューション案に疑問があってもプロジェクトマネジャーから意見を
求められない限りは疑問を投げかけることはしませんでした。
• プロジェクトマネジャーが私に指示する仕事は、データを入力したり、プロジェクトマネジャーの立てた
仮説に沿う情報を収集したり、それを資料として纏めたりすることでしたので、その作業を速く正確に
遂行するように努めました。
行動の変更
【TOC思考プロセスを使う前】
TOC思考プロセスを使って自分なりにプロジェクトのソリューションを出す作業をする
プロジェクトマネジャーに自分のソリューションを提案しようと試みる
【TOC思考プロセスを使った後】
仕事中にTOC思考プロセスを使うことを止める
プロジェクトマネジャーに指示された仕事を指示された通りに遂行する
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事例Ⅲ 職場でのTOC思考プロセス活用
• 前頁の行動の変化によって、下記のようなパフォーマンスの改善を果たすことができました。
• ソリューションを得たことで、私はそれまでの自分自身のパフォーマンスが低かったことに気付きまし
た。私はプロジェクトマネジャーの考えに疑問を抱き、別の案を提案しようと思案していたため、プロ
ジェクトマネジャーから指示された作業の進捗が遅くなっていたのです。
• 仕事中にTOC思考プロセスを使うことを止め、与えられた作業に集中できるようになったため、指示さ
れた作業のアウトプットを早く提出できるようになりました。
パフォーマンスの改善
【TOC思考プロセスを使う前】
プロジェクトマネジャーに作業の進捗を確認されることが多くあった
【TOC思考プロセスを使った後】
プロジェクトマネジャーに確認される前に指示された仕事を提出できるようになった
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事例Ⅲ 職場でのTOC思考プロセス活用
• 前述のソリューションを得てからは、仕事をする上で「責任範囲」というものを強く意識するようになり
ました。会社内で仕事をする上での「責任範囲」とは「上司から期待されている範囲」です。
• 最初のプロジェクトでは「与えられた作業を遂行すること」だけを期待されていましたが、次のプロジェ
クトでは「クライアント担当者のサポート」も私の責任範囲となりました。
• 前述のソリューションを得てから仕事中にTOC思考プロセスを使うことを止めていましたが、次のプロ
ジェクトでは自分の責任範囲の仕事を遂行する上で様々な課題に直面するようになったため、その際
にはTOC思考プロセスをつかって解決するようにしました。(※ただしTOCという言葉は決して人前で
出さないようにしました。)
• その結果、クライアントとのコミュニケーションや、会議でのファシリテーションが効果的に行えるように
なり、社内外のプロジェクトメンバーからの評価を高めることができました。
• このように自分の責任範囲内でTOC思考プロセスの活用を続けることで、「上司からの期待」は徐々
に高まり、プロジェクト全体のソリューションに関する意見を求められたり、難しい会議への同席を依
頼されたりするようになってきました。
• 職場においてTOC思考プロセスを自分の責任範囲内で確実に使うことで、自らのパフォーマンスを高
めることができました。
その後の、職場でのTOCの活用
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事例Ⅳ 継続的改善
• そして、前頁のクラウドのソリューションは下記の通りです。
• ソリューションを出す過程で着目したのが、「WANT」と「NEED」の違いです。私は、夫の行動を変えて
ほしい時に、「どのように行動してほしいのか」という希望を伝えていましたが、それは「WANT」であり、
夫は行動を変えたくないという「WANT」を持っていますので、どちらかが我慢しなければならなくなり
ます。
• 「WANT」を引き起こす「NEED」を明らかにし共有することで、夫婦の「WANT」を揃えることができ、お
互いの我慢やストレスがなくなっていくというものです。
クラウドから導き出したソリューション
A:目的
家族と共に快適に
生活する
B:ニーズ
私の機嫌を保つ
【 ソリューション 】
① 私は、夫のWANTに対して自分の
WANTをぶつけることをやめる
② 私は、私及び夫のWANTをNEEDに
変換することができている
③ 私は、夫との話し合いにより、共有す
るNEEDを明らかにすることができて
いる
④ 私は、夫と共有したNEEDに基づき、
夫の行動及び自分の行動を評価し、
言動を決定することができている
C:ニーズ
家族の立場・意見を
尊重する
40. 40
事例Ⅳ 継続的改善
• 今回の事例での私のマインドセットの変更は下記のようなものでした。
• 今回のソリューションを出すまでは、夫との意見が対立した際には自分が我慢すればすむと考え、我
慢できない自分を責めてしまうことが多かったのですが、我慢することは解決策ではないということに
気付きました。
• 我慢をするのではなく、夫婦が対立している構造を丁寧に解き明かし、夫婦の「NEED」を共有するこ
とで「WANT」を揃えていくことが本当の解決策であるということに気付きました。
マインドセットの変更
【TOC思考プロセスを使う前】
夫と衝突しそうなときは自分が我慢するのが正しい行動である
我慢できない時は夫に強く主張するしかない
【TOC思考プロセスを使った後】
自分の希望を我慢するのは正しい行動ではない
自分の希望を満たすためには、夫とのNEEDの共有というプロセスを踏んだうえで行動を起こさな
ければならない
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事例Ⅳ 継続的改善
• 前述のソリューションを得て私は下記のように行動を変化させました。
• TOC思考プロセスを使った後の行動をご覧いただくと、工程が多く労力を要するものであるということ
が分かるかと思います。
• 1つの不満を解消するのに相当の作業が必要ですが、正しくその工程を実行できれば同じ問題で対
立を起こすことがなくなるため、我慢のストレスから解放されることになります。
行動の変更
【TOC思考プロセスを使う前】
① 夫に対する不満があるときは、我慢する
② 我慢ができなくなったら、夫に対して強く主張する
【TOC思考プロセスを使った後】
① 夫に対する不満があるときは、対立の構造を文章にする
② 夫婦のそれぞれが抱えるジレンマの構造をクラウドに表す(NEEDを明らかにする)
③ それぞれのクラウドのソリューションをだし、私のソリューションを導入する
④ 夫婦で共有できるクラウドを作成し、夫に対して提案する
(※ただし夫の前でTOCという言葉は出さない)
42. 42
事例Ⅳ 継続的改善
• 前述したソリューションを導入するにあたって、夫婦の役割をどのように捉えるべきかを明確にする必
要性が生じました。
• 夫婦の役割を定義するための作業のご説明は割愛いたしますが、現状について丁寧に観察しそれを
明文化するという方法をとりました。その結果が下記の通りです。
• 夫婦はまずビジョンを共有し、そのビジョンを達成するために自らが努力し、お互いに協力する責任
があるというのが夫婦それぞれの役割でした。
• このビジョン及び役割を夫に提案し、受け入れられました。(※ただし、夫に説明する際にはTOCとい
う言葉は一切出さないようにしています)
夫婦のビジョン及び役割
【夫婦のビジョン】
① 夫が自己実現している
② 子供を健全な大人に育てることができている
③ 妻(私)が自己実現している
※① ~ ③は優先順位を示す
【夫婦の役割】
夫及び妻(私)は、上記のビジョンを達成するために自ら努力し、お互いに協力する責任をもつ
43. 43
事例Ⅳ 継続的改善
• 前述したソリューションの導入、ビジョン・役割の明確化を行うことで私のパフォーマンスは大幅に改
善したと思います。
• 夫への不満がある場合には、丁寧に分析をすることで不満を解消することができるようになったため、
夫の言動にイライラすることが格段に少なくなりました。
• また、夫とビジョンを共有することができたため、何か意思決定をする必要がある場合にはそのビジョ
ンに従ってスムーズに意思決定をすることができるようになりました。
• また自分の役割が明確になり、「夫が自己実現している」という夫婦の最優先事項を達成するために
自分自身が何をできるかということを意識して行動することができるようになりました。
パフォーマンスの改善
【TOC思考プロセスを使う前】
夫の言動に対してイライラしたり、そのイライラをぶつけてしまうことがしばしばあった
【TOC思考プロセスを使った後】
夫の言動に対してイライラすることが格段に少なくなった
夫が私に対して本当に求めていることは何かを考えて行動できるようになった
45. 45
最後に
• 私は10年間のTOC思考プロセスの実践の中で、下記のことの重要性を認識するようになりました。
「① 正しい場面で」
TOC思考プロセスを学ぶと、その素晴らしさに感動し、いろいろな場面で使いたい、身近な人に
も使ってほしいと思ってしまうものです。私にも、事例Ⅲでご紹介したように「責任範囲」を超え
てTOC思考プロセスを使おうと試み、自らのパフォーマンスを下げてしまった経験があります。
それ以来、TOC思考プロセスを用いる際には、自らの「責任範囲内」であるのかについて厳密
にチェックしてから使うようにしています。
いろいろな場面でTOC思考プロセスを使いたいと考えるのであれば、まず自らの「責任範囲内」
でTOC思考プロセスを実践し、自らの「責任範囲」が広がるのを待つ必要があります。まず、自
らの「責任範囲内」でTOC思考プロセスを確実に使えば、自分のパフォーマンスは劇的に改善
するため、周囲からの期待は高まり「責任範囲」は徐々に広がっていくはずです。
TOC思考プロセスを使う上で重要なこと ①
TOC思考プロセスを使う際には、
① 正しい場面で、 ② 正しいツールを、 ③ 正しく使わなければならない。
46. 46
最後に
「② 正しいツールを」
TOC思考プロセスには様々なツールがあります。TOCの思考プロセスは、その問題に適した
「正しいツール」を使って初めて効果を発揮することができます。
例えば、「クラウド」には「一度きりの問題を解決するクラウド(day-to-dayクラウド)」と「繰り返し
性のある問題を解決するクラウド(UDEクラウド)」があり、作成方法が異なります。
私は、TOC思考プロセスを使い始めた当初、「day-to-dayクラウド」のワークショップだけを受講
し、「UDEクラウド」のワークショップは受講していませんでした。
そして「繰り返し性のある問題」までも、「day-to-dayクラウド」で解こうとしていました。その例が
事例Ⅱの「結婚に迷った時のクラウド」です。
そのため、十分なソリューションを得ることができず、白土氏に正しいツールを使った問題解決
のサポートをしていただくまで辛い思いをすることになりました。
有効な解決策を得るためには、その問題に適した「正しいツール」を使う必要があります。
TOC思考プロセスを使う上で重要なこと ②
TOC思考プロセスを使う際には、
① 正しい場面で、 ② 正しいツールを、 ③ 正しく使わなければならない。