IT エンジニアのための流し読み Windows 10 - Windows 10 Enterprise LTSC 注意事項まとめ

IT エンジニアのための流し読み Windows 10
Windows 10 Enterprise LTSC 注意事項まとめ
2019 年 8 月
太田卓也
takuya.ohta@outlook.com

本資料について
本資料は技術勉強用の資料として公開しています
マイクロソフトの正式見解であったり、内容をコミットするものではございません。
内容を一部だけ変更して使うなどを控えていただければ、シェアは自由にしていただいて構いません。
ただし、ビジネスでの使用はお控えください。m(_ _)m
太田卓也 (オオタタクヤ)
マイクロソフトのエンジニア
Windows 担当から今年はセキュリティ中心に。
何かあれば遠慮なく ☺

ポイント 1 : 特殊用途のみを想定
注意
LTSC は、組織内のほとんどまたはすべての PC での展開は想定していません。特定用途のデバイスに対してのみ使用してくださ
い。一般的なガイドラインとして、Microsoft Office がインストールされている PC は汎用デバイスであり、通常はインフォメーション
ワーカーが使うため、Semi-Annual Channel (SAC) の方が適しています。
サービスとしての Windows の概要
https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows/deployment/update/waas-overview
例
◼ 医療装置
◼ 販売時点管理システム (POS)
◼ ATM や発券システム
1 つの重要なタスクを実行する環境や安定性を重視する環境を想定
Windows 10 Enterprise LTSC とは？
可能な限り高い安定性と安全性を確保するために、通常の機能更新プログラムを受信することを防止し、
デバイスのセキュリティを最新の状態に保つ品質更新プログラムのみが提供されるサービスモデル。
利用のためには Enterprise のライセンスが必要

リリース日半期チャネル / SAC 長期サービスチャネル / LTSC
2015 年 7 月 29 日 Windows 10, version 1507 Windows 10 Enterprise 2015 LTSB
2015 年 11 月 10 日 Windows 10, version 1511 (November Update) 該当なし
2016 年 8 月 2 日 Windows 10, version 1607 (Anniversary Update) Windows 10 Enterprise 2016 LTSB
2017 年 4 月 11 日 Windows 10, version 1703 (Creators Update) 該当なし
2017 年 10 月 17 日 Windows 10, version 1709 (Fall Creators Update) 該当なし
2018 年 4 月 30 日 Windows 10, version 1803 (April 2018 Update) 該当なし
2018 年 11 月 13 日 Windows 10, version 1809 (October 2018 Update) Windows 10 Enterprise LTSC 2019
2019 年 5 月 21 日 Windows 10, version 1903 (May 2019 Update) 該当なし
Windows 10 Enterprise LTSC とは？
リリースされたタイミングの Windows 10 SAC がベースとなり、2 – 3 年おきに新しいバージョンがリリースされる予定
2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026
Windows 10 Enterprise 2015 LTSB メインストリーム延長サポート
Windows 10 Enterprise 2016 LTSB メインストリーム延長サポート
Windows 10 Enterprise LTSC 2019 メインストリーム延長サポート
10 年間のサポートを提供。ただし、環境を固定して使用することを想定。修正は主にセキュリティに関するものだけ。
ポイント 2 : 主にセキュリティに関する修正のみ

SAC と LTSC の画面比較 1

SAC と LTSC の画面比較 2

注意
Windows 10 LTSC は、LTSC のリリース時に現在リリースされているシリコンをサポートします。将来世代のシリコンがリリースさ
れたときには、お客様がそれらのシステムに展開できるサポート機能を将来の Windows 10 LTSC リリースを介して提供します。
Windows Processor Requirements
https://docs.microsoft.com/en-us/windows-hardware/design/minimum/windows-processor-requirements
Windows Edition Intel Processors AMD Processors
Windows 10 Enterprise 2015 LTSB
Up through the following Intel 6th Generation Processors (Intel Core
i3/i5/i7-6xxxx, Core m3/m5/m7-6xxx, and Xeon E3-xxxx v5) and
through series equivalent Intel Atom, Celeron and Pentium Processors
Up through the following AMD 6th Generation Processors
(A-Series Ax-8xxx & E-Series Ex-8xxx & FX-870K)
Windows 10 Enterprise 2016 LTSB
Up through the following Intel 7th Generation Processors (Intel Core
i3/i5/i7/i9-7xxxx, Core m3-7xxx, and Xeon E3-xxxx v6) and through
current Intel Atom, Celeron, and Pentium Processors
(A-Series Ax-9xxx & E-Series Ex-9xxx & FX-9xxx)
Windows 10 Enterprise LTSC 2019
Up through the following 9th Generation Intel Processors (Intel Core
i3/i5/i7/i9-9xxxK), Xeon E3-xxxx v6***, Intel Atom (J4xxx/J5xxx and
N4xxx/N5xxx), Celeron and Pentium Processors
(A-Series Ax-9xxx & E-Series Ex-9xxx & FX-9xxx); AMD
Athlon 2xx processors, AMD Ryzen 3/5/7 2xxx, AMD
Opteron**** and AMD EPYC 7xxx****
ポイント 3 : ハードウェアのサポートが限定的
CPU のサポート状況

注意
Microsoft Office がインストールされている PC は汎用デバイスであり、通常はインフォメーションワーカーが使うため、Semi-Annual
Channel 方が適しています。また Office VL 版の旧バージョンはクラウドサービスの利用に制限が入りますのでご注意ください。
Office 365 ProPlus Office 2016 Office 2019
Windows 10
半期チャネル
SAC
最も推奨使用可能使用可能
継続的にサポート今後一部サポート対象外
(2023 年 10 月よりクラウド利用機能が制限)
ポリシーに従ったサポート
(メインストリーム 5 年、延長サポート 2 年)
Windows 10
長期チャネル
LTSC
推奨しない使用可能使用可能
今後サポート対象外
(2020 年 1 月 13 日まで)
今後一部サポート対象外
LTSC 2019 はサポート対象外
(2023 年 10 月よりクラウド利用機能が制限)
LTSC 2019 のみサポート
(メインストリーム 5 年、延長サポート 2 年)
ポイント 4 : Office のサポートも限定的
Microsoft Office のサポート状況

機能・アプリケーション半期チャネル / SAC 長期サービスチャネル / LTSC
Device Guard / AppLocker / Credential Guard ● ●
Microsoft Application Virtualization (App-V) ● ●
Microsoft User Environment Virtualization (UE-V) ● ●
Cortana ●
Microsoft Edge ●
ストア ●
プレインストール UWP アプリ (例 : メール、カレンダー、OneNote) ●
Windows Defender ATP ● ▲ (ベースとなる Windows 10 のバージョンで変化)
Visual Studio 2017 ●
注意
原則的には、リリース時の Semi-Annual Channel 対応した Windows 10 の機能は利用可能です。
ただし一部のコンポーネントの削除やアプリケーションの非対応といった機能差は存在します。
また、ご使用のサードパーティアプリケーションは LTSC の対応をご確認いただくことをお勧めします。
ポイント 5 : アプリのサポート・対応は要確認
機能・アプリケーションのサポート状況

長期サービスチャネル
Long-Term Servicing Channel
半期チャネル
Semi-Annual Channel
メリット
◼ 新しい機能を活かした生産性の向上
◼ 最新のセキュリティの利用
◼ 新しいデバイスやサービスのサポート
◼ 働き方やインフラの変化に伴う柔軟な対応
メリット
◼ 環境の固定化による安定性・安全性の向上
◼ 最低限の機能・セキュリティのみ
◼ 10 年間のサポート
考慮事項
◼ アプリーケーション互換検証
◼ 機能更新プログラムの展開計画
◼ 機能更新プログラムの展開インフラ
考慮事項
◼ 長期的なデバイス・ハードウェアの調達計画
◼ 長期的なアプリケーション、ドライバーの対応
◼ 長期的なセキュリティ面の考慮
◼ 今後の IT 環境の変化への対応
対応エディション
◼ Windows 10 Pro
◼ Windows 10 Enterprise
対応エディション
◼ Windows 10 Enterprise
オフィスワーカー向け特殊用途向け
参考 : サービスチャネルの比較

参考 : LTSC のバージョンアップ
古い LTSC
Windows 10 のアップグレードパス
https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows/deployment/upgrade/windows-10-upgrade-paths
setup.exe /auto upgrade /pkey xxxxx-xxxxx-xxxxx-xxxxx-xxxxx
新しい LTSCLTSC SAC
LTSC から新しい LTSC や SAC へのアップグレードは可能です。データやアプリも引き継がれます。
逆に SAC から LTSC へのダウングレードはできませんので再インストールとなります
SAC LTSC 古い LTSC / SACLTSC

最後に個人的な見解
「LTSC は特殊用途を想定している」ということ
◼ 通常のオフィスでの作業用 PC で LTSC を使う事を検討されてる場合は、極力避けた方が無難です。
◼ 単にバージョンアップの運用負荷を考慮して LTSC というのであれば一旦考え直すことをお勧めします。
◼ LTSC に関する機能やアプリの使用制限、サポートポリシーの変更はこれからも新たに出て来る可能性があります。
◼ 新機能は必要ない、という環境もあると思いますが、どんどん世間離れをしたシステムになり、足かせになることもあります。
◼ 特殊用途は組み込み端末、Windows 10 IoT を使用したものなどの検討もおすすめします。
これからの運用について (アプリケーション互換やバージョンアップ、セキュリティなどで LTSC での運用を考えてる方へ)
◼ 今までの開発や運用のやり方では限界が来ており、コストがいくらあっても足りない状況になっています。
◼ システムは延命よりもプラットフォームの影響を受けない手法やサービスを利用を代替していくことを検討していくと良いと思います。
◼ セキュリティに関してはローカルで閉ざされた環境が必ずしも安全ではない時代であり、クラウドの活用がキーとなってます。
◼ 検証は、マンパワー中心による作業はやめて、パイロット運用やテスト自動化なども取り入れて負荷を減らす必要があります。
◼ Windows 10 もリリース当初よりかなりの機能の追加や改善が行われ、運用も役立つ楽になる機能が次々と追加されています。
みなさんの色々な事情・背景はあることを重々承知で・・・それらをあえて考慮せずにズラズラ書きます。

IT エンジニアのための流し読み Windows 10
Windows 10 Enterprise LTSC 注意事項まとめ
END
太田卓也

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