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米国における
DFコンテストの状況と
日本における展開の可能性
立命館大学情報理工学部
デジタル・フォレンジック研究会副会長
上原哲太郎
米国におけるDFコンテスト
• 米国の学会や集会ではTutorialが盛ん
• ただしそれなりに参加費を取る
• 有料開催される高額なTutorialに対し、
参加費廉価 or 無料な競技は多くの場合
Capture the Flag (CTF)として開催
DFに特化したものは
Forensic Challenge等の名前で
開催される
(またはDFIR: Digital Forensics & Incident Response)
• 有名なものはDEFCON DFIR CTFや
DFRWS Forensic Challenge等
典型的なForensic Challenge
• Forensicの対象となるデータが
主催者側から提供される
•ddなどのHDDイメージ
•pcapなどのパケットキャプチャイメージ
•その他ログや関連データ等
• その上で出されるクイズに応える
•侵入されたアカウントはどれか?いつか?等
• Tutorialの題材としても多用される
SANS DFIR Challenge
https://digital-forensics.sans.org/community/challenges
• 元々LMG Security社が何度か提供した
Network Forensics Puzzle Contest
から引用したもの
•2010年5月に提供された
Puzzle #6: Ann’s Aurora
•Annが”Secret Sauce recipe”を
標的型攻撃で盗み出したログを
pcapから読み取ろうというチャレンジ
Ann’s Auroraで聞かれること
• 被害者が踏んだURL(URI)
• その結果としてのJavaScriptの挙動
• その結果としてリクエストされた
ファイルの名前とMD5ハッシュ
• 結果として4444ポートが開いた時間
• 4444ポートが閉じた時間
• さらに送られたファイルについての情報
Etc…
https://dfrws.org/dfrws-forensic-challenge
https://www.hecfblog.com/2018/08/daily-blog-451-defcon-dfir-ctf-2018.html
Aman Hardikar氏による分類
https://www.amanhardikar.com/mindmaps/ForensicChallenges.html
DFコンテストの効果?
DFコンテストの題材として
dd / pcapのimageと
QUIZが公開される
挑戦した人が解き方と
自分が出した答えを
Blog等でWrite upをまとめる
正解も公開される等して
これらがネット上に
蓄積される
これを元にDF / IR の
練習をする人が増え
DF技術者が増える
Write upの例
http://ecoha0630.hatenablog.com/entry/2018/11/22/180306
https://infosecuritygeek.com/defcon-dfir-ctf-2018/
NISTがDF用の
イメージを収集公開
https://www.cfreds.nist.gov/
これは人材育成としてアリか?
• 自学自習という意味ではよいと思う
• ただし、単にコレをやるだけでは
ハードルが高すぎないか?
•必要なツールがすぐわかるか 使い方は
•そもそも必要な基礎知識がかなり多い
• なので段階を踏むためにも適当に
簡単にした題材がたくさん必要?
• 実務向け技術として
dd / pcap分析だけで十分か?
日本でやる際の問題
• ツールの問題
•日本語で利用可能なフリーのツールが
足りないのではないか
• 例えばよくあるForensic用Linux distributionは
日本語版がイマイチ
• Autopsyの日本語化をもう少しちゃんとしないと
• 特にWindowsを含むdd imageの
ライセンス問題はどうなのか
•Fair useがない国ならではの問題?
•おそらく適切なライセンスがあるはずだが
個別相談になりかねない…
これらをクリアしつつ…?
• 日本版DFコンテストを企画したい
• 必要なもの
•それなりに意味があるインシデントシナリオ
•それにそったimageの作成
•ライセンス問題の解決
• 解決できなかったらLinux版だけやってみる
•ツール情報の提供
• 可能なら日本語化
• やったら参加いただけますか…?

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