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- 1. 環境モニタリング結果の評価について
平成 23 年 4 月 2 日 16:45
原子力安全委員会
原子力安全委員会は、文部科学省が公表している「環境モニタリ
ングの結果」について評価を行うこととしており、平成 23 年 4 月 1
日 10:00 以降 4 月 2 日 13:00 までに公表された情報に基づく評価結
果は次のとおりです。
1.空間放射線量率(参考資料 1~3 ページ)
・ 福島第一原子力発電所 20km 以遠の空間放射線量率については、局
所的に比較的高い線量率が観測されている測定箇所が認められる
ものの、それらは健康に影響を及ぼすものではありません。
・ 100μSv/h を超えていた地域(注 1)では、屋内退避に関する指標
(10mSv から 50mSv) 2)に達している可能性があるものの、そ
(注
の地域は限定的であり、現時点では屋内退避地域を変更する状況
にはないものと考えます。
引き続き、天候や風向き等も考慮して、線量率の推移を注意深
く見守る必要があると考えています。
2.空気中の放射性物質濃度(参考資料 4~9 ページ)
・ 3 月 31 日に採取されたダストサンプリングの測定結果について、
追加の公表がありましたが、 昨日示した見解に変更はありません。
・ 本件に関する昨日の見解は以下のとおりです。
・ I-131 の最大の放射能濃度は 24.0Bq/m(2.4×10-5Bq/cm3) Cs-137
3
、
3 -6 3
の最大の放射能濃度は 4.5Bq/m (4.5×10 Bq/cm )でした。
・ I-131 については、濃度限度(注 3)を上回っていますが、I-131
の半減期が約 8 日と短いことなどを考慮すると、この状況では健
康に影響を及ぼすものではありません。
・ Cs-137 については、濃度限度(注 3)を下回っております。
引き続き、天候や風向き等も考慮して、空気中の放射性物質濃
度の推移を注意深く見守る必要があると考えています。
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- 2. 3.航空モニタリング(参考資料 10~14 ページ)
・ 航空機モニタリングについて測定結果が得られています。
4.環境試料(参考資料 15~22 ページ)
・ 陸水(池水又は雨水)、陸土、降下物及び海水についてモニタリン
グ結果が得られています。雑草、陸水などで比較的高い値が依然
観測されており、上水(蛇口) 、食物の測定を引き続き継続するこ
とが必要です。
・ 海水の測定結果に関しては、新たな情報提供はありませんでした。
なお、本件に関する昨日の見解は以下のとおりです。
・3 月 30 日に測定された海水中の I-131、Cs-137 それぞれの最大の
放射能濃度は、 表層で I-131 が 79.4Bq/L 7.94×10-2Bq/cm3)Cs-137
( 、
-3 3
が 8.46Bq/L(8.46×10 Bq/cm ) 、下層(深さ 83~171m)で I-131
が 6.05Bq/L ( 6.05 × 10 Bq/cm3 ) Cs-137 が 8.4Bq/L ( 8.4 ×
-3
、
-3 3
10 Bq/cm )でした。また、海上の塵中の I-131、Cs-137 それぞれ
の最大の放射能濃度は 0.908Bq/m3 (9.08×10-7Bq/cm3)
、0.500Bq/m3
(5.00×10-7Bq/cm3)でした。
・ 海水については、海水中に放出された放射性物質は、潮流に流さ
れて拡散していくことから、実際に魚、海藻等の海洋生物に取り
こまれるまでには、相当程度薄まると考えられます。30 日の測定
結果では、浅海での上層水と下層水の混合が認められるため、今
後とも注視していく必要があると考えます。なお、I-131 につい
ては、半減期が 8 日と比較的短いため、人がこれらの海産物を食
するまでには、相当程度低減しているものと考えられます。
・ 福島第一原子力発電所から 20-30km 圏内の土壌試料の Pu、U の分
析結果によると、いずれの試料においても、Pu-238、Pu-239+Pu240
は検出されず(0.1Bq/kg 以下)、U-235/U-238 比は、天然の存在比程
度の値を示しました。
今後とも環境モニタリングについては、気象変化等を考慮しつ
つ、監視を継続することが必要と考えます。
5.都道府県別環境放射能水準調査(参考資料 23~26 ページ)
1) 空間放射線量率
各都道府県における空間放射線量率については、過去の平常値
の範囲と比べ高いところもありますが、健康に影響を及ぼすも
2
- 3. のではありません。
2) 上水(蛇口)
・厚生労働省が発表する要請に係る情報を注視してください。
・なお、文部科学省が取りまとめた「環境放射能水準調査結果
(上水(蛇口)」のデータを評価する限りにおいては、福島
)
県、茨城県、栃木県等の上水で I-131 や放射性セシウムが検
出されておりますが、その値は、I-131 で最大 9.8Bq/kg、放
射性セシウムで最大 4.3Bq/kg であり、いずれも飲食物の摂取
制限に関する指標(注 4)を下回っています。
今後とも監視を継続することが必要と考えています。
(注 1)福島第一原子力発電所から北西方向約 30km の浪江町内(測定箇所 32:
4 月 1 日 10 時 56 分の測定結果は 36.2μSv/h、 月 31 日 11 時 00 分から
3
4 月 1 日 10 時 58 分の積算数値は 725μSv(30.3μSv/h))、福島第一原子
力発電所から北西方向約 30km の飯舘村内(測定箇所 33:4 月 1 日 11 時
22 分の測定結果は 18.2μSv/h、 月 31 日 11 時 20 分から 4 月 1 日 11 時
3
28 分の積算数値は 469μSv(19.4μSv/h))
(注 2)
「原子力施設等の防災対策について」 (昭和 55 年 6 月 30 日原子力安全委
員会決定)
(http://www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/history/59-15.pdf)
(注 3)法令に定める周辺監視区域境界外の空気中の放射性物質の濃度限度は、
I-131 が 5×10-6Bq/cm3、Cs-137 は 3×10-5Bq/cm3
(注 4)
「原子力施設等の防災対策について」 (昭和 55 年 6 月 30 日原子力安全委
員会決定) 飲食物の摂取制限に関する指標 (飲料水) I-131 が 300Bq/kg、
Cs-137 が 200Bq/kg
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