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医療機関と訪問看護の連携
~訪問看護での必要な情報~




          H25 年 2 月 27 日
          緩和ケア基礎講座
退院前の連携

◎ 退院カンファレンスの参加
・現状の把握、情報共有、退院指導の内容確認と
 補足、退院前に準備することの確認
・退院後の主治医との連携方法の確認
 夜間・休日・緊急時など
 死亡時の死亡確認の方法
◎ 処置方法の見学
・褥瘡などの処置についての見学
事例紹介

年齢: 60 代   性別:男性
病名:右肺がん(ステージⅣ)
    転移性脳腫瘍
    胸椎圧迫骨折
本人:最期まで治療を望んでいる。自身の
 治療経過を看護師は知っていて当然と思
 っている。
訪問期間: 2012 年 11 月 21 日~
今回の事例

 訪問看護師には今までの治療経過についての
  情報がない
 検査データの情報がない(患者が検査データ
  について、訪問看護師に話す)
    ⇒訪問看護師に対する不信感
 患者の性格をとらえた援助方法や対応につい
  て
   ⇒言葉の統一性をとる必要性がある
 化学療法中の注意点・副作用について
訪問看護で必要な情報



       訪問看護って何
          ?
患者の情報①

◎ 患者の基本情報
   氏名、住所、連絡先、生年月日
 主治医氏名、医療機関名
◎ 病名、病状(場合によっては予後)
   医師や看護師からの説明内容
  患者や家族の理解度と受け止め方
  告知と予後の説明
患者の情報②

◎ 患者の身体状況
   既往歴、感染症
   ADL 、嚥下の状態(食形態)
  最終の身体状況(最終排便日など)
  直近の検査データ
  服用している薬と管理方法
家族の情報

◎ 介護力・家族の状況
  家族構成(独居かどうか)
  キーパーソン
  家族への指導内容と習熟度
  家族の在宅介護に対する受け止め方
  (看取り場所など)
   家族の情報は訪問しながら
 収集できるのでおおまかでよい
その他の情報

◎ 訪問看護に依頼したい内容

◎ 医療処置の必要性と内容
 在宅で継続して行う医療処置や使用機器
 使用している医療器具等のサイズ、種類
  、最終交換日
 処置の指導内容と習熟度
 処置を行うのは誰か
ターミナル期

 治療経過と本人の病気の理解度
 主治医から本人・家族への病状説明
 病院スタッフと訪問看護師との対応統一(病
  状、予後など)
 休日・夜間の緊急時の対応方法
 日中の相談窓口
 緩和ケア認定看護師の活用方法
 外来通院中の患者の依頼時の連携方法
ご清聴
  ありがとうございまし
 た。

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医療機関と訪問看護の連携

Notes de l'éditeur

  1. 医療機関と訪問看護の連携 訪問看護での必要な情報 ●
  2. まずはじめに、療養者のことを、病院では患者・訪問看護では利用者と呼んでいますが、今回は患者で統一させて頂きます。 当ステーションでは、退院前の連携として、退院カンファレンスの参加や、処置方法の見学をさせて頂いております。 退院カンファレンスでは、病状のことや在宅療養に移行する際の問題点、継続して行う処置の内容の確認、家族状況、介護サービスの利用についてなどの話し合いを行っています。 退院後の主治医については、在宅医導入の必要性や主治医の医師との緊急時の対応方法についての確認を行っています。 褥瘡や創処置がある方に関しては、形成外科の医師や皮膚排泄ケア認定看護師の指導のもと、処置方法の見学をさせて頂いています。●
  3. 今回、当ステーションで訪問看護を行った患者について、対応方法に困ったケースがあったので、報告させていただきます。事例については、先ほど、高砂市民病院の方より紹介された方と同じ方ですので、省略させていただきます。
  4. 今回、訪問看護を実施している中で、訪問看護師や主治医に対する不満があるような言動がみられ、病院と訪問看護が統一した対応を行わなければならないことが度々ありました。 例えば、本人が今までの治療経過や、検査データの値を話だし、それについて訪問看護師が知らないことがあると、『何で知らんのや』と不満を漏らすこともあり、訪問看護師に対する不信感が感じられる場面もありました。 また、肺音については、『きれいと言う人もいれば、ちょっとおかしいという人もいる』など、その日によって変化があることにも、本人は気になり、受け入れることが出来ない状況でした。 退院カンファレンスの際に、少し気難しい人だということは聞いていましたが、患者がひとつひとつの言葉にすごく敏感で、看護師は自分の経過を知っていて当たり前という考えを持っていたため、退院時から病院スタッフと訪問看護師の言葉や対応に統一性をもった関わりが必要であったと考えます。 化学療法中の副作用の出現についても、訪問看護師が『副作用かな?』と言うと、自分の状況をきちんと見れていないと言わんばかりに、怒鳴って怒ることもありました。 化学療法中の副作用や注意点については、患者や家族に説明する際に、個別に注意点や副作用が書いた用紙などがあれば、訪問看護師も把握でき、患者や家族と情報共有ができると考えます。
  5. 訪問看護で必要な情報 皆さんにお聞きしたいのですが、訪問看護をどのように理解されていますか?
  6. 患者情報としましては、 患者の基本情報 氏名、住所などと主治医についてです。 病名、病状は 医師・看護師が病名や病状をどのように説明しているのか また、患者本人や家族の理解度と説明をきいてどのように受け止めているか 告知はされているか、予後の説明はどのようにしているか
  7. 患者の身体状況として 既往歴、感染症の有無、ADL、嚥下の状態や食形態、最終排便日など です。
  8. 家族の情報は 家族構成(独居かどうか)、キーパーソンは誰か、などです。 家族情報については、訪問看護を行いながら、情報収集できるのでおおまかな情報でよいです。
  9. その他の情報として 褥瘡処置、ターミナルケア、リハビリなど、訪問看護に依頼したい内容について また、医療処置の必要性と内容です。 退院後も継続して行う医療処置や使用機器、サイズや種類についての情報があれば、機器・物品の調達やレンタルについての手配や情報提供を行っていきます。
  10. ターミナル期の方の情報としましては 治療経過や病気の理解度、 病状説明をどのように聞いて理解しているか 病院スタッフと訪問看護師との対応統一のための情報交換 休日・夜間の対応方法と緊急時や死亡時はどうのように対応したらよいか 日中の相談窓口として、どの部署の担当者、例えば地域連携室や外来担当看護師、緩和ケア認定看護師など、誰に相談したらよいか また、緩和ケア認定看護師にどのような時に相談をしたらよいか活用方法などを示していただけると、スムーズに連携がとれると考えます。 外来通院中の患者については、通院がしんどいなどの理由で、訪問看護を急遽依頼されるケースがあり、家族や本人が病気に対して理解できていなかったり、 訪問看護をどのようにして利用したらよいかを理解できていないために、定期的な訪問に繋がらないまま終了になるケースや在宅医に急遽往診依頼し、在宅医に多大な迷惑をかける結果となることもありました。 外来患者についても、カンファレンスの機会をもって頂きたいと思います。
  11. ご静聴ありがとうございました。