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The Research of Incubation Center in Silicon Valley
- 1. The Research of Incubation Center in Silicon Valley
Intern, Sunbridge Global Inc.
Naoya Muto
Dec 3 / 2012
1
- 3. 1. 米国及びシリコンバレーにおけるベンチャーキャピタル市場の動向
まず、アメリカ国内におけるベンチャーキャピタル市場について見てみる。
PricewaterhouseCoopers/National Venture Capital Association MoneyTree
Report(以下 MoneyTree Report)によると、 2011 年における米国内のベンチャ
ーキャピタルの投資総額は約 294 億ドルであった。リーマン・ショックの影響
で 2009 年は約 197 億ドルまで落ち込んだものの、
段々と復調の兆しを見せてい
る。これは日本の 2011 年度の数値と比較すると、約 19 倍に相当する。また、
投資件数に目を向けると 2011 年における米国内の投資件数は 3906 件で、これ
は日本の約 4 倍に相当する。そのうち、2011 年におけるシリコンバレーの投資
額、投資件数の割合について見てみると、前者は約 40.9%、後者は約 31.5%で
あり、また過去5年間の推移を見てみても、この割合にそこまで変化はない。
このことからもシリコンバレーでのベンチャー投資は依然として盛んであるか
が見て取れる。(図表 1,2 参照)
【図表 1】米国ベンチャーキャピタル投資の推移とシリコンバレーの割合(投資
額)1
National Venture Capital Association、
PricewaterhouseCoopers 社、
Tomson
Reuters 社のデータを基に作成。
1
3
- 4. 【図表 2】米国ベンチャーキャピタル投資の推移とシリコンバレーの割合(投資
件数)2
次に、IT 分野3におけるベンチャーキャピタルの投資額を Silicon Valley、New
England、NY Metro、Los Angeles/Orange Country の計4つの地域で比較し
てみる。(図表 3 参照) 2011 年におけるシリコンバレーの IT 産業における投資
額は約 57.3 億ドルで、New England の約 9.1 億ドル、NY metro の約 15.1 億
ドル、Los Angeles/Orange Country の約 3.6 億ドルと比べても圧倒的に多いの
が見て取れる。これは全米のベンチャーキャピタル投資総額のうち、約2割が
シリコンバレーの IT 産業に投入されていることを意味する。また、2012 年度
第三四半期における MoneyTree Report の「Largest U.S. Venture Capital
Investments」によると、Top10 のうち、シリコンバレーの企業が 4 つを占め
ている。(図表 4 参照) モバイル決済サービスを提供している Square や、ソフ
トウェアデベロッパー向けに Web ベースのホスティングサービスを提供してい
る GitHub はどちらも San Francisco から生まれた企業である。昨今、ニュー
ヨークの「シリコンアレー」
、ロサンゼルスの「シリコンビーチ」
、ボストンの
National Venture Capital Association、
PricewaterhouseCoopers 社、
Tomson
Reuters 社のデータを基に作成。
3 MoneyTree Report の Industry のうち、Software、IT Services、
Media&Entertainment の合計。
2
4
- 5. 「ルート 128」等、シリコンバレー以外のハイテク集積エリアが注目されてき
ているが、やはり IT 分野におけるシリコンバレーのプレゼンスは依然として高
いと言える。
【図表 3】IT 分野における投資額の推移と比較4
【図表 4】Q3 2012 における Top Deal Ranking5
National Venture Capital Association、
PricewaterhouseCoopers 社、
Tomson
Reuters 社のデータを基に作成
5 National Venture Capital Association、
PricewaterhouseCoopers 社、
Tomson
Reuters 社のデータを基に作成
4
5
- 6. 次に、これらの投資金額が会社の成長段階のうち、どの段階で投入されている
のかを投資件数・投資額でそれぞれ比較していく。(図表 5、6 参照) 投資件数ベ
ースで見てみると、主に 2 つのことがわかる。まず、Expansion と Later Stage
における投資件数の割合が年々減少し、逆に Early Stage への投資件数の割合
が年々増加しているのが見て取れる。2008 年では、全投資件数のうち、
Expansion と Later Stage に占める割合は約 60%と高いものであったが、2012
年では約 49%と半分以下に減少している。一方で 2008 年における Early Stage
に占める割合は約 27%であったが、2009 年は約 30%、2010 年は約 35%、2011
年は約 39%、2012 年は約 43%と右肩上がりで増えている。そしてもう一つは、
Seed Stage における割合はそこまで変わっていないということである。2012
年こそ約 7%の割合に減少したものの、他の 4 年間では約 11-12%の割合で落ち
着いている。
【図表 5】スタートアップの段階における投資割合の推移(投資件数)6
次に、これを投資金額ベースで見てみると、明らかに Seed Stage における投資
金額の割合が 2011 年から減っているのがわかる。2008 年ではその割合は約
6.4%であったが、2011 年では約 3.6%まで減少している。また、投資件数と同
National Venture Capital Association、
PricewaterhouseCoopers 社、
Tomson
Reuters 社のデータを基に作成。
6
6
- 7. 様、投資金額ベースで見てみても Early Stage の割合が増えてきていることが
わかる。2008 年には約 18.9%であった割合が 2011 年、2012 年では約 29.2%ま
で増えている。注目したいのは、投資件数ベースでは Seed Stage の投資件数の
割合にそこまで変化がないのに対し、投資金額ベースで考えるとその割合が減
少しているということである。これはつまり、Seed Stage のスタートアップ 1
社に投資する金額が 5 年前と比べて相対的に減少しているということを意味す
る。そして、その減少した分の金額が総じて Early Stage にうまく配分されて
いく仕組みが出来上がっている。この仕組みづくりを担っているのがまさにイ
ンキュベーションセンターであり、その中でも後述する Startup Accelerator の
存在が以前にも増してますます高まってきている。
【図表 6】スタートアップの段階における投資割合の推移(投資金額)7
2. 今年誕生したインキュベーションセンター
次に、2012 年に設立されたインキュベーションセンターについて見ていく。今
回の調査対象の中では、InnoSpring、Startup Monthly、nestGSV の三つが該
当する。InnoSpring は Santa Clara に拠点を構えるインキュベーションセンタ
National Venture Capital Association、
PricewaterhouseCoopers 社、
Tomson
Reuters 社のデータを基に作成。
7
7
- 8. ーであり、Tsinghua University Science Park(TusPark)8、Shui On Group9、
Northern Light Venture Capital10、Silicon Valley Bank(SVB)11とのジョイン
トプロジェクトとして 2012 年 4 月に設立された。InnoSpring の特徴として、
シリコンバレーに進出したいと考えている中国のスタートアップまたは中国マ
ーケットでビジネス展開をしようとしているアメリカのスタートアップを対象
としている点が挙げられる。2つ目の Startup Monthly は San Francisco、
Redwood City を中心に活動しており、
シリコンバレー以外でも東海岸のボスト
ンでも展開されている。またアメリカ以外では、イスラエルやロシア、バルト
諸国においても同様のビジネスを展開しているのが新しい。また、同社はプロ
グラムの多様性にも注目したい。年に 3 回 2 ヶ月間の「Startup Accelerator」
というプログラムの他にも
「Startup Elevator」
という 1 週間という短い期間で
のプログラムも提供している。nestGSV については後述するのでここでは割愛
させて頂く。
3. ビジネスモデルによるカテゴライズ
さて、インキュベーションセンターという言葉が持つ意味合いについては諸説
あり、一概にその言葉を定義づけることは難しいが、今回のレポートにおいて
はインキュベーションセンターを次のように定義する。
「インキュベーションセ
ンターとは、複数のスタートアップを一つの空間に集め、それらのビジネスを
成長させる何らかの仕組みやサービスを提供している施設の総称である。
」この
ように定義した上で、調査対象としたインキュベーションセンターをそのビジ
ネスモデルの違いから以下の三種類にカテゴライズしていく。
- Office Incubator
Office Incubator とは、
入居したいテナントに対してオフィススペースをリース
し、その賃料によって収益を得るビジネスモデルである。今回の調査対象の中
では、Plug and Play Tech Center12(以下 PnP)、nestGSV13が該当する。PnP
http://www.tuspark.com/Index_En.aspx
http://www.shuion.com/eng/index.asp
10 http://www.nlightvc.com/en/
11 http://www.svb.com/
12 http://www.plugandplaytechcenter.com/
13 http://www.nestgsv.com/
8
9
8
- 9. は 2006 年に設立されたシリコンバレー最大規模のインキュベーションセンタ
ーであり、2012 年現在、世界各国から約 300 社のスタートアップが入居してい
る。
nestGSV は PnP の社員がスピンアウトして設立したインキュベーションセ
ンターで、設立年も 2012 年と新しい。2012 年 11 月現在、約 45 社程度のスタ
ートアップが入居している。PnP はオフィススペースがパーテーションで区切
られていたが、
nestGSV は PnP と比べてオープンスペースが多いのが特徴とし
て挙げられる。これにより、テナント同士のインタラクティブなコミュニケー
ションを促進させる狙いがある。しかし、元 PnP の社員によって作られたこと
もあり、持っている機能や提供しているサービス等で共通している部分も多い。
- Startup Accelerator
Startup Accelerator とはシード期やアーリーステージのスタートアップに投資
し、短期間(3-4 ヶ月)のプログラムを提供することによって文字通りビジネスを
アクセラレートしていくもので、今回の調査対象の中では、Y combinator14、
500 Startups15、Angelpad16、Kicklabs17、Innospring18、Startup Monthly19、
Hub Ventures20が当てはまる。ビジネスモデルは、投資企業を Exit させること
によるキャピタルゲインの回収である。
中でも 2006 年にベンチャーキャピタリ
ストの Paul Graham によって創立された Y combinator は Accelerator の草分
け的存在であり、Forbes の「Top Startup Incubators And Accelerators」で全
米 1 位にランキングされている。21また、同ランキングにおいて、Top10 にラン
クインしている Accelerator のうち実に 4 つがシリコンバレーから選出されてい
る。(図表 7 参照) 詳しくは後述するが、インキュベーションセンターの中でも
この Accelerator のモデルが昨今のトレンドになってきている。
14
15
16
17
18
19
20
http://ycombinator.com/
http://500.co/
http://angelpad.org/
http://www.kicklabs.com/
http://www.innospring.net/
http://www.startupmonthly.org/
http://hub-ventures.com/
21
http://www.forbes.com/sites/tomiogeron/2012/04/30/top-tech-incubators-as-ra
nked-by-forbes-y-combinator-tops-with-7-billion-in-value/
9
- 10. 【図表 7】Top U.S. Startup Incubators and Accelerators
- Co-working Space
Co-working Space のビジネスモデルはメンバーシップ制による会員フィーで
ある。
Office Incubator がオフィススペースをリースするのに対し、
Co-working
Space は基本的に共有スペースを利用できる権利を付与する、といった違いが
ある。
今回の調査対象の中では、
RocketSpace22、
Sandbox Suite23、
WeWork24、
Hatchery25、Nextspace26、Citizenspace27、pariSoma28、Hub SF29、Founders
Den30が該当する。元々Co-working Space は入居企業をインキュベートしてい
くというよりはむしろ、よりよい空間・コミュニティ作りにフォーカスしてい
る傾向が強かった。しかし、頻繁に行われるネットワーキングイベントやピッ
チコンテスト等、スタートアップを成長させる機能を持っていると言えるので、
先ほど述べたインキュベーションの定義には当てはまる。また、昨今では、従
来の Co-working Space としてのビジネスだけでなく、Co-working Space とい
う形態を取りながらも一方で Accelerator としての機能を有する施設が誕生し
22
23
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27
28
29
30
http://www.rocket-space.com/
http://sandboxsuites.com/
http://wework.com/
http://www.hatcherysf.com/
http://nextspace.us/
http://citizenspace.us/
http://www.parisoma.com/
http://bayarea.the-hub.net/
http://www.foundersden.com/
10
- 11. てきている。(今回の調査対象の中では Hub Ventures、WeWork Labs、
RocketSpace が該当)。上記の理由から、今回のレポートにおいては、広義の意
味で Co-working Space もインキュベーションセンターの一つとして捉える。
4. 三つのモデル間の比較と考察
さて、
次にこれら三つのモデルを比較していく。
ビジネスモデルで言えば Office
Incubator、Co-working Space は賃料もしくは会員フィーによる収益を上げる
「ストック型」のビジネス、Startup Accelerator は投資先企業の Exit によるリ
ターンによって収益を上げる「フロー型」のビジネスに分類できる。このビジ
ネスモデルの違いが、インキュベーションセンターの有する機能やサービス、
さらには運営側の姿勢に違いを生むと考えられる。まず、対象企業のスクリー
ニングという観点で言えば、一般にストック型ビジネスの場合緩く、フロー型
のビジネスの場合は厳しくなる傾向がある。これは、前者の場合の基本的な収
益源が賃料あるいは会員フィーである以上、収益を最大化する為にはできるだ
け多くのテナントに入居してもらう必要があるからである。実際 PnP では約
300 社、Hub SF では 700 名以上もの会員を抱えており、テナントを増やすこ
とがそのまま収益の増加に繋がる。また、上記の理由から Office Incubator、
Co-working Space は業種をそこまで限定していない。PnP は、iPhone App か
ら Clean Tech、biotech 等様々な業種のスタートアップが入居しているし、ほ
とんどの Co-working Space はスタートアップだけでなく、
フリーランスや個人
コンサルタント等も受け入れている。逆にフロー型ビジネスである Startup
Accelerator の場合、
収益を最大化する為には投資先企業の企業価値を高め、
Exit
によるキャピタルゲインを最大化しなければならない。その為、基本的にター
ゲットを Tech 系のスタートアップに限定するとともに、
プログラムへの参加を
希望するスタートアップに対して事前審査を通して厳しいスクリーニングを行
う。また、運営側自身がスタートアップに深くコミットできるように参加企業
の数自体も絞る。Y combinator は受入企業の数も多く 2012 Summer では 82
社が採択されていたが、500 Startups は平均して 20〜30 社、Kicklabs は約 10
社と Accelerator 同士で異なっている。(図表 8 参照) また、Accelerator 同士が
競合になる場合ももちろんあるが、Accelerator の垣根を超えた協業も盛んに行
われている。例えば、Kicklabs は Y combinator や 500 Startups の卒業生を投
資対象としている。また、500 Startups は自らのプログラム採択企業に投資す
11
- 12. るだけでなく、
他の Accelerator プログラム卒業企業に VC として投資も行なっ
ている。実際に、同社の約 300 社のポートフォリオのうち、およそ 50 社が他の
Accelerator 出身企業で、そのうち約 35 社が Y combinator 出身である。
【図表 8】Accelerator 毎のプログラム受入数
また、スクリーニングの違いだけでなく入居後のサポートに関してもストック
型、フロー型で大きく異なる。前者の場合、入居しているスタートアップの数
が多く規模も大きいので、運営側もテナントに対してそこまで深くコミットで
きない。逆に後者の場合は、メンターからのサポートを始め、プログラム参加
者同士のディナー会や専門家を呼んでのトークセッション、 とのネットワー
VC
キングイベント等が最低でも週に 1 回開催される。プログラムはいわば学校の
クラスのようなもので、参加を許されたスタートアップは手厚いサービスを享
受することができる。以上のことを考慮すると、スタートアップにとってはや
はりプロジェクトベースの Accelerator の方が向いていると言える。
スタートア
ップ側も Accelerator プログラムに参加することのメリットを当然理解してお
り、Y combinator のプログラムでは約 60-80 の枠に対して約 3600 社からの応
募があったという。また、New York や Boston 等で活躍している Accelerator
の TechStars においても、プログラムに参加するためには実に 100 倍以上の高
倍率を通過しなければならない。このような厳しいスクリーニングをパスする
12
- 13. のは当然ながら相当難しいが、Accelerator がスタートアップにとって自身のビ
ジネスをスケールさせられる近道であることは間違いない。ただ、先にも述べ
た通り Office Incubator、Co-working Space においてもイベントは頻繁に行わ
れるので、他のスタートアップとビジネスにおける協力関係が生まれやすいし、
VC とのネットワーキングも作れることは再度断っておく。
以上が三つのモデル間による比較と考察である。
5. インキュベーションセンターのトレンドと今後の展望
今までの考察結果を踏まえ、インキュベーションセンターのトレンドと今後の
可能性について考えていく。先にも少し述べたが、昨今のインキュベーション
センターのトレンドは「Accelerator」である。先ほど示した Forbes のランキン
グがそれをうまく反映していると言える。というのも、ランキングの順位が主
に Accelerator の投資先企業の価値、つまり Exit した場合はその金額、そうで
ない場合はその会社の現在価値に基づいて決められているからである。もちろ
ん他の要素も考慮に入れられているとはいえ、
基本的には Accelerator の投資先
企業がどれくらいファンドレイジングを行ったのか、その比率はどれくらいか、
Exit の比率はどれくらいか等、定量的な会社の価値によってのみ決められてい
る。つまり極端なことを言えば、一番重要なのはどれだけ価値のある企業を輩
出したのかということで、これによってインキュベーターの力量が決まるとい
ってよい。そしてここでいう「価値」とは基本的に定量的な数値によって測ら
れる。実際、Forbes のランキングは Incubator と Accelerator のランキングで
あったが、
Top10 にランキングされている企業は全て Accelerator が占めていた。
これは判断基準が上記のものである以上、実際にスタートアップに投資を行な
っていない Office Incubator や Co-working Space にとってはその定量的な指標
が見えづらいことに由来すると考えられる。その為、最近では実際に Office
Incubator や Co-working Space としてのビジネス形態を取りながら、同時に
Accelerator としてのプログラムを提供する動きも見られている。例えば、PnP
は既存のオフィスレンタルベースのインキュベーションビジネスの他に、
「Startup Camp31」というアメリカ大学生向けの 10 週間のプログラムを行な
っている。対象大学は Harvard や MIT、Stanford といった名門大学で、ワー
31
http://www.plugandplaystartupcamp.com/
13
- 14. クショップや PnP が抱えるメンターからのコーチング等を受けながら、ビジネ
スプランのブラッシュアップやプロトタイプの作成を行っていくものである。
また、NY 発祥の Co-working Space である WeWork もシードステージの Tech
系スタートアップに限定した「WeWork Labs32」というプログラムを 2011 年
から提供し始めている。また、自身で Accelerator のプログラムを提供する他に
も、Accelerator と連携しながらスタートアップのインキュベーションを行う施
設もある。その例として挙げられるのが RocketSpace である。RocketSpace は
2011 年に San Francisco に設立された比較的新しいインキュベーション施設で
あり、2012 年 11 月現在、約 130 社のスタートアップが入居している。実際に
CEO の方にインタビューをさせて頂いたのだが、当初は 1-2 階だけであったオ
フィススペースも 3 階まで拡大し、さらに現在は隣の棟まで増築が行われてい
る。RocketSpace は Accelerator の Kicklabs と提携し、Kicklabs のプログラム
参加企業に RocketSpace のオフィススペースを提供している。これにより、
Kicklabs 側はオフィススペースを利用できるし、
RocketSpace 側は Accelerator
のノウハウを得ることができる、という両社のシナジー効果を高めることがで
きる。また、他の Co-working Space と違う点として、対象企業を「シードファ
ンディングを受けている Tech 系のスタートアップ」に限定し、Y combinator
や 500 Startups 等の Accelerator プログラムの卒業生を積極的に受け入れるこ
とによって、入居企業の質を高めている事が挙げられる。これらの理由から
RocketSpace 自身も自分たちは Co-working Space ではなく Accelerator である、
と定義している。代表的な卒業企業としては、靴・アパレルの EC サイトで
Amazon に買収された Zappos33や、スマートフォンを使って自分のいる場所に
ハイヤーを呼べるサービスを運営している Uber34等が挙げられる。また、P2P
音楽ストリーミングサービスで有名な Sportify35も現在入居している。
以上のように、
「Accelerator」が昨今のトレンドであり、この傾向は今後も続い
ていくと考えられる。インキュベーションセンター側にとっては、自分たちが
この企業を育て上げたという思いを持ちたいし、未来の Google や Facebook を
輩出したいと考えている。
一方、
スタートアップ側にとっても、
輩出企業や Exit
32
33
34
35
http://weworklabs.com/
http://www.zappos.com/
https://www.uber.com/
http://www.spotify.com/us/
14