FOSS4G北海道2015発表資料の発表資料です。

1. 学校教育におけるOpenStreetMapを用いた
防災マップの作成について
山内 啓之（NPO法人伊能社中）・海本 卓矢（奈良大学・院）・氏田 洵悠（大分大学・院）

2. プロジェクト背景
1995年 阪神淡路大震災 → 未曾有の大災害
避難所・・・住民たちの助け合い→共助の重要性
☆日常生活から、住民同士のコミュニケーション
災害時・・・ 災害救助、瓦礫撤去、避難指示
☆率先してできる人が必要
地域における防災対策リーダーの育成
中学校の授業に組み込んでみる！
学区内の防災マップづくり

3. プロジェクト概要
・開催日 2015 年 1 月 16 日(金)
・場所 神戸市立星陵台中学校および同中学校学区
・主催 神戸市立星陵台中学校、NPO 法人伊能社中
・協力 中部大学国際 GIS センター
神戸市立星陵台中学校周辺地域

4. プロジェクトのスケジュール
1月15日 事前授業 → 神戸市のハザードマップに関する学習
災害時に必要なものとは？
AED、消火栓、自動販売機、掲示板、水道
蛇口、病院、防災倉庫、公園
1月16日 特別授業 → 学区内をフィールドワーク
成果のまとめ
＋Web GISによるまとめと可視化
振り返り授業
後日 事後授業 → ハザードマップの改善点を議論

5. 特別授業の内容
・星陵台中学校の２年１４０人をエリアごとにわけ、さらに４人グループにわける
・グループごとに、A３の地図とタブレット端末一台を配布
・地物ごとにシールをはり、タブレットで撮影

6. 調査に使った地図
生徒が撮影した写真
調査の様子
校外学習の様子
生徒の気付きを付箋にまとめた

7. 調査後には、活動内容の
振り返りとして生徒による
報告会を行った

8. 調査結果をOpenStreetMapへ入力
１時間かけて
OSMに入力

9. 調査前のマップ

10. 公園のマッピング
leisure=playground
leisure=park

11. 消火栓のマッピング
emergency=fire_hydrant

12. AEDのマッピング
emergency = defibrillator

13. 防災倉庫のマッピング
amenity=warehouse
name=防災倉庫

14. 自動販売機のマッピング
amenity=vending_machine

15. 水道・蛇口のマッピング
amenity=drinking_water

16. 星陵台中学校周辺の防災マップ

18. 事後授業と生徒の変化
別日に実施した授業で、星陵台中周辺地域についてディスカッション
課題Ⅰ 次の点に着目してエリアの特色についてまとめなさい。
① 災害時に必要な設備のかたよりについてまとめなさい。
② 災害弱者の立場からみた地域の特色についてまとめなさい。
課題Ⅲ 校区をどう改善すれば良いか意見をまとめなさい。
課題Ⅱ 星陵台校区の地域的な特色をまとめなさい
まとめ 自分たちの地域のイメージをまとめなさい
※ 地域調査の事前授業として同じことをしている。イメージの変化からプロジェ
クトの有用性を証明する

19. 生徒の気づきと思考の変化
生徒の気づき
・避難が難しい地域がわかった。
→ 設備のかたより、地形や樹木に着目
・地形、樹木・・・・坂が多い、木と火事の関係
・設備・・・・災害時使用できるもの、できないもの
Dエリアの改善を指摘
・設備のかたよりがある
・崖がある
→ 災害弱者なら不便に感じるだろう

20. 地域イメージの変化
before ・災害時は不安がのこる地域
after・私たちの地域は、マイナス面もあるが、災害に備え
た設備もしっかりある。地域課題の対策が必要。
before ・災害の対策はむずかしい
生徒 A
生徒 B
after・設備の場所がわかって身近な地域の安全性がわ
かった。災害弱者の視点から地域をみることができた。

21. 電子化デジタル化の意義について
・災害支援につながる
→更新することの大切さがわかった
生徒の気づき
→地図を変えることができるということに驚き
目からウロコ、自分たちが地図を変えた
「地図ってかわるんだ！」
地図を変えることに責任感をもつことができた
・災害支援だけでなく、他のことにも使えることがわかった
→地図利用の多様性に気づいた

22. 本報のまとめと課題
伊能社中では、中学生を対象とし、OSMを利用した防災マップづくりを行った。
・本プロジェクトにより、生徒は防災という視点で地域を考えることができた
・プロジェクトの前後では、生徒の地域の捉え方が多様になった
・OSMを利用することで、地図が更新できること、地図づくりの重要性を伝えられた
・災害以外での地理情報の活用を気づかせることができた
まとめ
課題
・OSMの誤入力や二重編集があった → 入力スタッフの指導を徹底する
・生徒の意見を断片的にしかあつめることができなかった → 学校と深く連携する

23. 今後の取り組み
• 京都府福知山市における防災教育プログラムの開発
コンセプト：「コミュニティ・レジリエンスを高める防災教育」
具体的活動→①災害情報のアーカイブ化
②防災プラットフォームの制作
• 工学院大学附属高校における「政治経済」カリュキュラムの開発
コンセプト:「学校と社会をつなぐ」、「地域課題の解決者になる」
伊能社中の技術協力→ゲストティーチャー（各種企業）の
コーディネート
オープンデータの分析・解析
プレゼンテーションのアプローチ etc…