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ロボット介護機器のイミュニティ 試験における停止性能判定 
労働安全衛生総合研究所 
池田博康、風間 智 
JNIOSH 2014.9.5
研究目的 
14.9.5 
•ロボット介護機器に対するイミュニティ試験の停止安全性 能判定基準の提案 
•停止性能(保護停止維持)を測定・判定する方法の提案と 検証 
背景 
•人間との協働を目的とするロボット機器の導入 
•イミュニティ試験の安全性能判定基準(FS基準)が規定 
•サーボ停止による保護停止状態の定義(物理的)が不明 
•モーションキャプチャの高性能化、低価格化 
JNIOSH
イミュニティ試験の性能判定基準(現行規格) 
14.9.5 
判定ランク 
試験中の判定基準 
A 
使用範囲内で動作を継続(試験後も含む) 
B 
一時的性能低下は許容、ただし、自動で回復 (試験後は所定動作を継続) 
C 
一時的機能喪失は許容、ただし、自動的か人の リセットで回復(試験後も含む) 
IEC 61000−6-1, 2:EMC一般基準(イミュニティ) 
→ 製品の品質確保のため(動作の継続性) 
*IEC 61000-4シリーズの試験方法毎に対応ランクが規定 
実用性を考慮したレベル → 最大妨害レベルではない! 
JNIOSH
イミュニティ試験のFS性能判定基準 
14.9.5 
FS(Functional Safety)の判定基準 
仕様の範囲外でも機器は影響を受けない 
指定の状態を維持,または所定時間内に指定の状態を達成で きるように反応すれば,妨害を受けてもよい 
指定の状態を維持,または所定時間内に指定の状態を達成で きる場合は,構成部品の破損があってもよい 
IEC/TS 61000−6-2:EMC技術指針(電磁現象に対する機能安全実現の方法論) 
→ IEC 62061(機能安全) → IEC61306-3-1(計測制御) 
ISO 13482(パーソナルケアロボット) 
IEC 61496シリーズ(センサ)、IEC61800-5-2(サーボドライブ)等 
*想定最大妨害レベルを適用 
JNIOSH
14.9.5 
ロボット介護機器用イミュニティ試験の安全性能 判定基準(案) 
安全性能 判定基準 
(条件はor) 
機器が危険な動作をしない 
安全機能作動時に所定の安 全状態に機器が移行できる 
安全が確保されるならば,機 器の障害は生じてもよい 
停止状態の維持* 
制動性能、停止カテゴリ 
機器全体としてカバー 
*停止状態の維持とは 
サーボ停止による保護停止(カテゴリ2停止)の維持(非常停止は除く) 
安全停止状態の物理的定義とその測定・判定の方法は? 
JNIOSH
14.9.5 
停止の始動 → 「危険な機械機能の終止」 → 完全停止 
人に危害が及ばない状態(安全条件) →(JIS B 9715) 
危険な機械機能終止に基づく安全停止条件 
合理的に想定される最悪条件:ロボット機器が人体皮膚表面に触れている状態 
(皮膚変位0)から、微動して皮膚を圧迫する 
•人に危害が及ばない状態(安全条件)とは 1)皮膚の変位は許容値以内(変位条件) 2)許容変位を超える前に回避可能(時間条件) → 人の危険認知・回避時間より短い時間内でロボット機器の変位 量が皮膚の許容変位を超えれば、危害が及ぶ恐れあり 
JNIOSH
14.9.5 
人体への機械的刺激に対する「痛み」の限界 → 挟圧安全性の判定指標 
許容変位量 : 接触(押し付け力5Nで判断)から痛みの限界までのプローブ 押し込み量として記録 
痛覚耐性に基づく皮膚の許容変位 
Force limitation value widely accepted 
in industrial practices 
Low pain tolerance region 
High pain tolerance region 
Thigh 
Buttock 
0 
50 
100 
150 
200 
250 
10 
20 
30 
40 
50 
60 
Chest 
Abdomen 
Shoulder blade 
Forearm 
Backhand 
Back 
Knee 
Calf 
Shin 
57,7N 
2,1mm 
Forehead 
Upper arm 
5th percentile of pain tolerance [N] 
5th percentile of tolerable deformation [mm] 
JNIOSH
人の危険認知・回避時間 
14.9.5 
人がロボット不意動作を検知して停止操作するまでの時間を測定 触覚による危険認知・回避時間 : 約0.5s → 視覚情報に基づく場合はより遅くなった (約1s弱) 
ロボット介護機器の安全停止状態(最悪値を採用) 
サーボ(一時)停止状態の機器(の一部)の変位量が1s間以上 2.1mm以内に収まっていること 
*この条件は保護停止過程の「完全停止」条件と同じである 
*時間条件は、測定時間も考慮する → 合理的な実施条件が必要 
JNIOSH
14.9.5 
時間 
可動部変位 
td 
xa 
停止時刻 
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xa 
電磁妨害 
OK 
NG 
制動 
保護停止(サーボ停止)状態 
安全停止条件に基づく判定原理 
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0.1s毎に監視ウインドゥを生成
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電波暗室 
モーションキャ プチャカメラ×3 
光ファイバー 
PCによる停止状態確認 
・マーカー位置ロギング 
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・マーカー速度モニター 
フェライトコアに よるEMC対策 
ソフトウエアによる自動計測 
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安全停止状態の監視方法と装置構成 
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ESD測定 
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リファレ ンスか らの相 対位置 で移動 距離の 測定
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(LabVIEWソフトウェアにより作成) 
14.9.5 
JNIOSH
14.9.5 
JNIOSH 
測定結果例 
1軸のみの微動(判定:○) 
旋回軸の微動(判定:1軸×)
14.9.5 
おわりに 
JNIOSH 
イミュニティ試験における安全機能の判定基準を提案した 
人の皮膚許容変位量と回避時間から、サーボ停止条件を 定めた 
3次元リアルタイムモーション計測装置により、非接触で高 精度な停止監視方法を検証した

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2 n2 05:ロボット介護機器のイミュニティ試験における停止性能判定 池田博康(安衛研)

  • 2. 研究目的 14.9.5 •ロボット介護機器に対するイミュニティ試験の停止安全性 能判定基準の提案 •停止性能(保護停止維持)を測定・判定する方法の提案と 検証 背景 •人間との協働を目的とするロボット機器の導入 •イミュニティ試験の安全性能判定基準(FS基準)が規定 •サーボ停止による保護停止状態の定義(物理的)が不明 •モーションキャプチャの高性能化、低価格化 JNIOSH
  • 3. イミュニティ試験の性能判定基準(現行規格) 14.9.5 判定ランク 試験中の判定基準 A 使用範囲内で動作を継続(試験後も含む) B 一時的性能低下は許容、ただし、自動で回復 (試験後は所定動作を継続) C 一時的機能喪失は許容、ただし、自動的か人の リセットで回復(試験後も含む) IEC 61000−6-1, 2:EMC一般基準(イミュニティ) → 製品の品質確保のため(動作の継続性) *IEC 61000-4シリーズの試験方法毎に対応ランクが規定 実用性を考慮したレベル → 最大妨害レベルではない! JNIOSH
  • 4. イミュニティ試験のFS性能判定基準 14.9.5 FS(Functional Safety)の判定基準 仕様の範囲外でも機器は影響を受けない 指定の状態を維持,または所定時間内に指定の状態を達成で きるように反応すれば,妨害を受けてもよい 指定の状態を維持,または所定時間内に指定の状態を達成で きる場合は,構成部品の破損があってもよい IEC/TS 61000−6-2:EMC技術指針(電磁現象に対する機能安全実現の方法論) → IEC 62061(機能安全) → IEC61306-3-1(計測制御) ISO 13482(パーソナルケアロボット) IEC 61496シリーズ(センサ)、IEC61800-5-2(サーボドライブ)等 *想定最大妨害レベルを適用 JNIOSH
  • 5. 14.9.5 ロボット介護機器用イミュニティ試験の安全性能 判定基準(案) 安全性能 判定基準 (条件はor) 機器が危険な動作をしない 安全機能作動時に所定の安 全状態に機器が移行できる 安全が確保されるならば,機 器の障害は生じてもよい 停止状態の維持* 制動性能、停止カテゴリ 機器全体としてカバー *停止状態の維持とは サーボ停止による保護停止(カテゴリ2停止)の維持(非常停止は除く) 安全停止状態の物理的定義とその測定・判定の方法は? JNIOSH
  • 6. 14.9.5 停止の始動 → 「危険な機械機能の終止」 → 完全停止 人に危害が及ばない状態(安全条件) →(JIS B 9715) 危険な機械機能終止に基づく安全停止条件 合理的に想定される最悪条件:ロボット機器が人体皮膚表面に触れている状態 (皮膚変位0)から、微動して皮膚を圧迫する •人に危害が及ばない状態(安全条件)とは 1)皮膚の変位は許容値以内(変位条件) 2)許容変位を超える前に回避可能(時間条件) → 人の危険認知・回避時間より短い時間内でロボット機器の変位 量が皮膚の許容変位を超えれば、危害が及ぶ恐れあり JNIOSH
  • 7. 14.9.5 人体への機械的刺激に対する「痛み」の限界 → 挟圧安全性の判定指標 許容変位量 : 接触(押し付け力5Nで判断)から痛みの限界までのプローブ 押し込み量として記録 痛覚耐性に基づく皮膚の許容変位 Force limitation value widely accepted in industrial practices Low pain tolerance region High pain tolerance region Thigh Buttock 0 50 100 150 200 250 10 20 30 40 50 60 Chest Abdomen Shoulder blade Forearm Backhand Back Knee Calf Shin 57,7N 2,1mm Forehead Upper arm 5th percentile of pain tolerance [N] 5th percentile of tolerable deformation [mm] JNIOSH
  • 8. 人の危険認知・回避時間 14.9.5 人がロボット不意動作を検知して停止操作するまでの時間を測定 触覚による危険認知・回避時間 : 約0.5s → 視覚情報に基づく場合はより遅くなった (約1s弱) ロボット介護機器の安全停止状態(最悪値を採用) サーボ(一時)停止状態の機器(の一部)の変位量が1s間以上 2.1mm以内に収まっていること *この条件は保護停止過程の「完全停止」条件と同じである *時間条件は、測定時間も考慮する → 合理的な実施条件が必要 JNIOSH
  • 9. 14.9.5 時間 可動部変位 td xa 停止時刻 td xa 電磁妨害 OK NG 制動 保護停止(サーボ停止)状態 安全停止条件に基づく判定原理 JNIOSH 0.1s毎に監視ウインドゥを生成
  • 10. RF印加アンテナ 80MHz-1000MHz 1%Step RFパワーアンプ 信号発生器 EUT(ロボットアーム) 反射マーカー (2個以上) 電波暗室 モーションキャ プチャカメラ×3 光ファイバー PCによる停止状態確認 ・マーカー位置ロギング ・マーカー変位モニター ・マーカー速度モニター フェライトコアに よるEMC対策 ソフトウエアによる自動計測 14.9.5 安全停止状態の監視方法と装置構成 3次元リアルタイムモーション計測装置 JNIOSH
  • 13. モーションキャプチャカメラ 多関節アームロボット マーカー (TCP上) 14.9.5 ESD測定 JNIOSH リファレ ンスか らの相 対位置 で移動 距離の 測定
  • 15. 14.9.5 JNIOSH 測定結果例 1軸のみの微動(判定:○) 旋回軸の微動(判定:1軸×)
  • 16. 14.9.5 おわりに JNIOSH イミュニティ試験における安全機能の判定基準を提案した 人の皮膚許容変位量と回避時間から、サーボ停止条件を 定めた 3次元リアルタイムモーション計測装置により、非接触で高 精度な停止監視方法を検証した