SlideShare une entreprise Scribd logo
1  sur  39
わからなかったのは
俺のせいなのか?
インストラクショナルデザインで
レクチャーを設計する
肺炎勉強会
肺炎の診断から治療までを
丁寧にレクチャーします
日時
〇月〇日 10:30~12:00
場所
××会館 3F講堂
効果的な学習を生むための方法論
インストラクショナルデザイン
その悲劇を防ぐのが
Kolbの経験学習モデルをベースとして
研修前後を含めて
その場でしか学べない
研修の目標のために
経験
振り返り
概念化
実践
他に応用できるように教訓化
自分で考え,動く
何が起きていたか
教訓をもとに挑戦
内容にする
des of Your Brain, New Mind-Mapping Techniquws, Third Edition (Plume)Paperback,
January 1, 1991
Keller, J. M. (2008).
First principles of motivation to learn and e3-learning.
Distance Education, 29 (2), 175–185.
Attention
Relevance
Confidence
Satisfaction
Volition
注意
関連性
自信
満足感
意欲
知識とのギャップから好奇心をくすぐり,面白そうと思わせる
ゴールに関連があってやりがいを感じさせる
課題をクリアできそうと思わせる
やってよかった,と思わせる
動機づけをして,継続的にやりたいと思わせる
ex)成功例を提示,疑問を投げる,これまでの知識の矛盾を指摘,謎解きとか
ex)身近な事例.これまでの知識がどうつながるか説明,目標達成のメリットを説明
ex)ゴールまでの道をマイルストーンも含めて説明,最近接領域にゴール設定
ex)応用問題で努力の成果を確かめほめる,説明していない内容は課題に出さない
ex)セッション後に定期的に振り返る
des of Your Brain, New Mind-Mapping Techniquws, Third Edition (Plume)Paperback,
January 1, 1991
Merrill, M. D. (2002).
First principles of instructions,
Educational Technology Research and Development, 50 (3), 43-59.
課題
現実に起こりそうな問題に挑戦する
既に知っている知識を動員する
一般論の説明だけでなく,実際の方法,解決策を例示する
学習内容を試し,応用する機会を作る
現場で活用し,振り返るチャンスがある
ex)現場での問題を取り上げ,セッションでどう解決できるかを示す
ex)これまでの経験やスキルに関連付ける工夫をし,それを使う機会を作る
ex) 学習内容を実践例を示す.それを使用していないケースと比較する
ex)学んだスキルを安全に試せる環境を作り、繰り返させる.
ex)セッション後に現場で定期的に振り返させる
活性化
例示
応用
統合
des of Your Brain, New Mind-Mapping Techniquws, Third Edition (Plume)Paperback,
January 1, 1991
ADDIEモデル
教育の設計プロセス
PDCAサイクルみたいな感じ
A
D
D
I
E
Analysis
分析
Design
設計
Development
開発
Implementation
実施
Evaluation
評価
Robert M. Gagné, Walter W. Wager, Katharine C. Golas, John M. Keller,
鈴木 克明 監訳 (2007), インストラクショナルデザインの原理,
北大路書房,p25-50
フィードバックをかけながら
改善させていく
January 1, 1991
大人相手だから
それぞれの経験を生かせるようにする
一般論の講義ではなく
実践に生きるというのを実感してもらう
楽しく,やりがいがあると思うように設計
セッション後にどう続けるかまでも含めて考える
さきほどの事例を
見ていきましょう!
告知文が全然魅力的でない
誰を対象として
何を学ぶのかがわからない
参加者のよくある問題と解決法を示す
参加する具体的なメリット
参加しないデメリット
参加者の実践事例
参加者の声
研修デザインハンドブック:
日本能率協会マネジメントセンター,2018.
中村 文子 (著), ボブ・パイク (著)
出鼻でくじかれてる!
せっかくのやる気が,
参加者にはどうでもいい話で
そがれてしまった
参加者の関心事を解決すると伝える
参加者同士のネットワーキングを促す
研修内容に関係する
自尊心を維持できるような内容
講師・参加者ともに楽しめる
好奇心をくすぐる要素がある 研修デザインハンドブック:
日本能率協会マネジメントセンター,2018.
中村 文子 (著), ボブ・パイク (著)
誰にむけてのレクチャー?
誰がターゲットで
何を教えたいのか不明
経歴
人数
内容の事前理解度
普段困っていること
期待していること
専門用語の可否
アンケートやインタビューでチェック
研修デザインハンドブック:
日本能率協会マネジメントセンター,2018.
中村 文子 (著), ボブ・パイク (著)
ゴールは?全部言う?
目標設定されずに
全部をダラダラ話されても
つらい
そのゴールを達成するための研修にする
ブルームの3つの学習領域から
認知的領域(知識:Knowledge)
精神運動的領域(技能:Skill)
情意的領域(態度:Attitude)
それぞれの目標を作り
全体目標を達成したい
その研修のゴールを具体的に設定する
Bloom’s Taxonomy:
Understanding the Framework and Its Importance in Education
<https://educerecentre.com/what-are-the-three-domains-of-blooms-
taxonomy/#what-are-the-three-domains-of-blooms-taxonomy>
des of Your Brain, New Mind-Mapping Techniquws, Third Edition (Plume)Paperback,
January 1, 1991
一般的な大人は90分間理解しながら聞くことはできるが
記憶に残しながら聞くことができるのは20分間
に一度は情報を飲み込む時間(リビジット)を入れる
Tony Buzan. Use Both Sides of Your Brain, New Mind-Mapping Techniquws, Third Edition (Plume), January 1, 1991
90分
8分(webだと4分)
までを1セッションにする
20分
に一度は参加を入れる.飽きる
研修デザインハンドブック:
日本能率協会マネジメントセンター,
2018.中村 文子 (著), ボブ・パイク (著)
オンライン研修ハンドブック:
日本能率協会マネジメントセンター,2022.中村 文子 (著), ボブ・パイク (著)
30日間以内の実践で必須となる知識・スキル
目標達成のために重要な内容
に絞って構成する
本・動画でなく,セッションでしかできない内容か?
これを学べば目標を達成できるか?
優先順位をつけるポイント
研修デザインハンドブック:
日本能率協会マネジメントセンター,2018.
中村 文子 (著), ボブ・パイク (著)
話せる空気がない
心理的安全性がない
人数が多くて黙ってられる
1グループあたりに学習者は5~6人(webだと3~4人)
それ以上増えると発言のハードルが高くなる
実際にありそうな内容
これまでの他の経験を活かせる内容
心理的安全性を保つ
心理的安全性のつくりかた.
日本能率協会マネジメントセンター.2020年.石井 遼介
研修デザインハンドブック:日本能率協会マネジメントセンター,2018.中村 文子 (著), ボブ・パイク (著)
オンライン研修ハンドブック:日本能率協会マネジメントセンター,2022.中村 文子 (著), ボブ・パイク (著)
話しやすさ:何を言っても大丈夫
助け合い :困ったときはお互い様.感謝
挑戦 :とりあえずやってみよう
新奇歓迎 :変わった意見,大歓迎!
内容はブルームの3つの学習領域から
知識
技能
態度 Bloom’s Taxonomy:
Understanding the Framework and Its Importance in Education
<https://educerecentre.com/what-are-the-three-domains-of-blooms-
taxonomy/#what-are-the-three-domains-of-blooms-taxonomy>
発達の最近接領域理論を意識
ヴィゴツキー著『「発達の最近接領域」の理論』土井捷三・神谷栄司訳、三学出版、2003年
難易度はちょっと背伸びすればできるくらい
:細分化,ハンズオン.徐々に難易度を上げる
:インパクトある方法で感情に訴える
:クイズや課題で過去の知識・経験を活用
ただの答え合わせ?
グループワークの
意味なくない?
講義→グループワーク→共有だと
どうしても正解探し,予定調和感が出る
Kolbの理論からは
グループワーク
の順番がそれぞれの経験を生かした学びにつながり
意見の補足という視点で講義をすると締まる
共有 講義
研修デザインハンドブック:
日本能率協会マネジメントセンター,2018.
中村 文子 (著), ボブ・パイク (著)
経験
振り返り
概念化
実践
経験 振り返り 概念化
クロージングが死んでる
次のステップにつなげなきゃ
学んだことをアウトプットして定着し
部屋から出て,実践につなげるために
自分の学んだことを振り返る
アクションプランを立てる
メッセージ性のある締め言葉や講師の体験談
この時間を取るとよい
研修デザインハンドブック:
日本能率協会マネジメントセンター,2018.
中村 文子 (著), ボブ・パイク (著)
三日坊主になっちゃうよね
セッション後フォローがなく,
実践に繋がってない
やりっぱなしではなく
学習者,プログラムの評価をする
カークパトリックの4段階評価で
レベル3まで行きたい!
Kirkpatrick JD, et al.
Kirkpatrick’s Four Levels of Training Evaluation.
Amer Society for Training;2016.
レベル1 反応 研修満足度 事後アンケート
レベル2 習得 項目習得度
テスト
ロールプレイ
レベル3 行動 現場実践度
直接聞く
上司に聞く
レベル4 成果 現場での成果
売上
患者満足度など
セッションのみではすぐ内容を忘れる
断続的な暴露で記憶の定着を狙う
1ヶ月間に計6回のフォローアップが長期記憶に
30日後には10%以下しか覚えていなかったが
30日以内に間隔を開けながら繰り返すと30日後には90%以上覚えている
Albert Mehrabian. Silent Messages: Implicit Communication of Emotions and Attitudes, July 1,1972.
研修デザインハンドブック:
日本能率協会マネジメントセンター,2018.
中村 文子 (著), ボブ・パイク (著)
理解度テスト
SNSでの状況やアクションプランの共有
*これまでの経験では,けっこう難しい.
同一施設内にいる場合には声掛けをするというのはできそう
連絡先を伝えてアドバイザーになれると門戸を開いておくのはあり
講師が何を教えたか
ではなく
学習者が
何を実践できる
ようになったか
を考えよう
instructional design2023.pdf

Contenu connexe

Plus de 東京北医療センター

Plus de 東京北医療センター (20)

家族志向.pdf
家族志向.pdf家族志向.pdf
家族志向.pdf
 
足軽在宅医.pdf
足軽在宅医.pdf足軽在宅医.pdf
足軽在宅医.pdf
 
SPIN.pdf
SPIN.pdfSPIN.pdf
SPIN.pdf
 
TSA.pdf
TSA.pdfTSA.pdf
TSA.pdf
 
yokota style.pdf
yokota style.pdfyokota style.pdf
yokota style.pdf
 
diagram_pyramid.pdf
diagram_pyramid.pdfdiagram_pyramid.pdf
diagram_pyramid.pdf
 
new image modality.pdf
new image modality.pdfnew image modality.pdf
new image modality.pdf
 
diagram_cycle.pdf
diagram_cycle.pdfdiagram_cycle.pdf
diagram_cycle.pdf
 
diagram_Organization.pdf
diagram_Organization.pdfdiagram_Organization.pdf
diagram_Organization.pdf
 
diagram_step.pdf
diagram_step.pdfdiagram_step.pdf
diagram_step.pdf
 
diagram_benn.pdf
diagram_benn.pdfdiagram_benn.pdf
diagram_benn.pdf
 
diagram_mind map.pdf
diagram_mind map.pdfdiagram_mind map.pdf
diagram_mind map.pdf
 
STEP.pdf
STEP.pdfSTEP.pdf
STEP.pdf
 
grief care.pdf
grief care.pdfgrief care.pdf
grief care.pdf
 
diagram_general.pdf
diagram_general.pdfdiagram_general.pdf
diagram_general.pdf
 
AGREE2_tokyokita.pdf
AGREE2_tokyokita.pdfAGREE2_tokyokita.pdf
AGREE2_tokyokita.pdf
 
tanaka style.pdf
tanaka style.pdftanaka style.pdf
tanaka style.pdf
 
design variation 2.pdf
design variation 2.pdfdesign variation 2.pdf
design variation 2.pdf
 
framework for meeting_Information comparison.pdf
framework for meeting_Information comparison.pdfframework for meeting_Information comparison.pdf
framework for meeting_Information comparison.pdf
 
Framework for meeting idea
Framework for meeting ideaFramework for meeting idea
Framework for meeting idea
 

instructional design2023.pdf