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内容
ドローンとは................................................................................................................. 2
ドローンの何が画期的か.............................................................................................. 2
1. 誰にでも操縦しやすい........................................................................................ 2
2. 人間が行き難い場所へ容易に行ける.................................................................. 3
3. 様々な機器等を搭載できる................................................................................ 3
ドローンの活用される分野........................................................................................... 3
1. 映像製作.............................................................................................................. 3
2. 測量..................................................................................................................... 3
3. その他................................................................................................................. 4
土地家屋調査士としてのドローン利用の試み1-測量現場でドローンを飛ばすまで
に-............................................................................................................................... 4
1. 飛行にあたっての法的ハードル......................................................................... 4
2. 飛行時間と技能................................................................................................... 6
3. オルソ画像作成のための画像解析ソフトウェア............................................... 6
終わりに........................................................................................................................ 8
土地家屋調査士の
ドローン利活用可能性 (第一回)
広島支部 山中 匠
ドローンとは
近年、良きにつけ悪しきにつけマスコ
ミに取り上げられる事も多く、また様々
な分野で急激に利用の拡大が進むドロー
ンですが、正式には UAV (Unmanned
Aerial Vehicle)もしくは UAS
(Unmanned Aircraft Systems)と呼
ばれます。
多くの方は恐らくドローンと言うと上の
絵の様に誰かが手動遠隔操作しているも
のを思い浮かべられると思うのですが、
実はこれは本来的な意味ではドローンで
はありません。厳密な意味でのドローン
は手動での「遠隔操作」ではなく、「自
律飛行をする」無人航空機のことを指し
ます。しかし、現在では上の用なマルチ
コプター型の遠隔操作機も一般的ドロー
ンと呼ばれるようになり、矢張り自律飛
行ではなく人が操作する専用機体による
「ドローンレース」という競技も存在し
ています。(これについては YouTube
等で検索して頂きますと、迫力のある動
画を多数観ることが出来ます。)
ここではその辺りの厳密な定義はとり
あえず横に置いておき「所謂、一般的に
ドローンと呼ばれているもの」について
書いてゆこうと思っています。
ドローンの何が画期的か
1. 誰にでも操縦しやすい
本来、こうした小型の無人航空機の操
縦は非常に難しいものでした。”ホバリ
ング(空中での静止)するだけでもひと
苦労”であった昔のシングルローター型
ラジコンヘリや GPS 機能のないホビー
ドローンの操縦をしたことのある方には
お分かり頂けるのではないかと思いま
す。(かく言う筆者もラジコンヘリは飛
ばしたことはないのですが)
しかし近年、扱い易く価格的にも手に
入り易い機体が次々と登場してきまし
た。その背景には、姿勢制御の為のセン
サー類、GPS ユニットや演算装置の高性
能化・小型化、同様の技術を利用し普及
してきたスマートフォンからの技術のド
ローンへの転用が進んだことがあると考
えられます。
センサーと演算装置による姿勢制御や
GPS を断ってしまえば、例え現在のドロ
ーンと言えどホバリングの為だけでも常
に複数の操作を同時に行いながら姿勢の
調整を続ける必要があります。こうした
細かな調整を機体内部の処理で自動化で
きたことによって容易な操作ることが可
能になってきたのです。
2. 人間が行き難い場所へ容易に行ける
小型で空中を自在に飛び回る事の出来
るドローンはまさに鳥の様に人の足や視
点の届かない場所へ簡単に飛んで行く事
が出来ます。
道路が無い場所でも、10 メートル、
20 メートルといった高低差がある場所
も様に進み、人の見えないその上、その
向こう側まで達する事が出来るのです。
災害時利活用への期待はこうした特徴に
よるところもあるでしょう。
3. 様々な機器等を搭載できる
ただ飛ばすだけであれば子供のラジコ
ン遊びと大差のないドローンですが最大
の利点はこれに、機体の最大積載量内で
センサー等の機器を搭載して飛ぶことが
出来るということでしょう。機体として
のドローンによって鳥の“視点”が手に
入るようになったところで、肝心の鳥の
“目”としてどのような情報を取得する
センサーを搭載するかが用途によって異
なる所となります。
ドローンに搭載される代表的な光学セ
ンサー機器としてはカメラが挙げられま
す。一般に有名なドローンは現在殆どが
標準でカメラを搭載しており、ドローン
世界シェア NO1 企業である DJI 社など
は自らの商品を「フライングカメラ」と
称するなど今やドローンとカメラは不可
分のもののようにもなっている感もあり
ます。
ドローンの活用される分野
1. 映像製作
最近ではテレビ番組から報道写真、
CM 映像に至るまでドローンによる空撮
映像を目にしない日はないと言っても過
言ではありません。高画質なカメラを搭
載して安定した飛行を行えるドローンの
登場によって映像撮影・製作の世界は短
期間で大きく様変わりしたと言っても良
いでしょう。
2. 測量
同じ映像撮影でも「カメラが空を飛ぶ」
によって私達、測量技術者が受ける恩恵
は大きく、今まで個人レベル、個人事務
所レベルでは難しかった空中写真撮影
を、限られた狭いエリアで、低空から高
い地上解像度で行うことが可能になりま
した。
平面画像が必要なだけの場合でも、画
像解析の段階で測量対象土地の 3 次元デ
ータが作成されることから、横断面図や
土量計算などより用途に応じて多目的に
データ利用が可能になることも従来の測
量との大きな違いです。
また現在ではまだ高価な LIDAR
(LIght Detection And Ranging)の
搭載も小型化、低価格化が進んでゆけば
さらに測量の在り方に大きなインパクト
を与えることになると思われます。
3. その他
他分野ではマルチスペクトルセンサー
をドローンに搭載して広範囲に生育をモ
ニタリングするといった農業での活用、
赤外線サーモグラフィカメラ搭載ドロー
ンによる太陽光パネル、建築物・建造物
の点検といった活用もあります。
図 1: 農業用の Parrot 社マルチスペクトルセン
サー Sequoia(出典:同社製品サイト)
また「鳥の視点」の活用とは違ってき
ますが、ドローンの最大積載量内で物を
運ぶことそれ自体を目的とするという物
流分野での利活用法も Amazon、楽天と
いった大企業の商品配送のほか、過疎地
での処方薬の配達といった用途で検討が
されています。
他にも冒頭で述べたようにドローンを
コースで飛ばしてその速さを競う「ドロ
ーンレース」も新しいモータスポー
ツ・エンターテイメントとして未知数
ながら 2020 年までに市場規模は 10
兆円になる可能性を秘めているとも言
われており [細谷元, 2015 年 9 月 30
日]ドローンの利活用法についてはこの
先も暫く様々な試みが行われゆくと思
われます。
土地家屋調査士としてのドロー
ン利用の試み1-測量現場でド
ローンを飛ばすまでに-
1. 飛行にあたっての法的ハードル
前段で述べたように測量を行うにあた
ってドローンの利用は大きな力となり得
ます。しかし、その飛行の為のハードル
は決して低くはありません。
航空法の規制
代表的なドローン規制として前年 12 月
に改正された航空法による規制がありま
す。この規制は 200g 以上の重量のドロ
ーンに適用されます。
これには、飛行空域(飛ばしてはいけ
ない場所)について航空法第132条で
図3、飛行方法(してはいけない飛ばし
方)について航空法第132条の2で図
4のように大きく2つに分けた規制がさ
れています。
図 2:筆者取得の飛行許可・承認証
それぞれ規制外での飛行空域については
国土交通大臣の「許可」が、規制外での
飛行方法については「承認」が必要とな
り、国交省への申請を行って飛行するこ
ととなります。
筆者は2つの理由で測量でのドローン
利用に際してはこの航空法に関する許
可・承認を取得しておく方が良いと考え
ています。
1つは現在空中写真測量を行うにあた
って、最低限の性能を持ったドローンで
200g 未満の機体は現在、筆者の知る限
りでは存在しないことです。機体の安定
性や性能、カメラの性能や搭載の方法な
どで 200g 未満の小型機で取得する画像
はブレやこんにゃく現象(真っ直ぐのも
のが曲がって写ってしまう)等が見受け
られ現状難があると考えています。
2つ目は例え図 3 の航空法第 132 条
の規制対象外区域であっても、図4の航
空法第 132 条の2の「人(第三者)又
は物件(第三者の建物、自動車など)と
の間に30m以上の距離を保って飛行さ
せること」を守っての飛行が出来る現場
というのは殆どないことです。この「物
件」には電柱や電線も含まれるというこ
とがポイントになります。電柱
や電線の所有権は電力会社や通
信会社のものですから例え地権
者の同意を得ることの出来た人
口密集地外の土地でも半径3
0m以内に電線電柱のない離
発着場所を見つけるのはかな
り難しくなってきます。
その他法令や条例による規制
道路交通法は当然ドローンの登場を予
定していないものですが、道路上の飛行
や道路からの離発着については抵触する
可能性のある条文もあり、これらは道路
使用許可なしで行う事は実質的に不可能
と考えられます。
その他、広島ではあまり問題になるこ
とはありませんが、小型無人機等飛行禁
止法では、国会議事堂、内閣総理大臣官
邸その他の国の重要な施設等、外国公館
等及び原子力事業所の周辺地域の上空が
飛行禁止としている他、各自治体の条例
により飛行が禁止されている区域もあり
ますので飛行を行おうとする場合、飛行
を予定している場所が航空法外でもなん
らかの規制に掛かっていないかを慎重に
調査しておくことが重要です。
また、200g 未満の機体の飛行を含め
て適法な飛行であっても報道等の影響で
ドローンそのものに悪印象を持つ方から
警察へ通報をされる可能性も十分にあり
ます。
筆者個人は最も飛行を行う頻度の高い
と思われる地元の管轄警察署のドローン
担当課(これは署によって異なる可能性
図 3:航空法第 132 条の規制対象となる空域のイメージ(出典:国交省サイト)
図 4:航空法第 132 条の2の規制対象となる飛行方法のイメージ(出典:国交省サイト)
があります)と事前の協議を持ち、当方
の許可承認証明書のコピーを警察署に控
えておいてもらい、飛行の際は可能な限
り事前に書面で日時・期間や場所等を通
知した上で行うこととしています。
2. 飛行時間と技能
国土交通省への許可・承認申請にあた
って概ね 10 時間以上の飛行経歴が求め
られています。
規制が厳しく許可や承認なしで飛ばせ
る場所が非常に少ないにも関わらず、飛
行の実績がないと申請が出来ないという
のは申請上一番のネックになってくる部
分でもあります。
筆者は、測量用に本格的なドローンを
購入する前から小型で数千円程度のト
イ・ドローン(意外かもしれませんが、
本格的なものよりも操縦は難しい)で練
習を重ねて飛行記録をつけ、また本格的
なドローンを購入した後も規制区域外の
飛行に加えて、フライトシミュレータの
ソフトを利用して(こちらはかなり実機
の操作感に近い)をこれも飛行記録の時
間に組み込みました。
しかし、この許可・承認申請そのもの
が始まってまだ 1 年程度しか経っていな
いものであり現在の審査担当部署(国土
交通省 航空局 安全部 運航安全課
無人航空機審査グループ)の担当官も本
来ドローンの専門家というわけではない
でしょうから、筆者もやりとりをしてい
る中では試行錯誤な部分もあるように感
じられます。審査担当官毎の解釈で何が
飛行経歴と認められるかは多少変わる可
能性もありますし、飛行経歴等について
の審査基準の変更で筆者のような形の飛
行経歴は認められなくなる可能性もあり
ます。
何れにしても現場である程度安全に機
体を飛ばせるであろうという自信を自分
でも持て、かつ担当官に納得してもらえ
るだけの飛行時間と技能が必要となるこ
とは間違いありません。
3. オルソ画像作成のための画像解析ソ
フトウェア
丁度、一年前の会報への寄稿でも少し
触れさせて頂いたのですが、ドローン本
体とセットで必要となってくるのが SfM
(Structure from Motion ) MVS
(Multi-View. Stereo)技術を用いて画
図 6:空中写真のオルソ画像化(出典: 国土地理院サイト)
像解析を行ってくれるソフトウェアで
す。
こうしたソフトウェアでドローンから
撮影した空中写真から地上の三次元モデ
ル化を行いオルソ画像化するもので従来
の航空写真測量の工程の中で言えば、図
化機のような役割をイメージして頂けれ
ば良いのではないかと思います。
代表的なものにスイス Pix4D 社製
Pix4D mapper(100 万円程度)、ロシ
ア AgiSoft 社製 Photoscan(50 万円程
度)等があります。また、買切りのソフ
トウェアでなく月毎/年間課金のウェブ
サービスとしてドローンの画像解析に特
化した DroneDeploy、PropellerAero
も登場し上記 Pix4D 社もこういったサ
ービス形態に対応してきつつあります。
いずれも高価なものが多い為、費用を
掛けずにまず試してみるには
DroneDeploy 等 Web サービスのフリー
プラン内でまずは試行錯誤してみるのも
一つの方法です。
またもう一つの方法としてフリーウェ
アを利用する方法もあります。これにつ
いては「VisualSFM と MeshLab と
CloudCompare によるドローン撮影画
像を用いたデジタル地図作成」
(http://www.slideshare.net/HiroshiY
amaguchi5/visualsfmmeshlabcloudco
mpare-ccby:山口欧志 2015 年 11 月
17 日)等で分かりやすく紹介されてい
ます。(但し VisualSFM については商
用利用が禁じられていますので注意が必
要です)
図 7:筆者がスマートフォンで撮影した彫像(眠れるアリアドネ)を Photoscan 上で三次元復元したもの。
オルソ画像作成意以外にも SfM/MVS 技術には広い利活用方法が考えられる。
また筆者は未使用ですが商用利用化の
フリーソフトウェアとして
OpenDroneMap
(https://github.com/OpenDroneMap
)の開発も進められています。
ちなみに、筆者は AgiSoft の製品、
Photoscan を利用しています。何れのソ
フトウェアを利用しても構わないと思い
ますが CAD と同様ソフトウェアは機能
を適切に使いこなし必要な結果に辿り着
く為のものです。必要となる三次元モデ
ル・オルソ画像の作成が出来る程度に習
熟する必要があります。
終わりに
今回は業務へのドローン導入に至るま
でのハードルに関する話がメインとなっ
てしまい、どちらかと言うと興味を持っ
ておられた方の折角のモチベーションを
削いでしまうかもしれないような事も
色々と書いてきました。しかし、ドロー
ンを誰でも比較的簡単・安定的に操作す
ることが出来るようになったとはいえ、
それは様々な繊細な先端技術に支えられ
てのことでもあります。
実際に上空数十メートルを飛行するモ
ノが思うようにコントロール出来ず墜落
するような自体が生じた場合、大きな被
害が出る可能性は十分考えられます。新
しい技術の利活用による産業の発展との
バランスも言われますが、ある程度ハー
ドルの高い規制が設定されてしまうのも
或る面では当然でもあります。
まして、各種空撮や農業、土木等の他
分野でドローンを運用している方々が知
っていることを、より法令に詳しくある
べき国家資格者であり測量専門家でもあ
る私達が「知らなかった」ことで不用意
な事故を起こして報道されてしまうなど
いう様なことはなんとして避けたい所で
もあります。(万が一の時の為には、国
交省への許可承認申請上も必須とされて
いますが、自動車の運転や土地家屋調査
士業務と同様、ドローンにも損害賠償責
任保険があります。)
土地家屋調査士の職能に加えてドロー
ンを使いこなす事によって開ける可能性
は決して小さいものではないと筆者は考
えています。しかし、はやる気持ちを押
さえてでも現場での飛行に至るまでは諸
先輩方の築き上げてきた品位と信頼を損
なう事のないよう慎重にとも考えていま
す。
土地家屋調査士は最新技術を利用して
社会に貢献できる存在でありたいもの
で、技術利用のために社会に迷惑を掛け
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コーディング規約「Scratch編」v1.0
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コーディング規約_Scratch編_v1.1
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土地家屋調査⼠のドローン利活用可能性(第一回)

  • 1. 内容 ドローンとは................................................................................................................. 2 ドローンの何が画期的か.............................................................................................. 2 1. 誰にでも操縦しやすい........................................................................................ 2 2. 人間が行き難い場所へ容易に行ける.................................................................. 3 3. 様々な機器等を搭載できる................................................................................ 3 ドローンの活用される分野........................................................................................... 3 1. 映像製作.............................................................................................................. 3 2. 測量..................................................................................................................... 3 3. その他................................................................................................................. 4 土地家屋調査士としてのドローン利用の試み1-測量現場でドローンを飛ばすまで に-............................................................................................................................... 4 1. 飛行にあたっての法的ハードル......................................................................... 4 2. 飛行時間と技能................................................................................................... 6 3. オルソ画像作成のための画像解析ソフトウェア............................................... 6 終わりに........................................................................................................................ 8
  • 2. 土地家屋調査士の ドローン利活用可能性 (第一回) 広島支部 山中 匠 ドローンとは 近年、良きにつけ悪しきにつけマスコ ミに取り上げられる事も多く、また様々 な分野で急激に利用の拡大が進むドロー ンですが、正式には UAV (Unmanned Aerial Vehicle)もしくは UAS (Unmanned Aircraft Systems)と呼 ばれます。 多くの方は恐らくドローンと言うと上の 絵の様に誰かが手動遠隔操作しているも のを思い浮かべられると思うのですが、 実はこれは本来的な意味ではドローンで はありません。厳密な意味でのドローン は手動での「遠隔操作」ではなく、「自 律飛行をする」無人航空機のことを指し ます。しかし、現在では上の用なマルチ コプター型の遠隔操作機も一般的ドロー ンと呼ばれるようになり、矢張り自律飛 行ではなく人が操作する専用機体による 「ドローンレース」という競技も存在し ています。(これについては YouTube 等で検索して頂きますと、迫力のある動 画を多数観ることが出来ます。) ここではその辺りの厳密な定義はとり あえず横に置いておき「所謂、一般的に ドローンと呼ばれているもの」について 書いてゆこうと思っています。 ドローンの何が画期的か 1. 誰にでも操縦しやすい 本来、こうした小型の無人航空機の操 縦は非常に難しいものでした。”ホバリ ング(空中での静止)するだけでもひと 苦労”であった昔のシングルローター型 ラジコンヘリや GPS 機能のないホビー ドローンの操縦をしたことのある方には お分かり頂けるのではないかと思いま す。(かく言う筆者もラジコンヘリは飛 ばしたことはないのですが) しかし近年、扱い易く価格的にも手に 入り易い機体が次々と登場してきまし た。その背景には、姿勢制御の為のセン サー類、GPS ユニットや演算装置の高性 能化・小型化、同様の技術を利用し普及 してきたスマートフォンからの技術のド ローンへの転用が進んだことがあると考 えられます。
  • 3. センサーと演算装置による姿勢制御や GPS を断ってしまえば、例え現在のドロ ーンと言えどホバリングの為だけでも常 に複数の操作を同時に行いながら姿勢の 調整を続ける必要があります。こうした 細かな調整を機体内部の処理で自動化で きたことによって容易な操作ることが可 能になってきたのです。 2. 人間が行き難い場所へ容易に行ける 小型で空中を自在に飛び回る事の出来 るドローンはまさに鳥の様に人の足や視 点の届かない場所へ簡単に飛んで行く事 が出来ます。 道路が無い場所でも、10 メートル、 20 メートルといった高低差がある場所 も様に進み、人の見えないその上、その 向こう側まで達する事が出来るのです。 災害時利活用への期待はこうした特徴に よるところもあるでしょう。 3. 様々な機器等を搭載できる ただ飛ばすだけであれば子供のラジコ ン遊びと大差のないドローンですが最大 の利点はこれに、機体の最大積載量内で センサー等の機器を搭載して飛ぶことが 出来るということでしょう。機体として のドローンによって鳥の“視点”が手に 入るようになったところで、肝心の鳥の “目”としてどのような情報を取得する センサーを搭載するかが用途によって異 なる所となります。 ドローンに搭載される代表的な光学セ ンサー機器としてはカメラが挙げられま す。一般に有名なドローンは現在殆どが 標準でカメラを搭載しており、ドローン 世界シェア NO1 企業である DJI 社など は自らの商品を「フライングカメラ」と 称するなど今やドローンとカメラは不可 分のもののようにもなっている感もあり ます。 ドローンの活用される分野 1. 映像製作 最近ではテレビ番組から報道写真、 CM 映像に至るまでドローンによる空撮 映像を目にしない日はないと言っても過 言ではありません。高画質なカメラを搭 載して安定した飛行を行えるドローンの 登場によって映像撮影・製作の世界は短 期間で大きく様変わりしたと言っても良 いでしょう。 2. 測量 同じ映像撮影でも「カメラが空を飛ぶ」 によって私達、測量技術者が受ける恩恵 は大きく、今まで個人レベル、個人事務 所レベルでは難しかった空中写真撮影 を、限られた狭いエリアで、低空から高 い地上解像度で行うことが可能になりま した。 平面画像が必要なだけの場合でも、画 像解析の段階で測量対象土地の 3 次元デ ータが作成されることから、横断面図や 土量計算などより用途に応じて多目的に データ利用が可能になることも従来の測 量との大きな違いです。 また現在ではまだ高価な LIDAR (LIght Detection And Ranging)の 搭載も小型化、低価格化が進んでゆけば さらに測量の在り方に大きなインパクト を与えることになると思われます。
  • 4. 3. その他 他分野ではマルチスペクトルセンサー をドローンに搭載して広範囲に生育をモ ニタリングするといった農業での活用、 赤外線サーモグラフィカメラ搭載ドロー ンによる太陽光パネル、建築物・建造物 の点検といった活用もあります。 図 1: 農業用の Parrot 社マルチスペクトルセン サー Sequoia(出典:同社製品サイト) また「鳥の視点」の活用とは違ってき ますが、ドローンの最大積載量内で物を 運ぶことそれ自体を目的とするという物 流分野での利活用法も Amazon、楽天と いった大企業の商品配送のほか、過疎地 での処方薬の配達といった用途で検討が されています。 他にも冒頭で述べたようにドローンを コースで飛ばしてその速さを競う「ドロ ーンレース」も新しいモータスポー ツ・エンターテイメントとして未知数 ながら 2020 年までに市場規模は 10 兆円になる可能性を秘めているとも言 われており [細谷元, 2015 年 9 月 30 日]ドローンの利活用法についてはこの 先も暫く様々な試みが行われゆくと思 われます。 土地家屋調査士としてのドロー ン利用の試み1-測量現場でド ローンを飛ばすまでに- 1. 飛行にあたっての法的ハードル 前段で述べたように測量を行うにあた ってドローンの利用は大きな力となり得 ます。しかし、その飛行の為のハードル は決して低くはありません。 航空法の規制 代表的なドローン規制として前年 12 月 に改正された航空法による規制がありま す。この規制は 200g 以上の重量のドロ ーンに適用されます。 これには、飛行空域(飛ばしてはいけ ない場所)について航空法第132条で 図3、飛行方法(してはいけない飛ばし 方)について航空法第132条の2で図 4のように大きく2つに分けた規制がさ れています。 図 2:筆者取得の飛行許可・承認証
  • 5. それぞれ規制外での飛行空域については 国土交通大臣の「許可」が、規制外での 飛行方法については「承認」が必要とな り、国交省への申請を行って飛行するこ ととなります。 筆者は2つの理由で測量でのドローン 利用に際してはこの航空法に関する許 可・承認を取得しておく方が良いと考え ています。 1つは現在空中写真測量を行うにあた って、最低限の性能を持ったドローンで 200g 未満の機体は現在、筆者の知る限 りでは存在しないことです。機体の安定 性や性能、カメラの性能や搭載の方法な どで 200g 未満の小型機で取得する画像 はブレやこんにゃく現象(真っ直ぐのも のが曲がって写ってしまう)等が見受け られ現状難があると考えています。 2つ目は例え図 3 の航空法第 132 条 の規制対象外区域であっても、図4の航 空法第 132 条の2の「人(第三者)又 は物件(第三者の建物、自動車など)と の間に30m以上の距離を保って飛行さ せること」を守っての飛行が出来る現場 というのは殆どないことです。この「物 件」には電柱や電線も含まれるというこ とがポイントになります。電柱 や電線の所有権は電力会社や通 信会社のものですから例え地権 者の同意を得ることの出来た人 口密集地外の土地でも半径3 0m以内に電線電柱のない離 発着場所を見つけるのはかな り難しくなってきます。 その他法令や条例による規制 道路交通法は当然ドローンの登場を予 定していないものですが、道路上の飛行 や道路からの離発着については抵触する 可能性のある条文もあり、これらは道路 使用許可なしで行う事は実質的に不可能 と考えられます。 その他、広島ではあまり問題になるこ とはありませんが、小型無人機等飛行禁 止法では、国会議事堂、内閣総理大臣官 邸その他の国の重要な施設等、外国公館 等及び原子力事業所の周辺地域の上空が 飛行禁止としている他、各自治体の条例 により飛行が禁止されている区域もあり ますので飛行を行おうとする場合、飛行 を予定している場所が航空法外でもなん らかの規制に掛かっていないかを慎重に 調査しておくことが重要です。 また、200g 未満の機体の飛行を含め て適法な飛行であっても報道等の影響で ドローンそのものに悪印象を持つ方から 警察へ通報をされる可能性も十分にあり ます。 筆者個人は最も飛行を行う頻度の高い と思われる地元の管轄警察署のドローン 担当課(これは署によって異なる可能性 図 3:航空法第 132 条の規制対象となる空域のイメージ(出典:国交省サイト) 図 4:航空法第 132 条の2の規制対象となる飛行方法のイメージ(出典:国交省サイト)
  • 6. があります)と事前の協議を持ち、当方 の許可承認証明書のコピーを警察署に控 えておいてもらい、飛行の際は可能な限 り事前に書面で日時・期間や場所等を通 知した上で行うこととしています。 2. 飛行時間と技能 国土交通省への許可・承認申請にあた って概ね 10 時間以上の飛行経歴が求め られています。 規制が厳しく許可や承認なしで飛ばせ る場所が非常に少ないにも関わらず、飛 行の実績がないと申請が出来ないという のは申請上一番のネックになってくる部 分でもあります。 筆者は、測量用に本格的なドローンを 購入する前から小型で数千円程度のト イ・ドローン(意外かもしれませんが、 本格的なものよりも操縦は難しい)で練 習を重ねて飛行記録をつけ、また本格的 なドローンを購入した後も規制区域外の 飛行に加えて、フライトシミュレータの ソフトを利用して(こちらはかなり実機 の操作感に近い)をこれも飛行記録の時 間に組み込みました。 しかし、この許可・承認申請そのもの が始まってまだ 1 年程度しか経っていな いものであり現在の審査担当部署(国土 交通省 航空局 安全部 運航安全課 無人航空機審査グループ)の担当官も本 来ドローンの専門家というわけではない でしょうから、筆者もやりとりをしてい る中では試行錯誤な部分もあるように感 じられます。審査担当官毎の解釈で何が 飛行経歴と認められるかは多少変わる可 能性もありますし、飛行経歴等について の審査基準の変更で筆者のような形の飛 行経歴は認められなくなる可能性もあり ます。 何れにしても現場である程度安全に機 体を飛ばせるであろうという自信を自分 でも持て、かつ担当官に納得してもらえ るだけの飛行時間と技能が必要となるこ とは間違いありません。 3. オルソ画像作成のための画像解析ソ フトウェア 丁度、一年前の会報への寄稿でも少し 触れさせて頂いたのですが、ドローン本 体とセットで必要となってくるのが SfM (Structure from Motion ) MVS (Multi-View. Stereo)技術を用いて画 図 6:空中写真のオルソ画像化(出典: 国土地理院サイト)
  • 7. 像解析を行ってくれるソフトウェアで す。 こうしたソフトウェアでドローンから 撮影した空中写真から地上の三次元モデ ル化を行いオルソ画像化するもので従来 の航空写真測量の工程の中で言えば、図 化機のような役割をイメージして頂けれ ば良いのではないかと思います。 代表的なものにスイス Pix4D 社製 Pix4D mapper(100 万円程度)、ロシ ア AgiSoft 社製 Photoscan(50 万円程 度)等があります。また、買切りのソフ トウェアでなく月毎/年間課金のウェブ サービスとしてドローンの画像解析に特 化した DroneDeploy、PropellerAero も登場し上記 Pix4D 社もこういったサ ービス形態に対応してきつつあります。 いずれも高価なものが多い為、費用を 掛けずにまず試してみるには DroneDeploy 等 Web サービスのフリー プラン内でまずは試行錯誤してみるのも 一つの方法です。 またもう一つの方法としてフリーウェ アを利用する方法もあります。これにつ いては「VisualSFM と MeshLab と CloudCompare によるドローン撮影画 像を用いたデジタル地図作成」 (http://www.slideshare.net/HiroshiY amaguchi5/visualsfmmeshlabcloudco mpare-ccby:山口欧志 2015 年 11 月 17 日)等で分かりやすく紹介されてい ます。(但し VisualSFM については商 用利用が禁じられていますので注意が必 要です) 図 7:筆者がスマートフォンで撮影した彫像(眠れるアリアドネ)を Photoscan 上で三次元復元したもの。 オルソ画像作成意以外にも SfM/MVS 技術には広い利活用方法が考えられる。
  • 8. また筆者は未使用ですが商用利用化の フリーソフトウェアとして OpenDroneMap (https://github.com/OpenDroneMap )の開発も進められています。 ちなみに、筆者は AgiSoft の製品、 Photoscan を利用しています。何れのソ フトウェアを利用しても構わないと思い ますが CAD と同様ソフトウェアは機能 を適切に使いこなし必要な結果に辿り着 く為のものです。必要となる三次元モデ ル・オルソ画像の作成が出来る程度に習 熟する必要があります。 終わりに 今回は業務へのドローン導入に至るま でのハードルに関する話がメインとなっ てしまい、どちらかと言うと興味を持っ ておられた方の折角のモチベーションを 削いでしまうかもしれないような事も 色々と書いてきました。しかし、ドロー ンを誰でも比較的簡単・安定的に操作す ることが出来るようになったとはいえ、 それは様々な繊細な先端技術に支えられ てのことでもあります。 実際に上空数十メートルを飛行するモ ノが思うようにコントロール出来ず墜落 するような自体が生じた場合、大きな被 害が出る可能性は十分考えられます。新 しい技術の利活用による産業の発展との バランスも言われますが、ある程度ハー ドルの高い規制が設定されてしまうのも 或る面では当然でもあります。 まして、各種空撮や農業、土木等の他 分野でドローンを運用している方々が知 っていることを、より法令に詳しくある べき国家資格者であり測量専門家でもあ る私達が「知らなかった」ことで不用意 な事故を起こして報道されてしまうなど いう様なことはなんとして避けたい所で もあります。(万が一の時の為には、国 交省への許可承認申請上も必須とされて いますが、自動車の運転や土地家屋調査 士業務と同様、ドローンにも損害賠償責 任保険があります。) 土地家屋調査士の職能に加えてドロー ンを使いこなす事によって開ける可能性 は決して小さいものではないと筆者は考 えています。しかし、はやる気持ちを押 さえてでも現場での飛行に至るまでは諸 先輩方の築き上げてきた品位と信頼を損 なう事のないよう慎重にとも考えていま す。 土地家屋調査士は最新技術を利用して 社会に貢献できる存在でありたいもの で、技術利用のために社会に迷惑を掛け る者にはなってしまわないようにと思う のです。