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- 2. 自己紹介 佐久間大輔（大阪市立自然史博物館） @sakumad2003 今日のお品書き • レスキューに必要な情報 • 小さな博物館の課題 • 博物館はスタンド＝アロンじゃ ないと認めることから始めよう • 文化遺産保全ネットワーク きのこと里山が専門の自然史博物館学芸員 阪神淡路のときは避難所運営、 東北では被災標本レスキュー。そこから市民科学、市民協働、ICOM対応、文 化財保全、コミュニティへと話題は広がっていっています。
- 3. 東日本大震災のときは・・ • テレビの映像で陸前高田博の被災を確信した どのように動くか、スキームはそこから考 えた。 • 他にどこが被災しているか、事後に検討が始 まった saveMLAKなど
- 5. 自然史標本がどこに所在して いるのか 平成２５年博物館総合調査 から どこに何がある？ • 大規模館だけではな い • 大規模館も被災する と動けない • ネットワークで支援 するにも地域の情報 を掴んでいないと効 率的に動けない ・特に小規模感には自然史標本 を扱える専門性を持った人間が いない可能性大 ・そこに預けざるを得なかった 地域のアマチュアの事情 ・地域の学校などからの伝来品 などが所蔵されているケースも
- 6. 平常時の問題 利用が進まない • コレクションの内容が他 の専門家に伝わらない、 利用が進まない • 博物館自身でもどのよう に利用していいかわから ないので活用が進まない • なのでよけいに価値を理 解しづらい • 台帳に登録されにくい 管理ができない • どのようにケアしていい かわからない • 少しでも虫が喰った時に 処分されがち • ラベル情報の重要さが伝 わらず、標本の情報が失 われる • 管理方法がわからないの で寄贈を受け付けてもら えない、他の専門家につ なぐことができない。
- 7. 管理に具体にどんな問題があ るか • 北海道ではもしかする と虫よりもカビ？ • 関西では虫の発生もか なり重大 • 虫に比べてカビの消長 はあまりちゃんと押さ えられてない • 皆さんのお悩み意見を お聞かせいただければ 幸いです
- 9. 大規模災害時の問題 所在が知られてないことが 悪影響 • レスキューが遅れる、も しかすると適切な分野の 専門家を手配できず、レ スキューできない場合も • 台帳に載っていないこと でレスキューが遅れる ケースも。 日常のケアが悪いことが悪 影響？ • 例えば個別の標本へのラ ベル付がされていないこ とで混乱 • バルク標本のままでは データとの対応が難しい ことも • シールパックなどに整理 が進んでいると被害が軽 くなるケースも。 • 未整理標本は大概劣悪な 場所に置かれる。
- 12. 何をすべき？ ２．ネットワーク管理を • 個々の博物館は市町村の壁を本来超えられない が、相互にコレクションの把握と相談できる関 係構築を • 拠点館にすべて集約を、というのは拠点館の収 蔵能力から見ても難しい。（利用の多い、重要 標本は集約すべきかもしれないが） • 管理は個々に、情報はネットワークで共有とい うのが理想ではないか？
- 13. 「自助」には限界がある • 博物館が被災するときは地域が被災している 熊本も倉敷も避難所設営に動員された、博 物館や資料に手が出せない • 職員も被災しているかもしれない 熊本も体調崩す人続出 • 被災していなくても・・・ 地域の実情を知る人が他にいないので超忙 殺
- 14. 博物館法はスタンドアロン型 「図書館の設置及び運営上 の望ましい基準」（2012） • 市町村図書館は「住民に対して適切な図 書館サービスを行う」 都道府県図書館は「当該都道府県内の図 書館サービスの全体的な進展を図る観点 に立って、市町村に対して市町村立図書 館の設置及び運営に関する必要な指導・ 助言等を行う」と役割を • 国立国会図書館や学校図書館、大学図書 館との連携も記述 図書館ではこうしたネットワークによ り、相互貸借に始まり、蔵書システムの相 互接続から研修や緊急時のレスキュー体制 に至るまでの広域的な保管機能が確立して いる。 「博物館の設置及び運営上 の望ましい基準」（2011） • 他の博物館との連携は6条、7条の展示及 び研究での定型的な協力の記述にとど まっている。 • 国立博物館・大学博物館法の対象外だ からと記述なし 博物館法は拠点博物館の役割も責務も何 も書いていない 根拠のやや曖昧な都道府県博物館協会など に依存 このあたりが大規模災害時のレスキューに 影響
- 15. 博物館法改訂の論点 • 学芸員をきっちり（常勤で）おけるよう促すよ うな登録制度 • 研究職としての学芸だけでなく、多様な専門ス タッフを置けるような制度 • 行政の枠を超えて活動できるような拠点博物館 制度とその資金の国からの支援 • 拠点を繋ぎ手に、ネットワークを前提とした博 物館活動を • 国の博物館や大学博物館もネットワークに貢献 することを前提に
- 18. 目次 1. 自然史標本について・・・・・・・・・・・ 2. 処置実例の紹介・・・・・・・・・・・・ 3. 日常でできる災害対策・・・・・・・ 4. さ い ご に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ このハンドブックは、動画版『文化財防災マニュアル ～被災自然史標本の処置実例と日常の対応事例 ～』（令和2年3月制作をもとに作成したものです。） このハンドブックでは、自然災害で被災し、 汚れてしまった自然史標本の応急処置から一時 保管までの実例を紹介しています。 処置は専門的な技術を要するものが多く、決 してこの動画を見れば処置ができる、というわ けではありません。「3.日常でできる災害対 策」で紹介している方法を参考に、防災に努め るようにしましょう。 １ ２ ３
- 20. いずれにせよ、事前に所在情報とレス キューの体制があることが大事 • 博物館まわりの人的なネットワーク • 専門の人がいない場合には繋ぎ手になってネットワークを 形成 • 博物館同士をつなぐネットワーク • 全国ネットワーク
- 23. 当面の具体的課題 • 各地域の小規模館の標本所在状況把握 • 各拠点館の標本の相互把握 • 博物館／民間所在標本の中間にある、大学や学 校、公民館、研究所、文化財施設などにある資料 の所在情報の把握 • 日常簡易管理のマニュアル作り • 災害時の話文化遺産防災ですすめちゃう • ネットワーク化の話山西科研ですすめる？ • 収蔵庫カビ調査再び？？ 拭き取りも面白そう。
- 25. おわりに • 隣の博物館の収蔵庫を見学しよう • 悩みを共有しよう • スタンドアロンの博物館制度はもう無理 • お互いの課題を押し付け合おう • 博物館政策は結局、草の根側から作るほかない