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これからの人材育成
人材育成の何をどう変えなければいけないのか
変化の時代のキャリア形成
慶応義塾大学大学院 高橋俊介特任教授
『プロフェッショナルの働き方』、『21世紀のキャリア論』ほか
なぜ人材育成が変わるのか
1. ビジネスモデルの変化とその速さで、育成すべきキー能力がより
普遍化し高度化している
2. ビジネスモデルの進化でより多くの分野で高度な専門性が必須に
なっている
3. 組織のコミュニケーション環境の変化で学び方が変わっている
4. 仕事内容の変化で仕事を通じた成長のありようが変化している
5. 若者の若年時生育環境の変化で社会スタート時点での能力発達が
変化している
6. 働く人たちの人生と人生観が変化している
どう人材育成が変わるのか
1. 正解があるものからないものへ
2. スキル以上に思考行動変容へ
3. 具体的職能能力からメタ能力へ
4. タテのOJTからヨコの学習へ
5. 上司と人事が育てるから寄ってたかって育てるへ
6. 仕事経験から仕事内容へ
7. 前提としてのキャリア自律
1. 正解があるものからないものへ
• 新入社員教育でのスキル研修と答え教えて症候群
• 正解主義教育と短期的功利性の影響の強い若者をどう導くのか
• 知識はあっても自論を言えない日本人
• 教えるというより気づき学ぶ場を増やす
• 正解がない問題ほど経験的知見ではなく体系的専門性と幅広い教育
的知見が求められる
• 資格試験の罠、それを餌にする危険
• 独学力の時代、内省と集中力、インプットへの自己投資、実験と試
行錯誤
• 根拠に基づく自論形成能力の形成が基本、常に自論を考える思考特
性を身に着けさせる会議、会話
2. スキル以上に思考行動変容へ
• 気づきと内省による認識変容、思考行動力変容、スキル獲得、
習慣化の流れが成長
• スキルもインプット重視からアウトプット重視へ、学校教育も
知識を使う教育へこれから変化
• 研修が不要になるのではなくやり方を考える、人材育成施策や
研修設計にも高度な専門性が必要
• 思考行動変容の全体の流れを集合研修やEラーニング、SNS、
職場の日常業務と組み合わせて成長プロセスを設計する
• さらにはその結果が具体的成果として組織に見える形になると
なお効果的
3. 具体的職務能力からメタ能力へ
• 変化が激しい時代、必要とされる能力も大きく変化する一方、
単なるジェネラリストでは多くの分野で成果が出ない時代に
• 専門性の深堀りと変化柔軟性を両立させるのがメタ能力、例え
ばキャリアコンピタンシー
• 今何を知っているか以上に新しいことを短期間に自ら学ぶ能力
• 初めて会った多様な人たちと短期間に信頼関係を作る信頼社会
型能力
• 様々なメタ能力の可視化、自身の客観化と背伸びの習慣化の支
援がメタ能力を向上させる
4. タテのOJTからヨコの学習へ
• 変化が激しい環境で、伝承ではついていけない
• タテの一対一の指導育成からヨコの集団の学びと刺激のし合い
へ
• 伝承に強く傾くと、変革と創造人材が育たない、それを育てる
のは独学と仕事における試行錯誤
• 試行錯誤と学習スピードを上げる職場学習の仕組みと風土が重
要
• 育てる側の育成意欲というより学ぶ場の環境整備が管理職の役
割へ
5.上司と人事が育てるから寄ってたかって育てるへ
• 万能のスーパーマン上司仮説と全知全能の人事仮説を追い求めることは全
く現実に合わない
• そもそも家族状況や個人の人生やキャリア上の志向、ひいてはゲノム情報
などは究極の個人情報であり、会社が管理すべきものではない
• AIとビッグデータは補完的には活用できても、自動化できるものではない
し、してはならない
• 一方で直属上司以外の同僚等、さらには顧客や取引先など多くの人が関わ
るのが人材育成
• 人に興味を持ち一言伝える風土、特にその都度のポジティブフィードバッ
クは重要
• 例えばノンレイティングは、上司によるじっくりフィードバックから、多
様な人たちからのその都度フィードバックへの軸足移動ともいえる
6.仕事経験から課題付与へ
• ローテーションによる多様な経験で育てられるのは、高い専門
性を求められないHow専門職のジェネラリスト
• 新たな環境でWhatを作りながら状況を切り開いていけるリー
ダーを育てるのは、その時の仕事の中身、つまりは乗り越える
べき課題
• 例えばヨコの巻き込みを必要とする課題、相矛盾する関係を統
合する問題解決など、課題のポートフォリオを整理し、目的を
もって課題を付与することが大事
• そして必ず支援し計画的にフォローしていくこと
7. 前提としてのキャリア自律
• 良い習慣が良いキャリアを作る
• 良い関係性が良い偶然を呼ぶ
• 良い自己投資が効果のある学習を支える
• 良い仕事感がキャリアに軸を与える
• 人生100年時代、キャリアの節目での振り返りと決断が、しが
みつき型でない生涯現役を実現する
• 良い人生観が長期的展望での習慣化の努力を引き出す
変化の時代のキャリア形成
日本のキャリア形成の問題
• 想定外変化が避けられない時代、生涯のキャリアパスを会社が
示すことは不可能
• そもそも職種をキャリアステップにする、特に管理職昇進を
キャリアステップにして、モチベーションを維持させる発想が、
IT業界では不向き
• エンジニアと管理職の給与格差が大きい日本
• 一方で個人が長期の具体的キャリア目標を持つことも助けにな
らない
• 想定外のキャリアチェンジを前提とし、自らキャリアを切り開
く能力がキャリアコンピタンシー
自律的キャリア形成の実際
• キャリアに長期の具体的ゴールは無くても問題ない、日々の仕事の
主体的取り組みの積み重ねこそ重要
• キャリア形成を合理性と効率で考えない、回り道がキャリアを強く
することもある
• キャリア形成で職種マッチングばかりで考えない、プロセスにおけ
る動機マッチングや提供価値の主体的定義が重要
• キャリアは偶然の出来事によって左右されるが、良い偶然の起こる
確率は普段の行いにより大きく異なるというのが、クランボルツ理
論
• 日常の仕事やスキルアップは、管理可能性と予測可能性が高いので、
具体目標逆算が向いている
自律的キャリア形成の実際
• キャリアに長期の具体的ゴールは無くても問題ない、日々の仕事の
主体的取り組みの積み重ねこそ重要
• キャリア形成を合理性と効率で考えない、回り道がキャリアを強く
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• キャリア形成で職種マッチングばかりで考えない、プロセスにおけ
る動機マッチングや提供価値の主体的定義が重要
• キャリアは偶然の出来事によって左右されるが、良い偶然の起こる
確率は普段の行いにより大きく異なるというのが、クランボルツ理
論
• 日常の仕事やスキルアップは、管理可能性と予測可能性が高いので、
具体目標逆算が向いている
1.主体的ジョブデザイン行動
• 自分の価値観やポリシーを持って仕事に取り組んでいる
• 社会の変化、ビジネス動向について、自分なりの見解をもって
いる
• 部署・チームを超えて、積極的に周囲の人を巻き込みながら仕
事をしている
• 仕事の進め方や企画を立てる上で、今までの延長線上のやり方
ではなく、自分なりの発想を持って取り組んでいる
• 自分の満足感を高めるように、仕事のやり方を工夫している
2.ネットワーキング行動
• 新しいネットワークづくりに常に取り組んでいる
• 自分のネットワークを構成する個々人が、どんなニーズを持っ
ているか把握し、それに応えようとしている
• 自分の問題意識や考えを社内外のキーパーソンに共有してもら
うようにしている

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これからの人材育成 変化時代のキャリア形成

Notes de l'éditeur

  1. そして二つ目は、「普遍性の高い学び」というポイントです。同じことを表面的にしか学ばない人は、応用力を身につけられません。これを私は「カーナビ症候群」と呼んでいます。カーナビには検索機能が備わっていて、行き先を入れると自動的に「このように行きなさい」と表示されます。けれど、その通り運転している限り、自分で道がわかることは永久にありません。どうやって自分で道を考えていいかわからなくなるからです。しかし、「カーナビ症候群」が、今の若い人たちに非常に蔓延しています。「答えを教えてください。どうやればいいですか?」と。上司はカーナビではありません。  便利になったがゆえに、基礎理論をしっかり学ばず、自分で考えることもしない。言われたとおりに、そのままやるだけです。それでは、今後重要な「普遍性の高い学び」は実践できません。  最後に三つ目は、「明確な仕事観」というポイントです。「仕事観を語れないと面接に通らない」という教育を受けるため、今の若い人たちは仕事観を持つことを強要されています。仕事に対して、思い込みや勘違いをしている可能性が大きいです。そもそも、働いてないのに仕事観を持つことは無理ですよね。  一方で、最も仕事観が希薄なのは、40歳代の人たちです。私は「バブル入社問題」と呼んでいますが、彼らには、定年まで20年間は勤めてもらわなければなりません。雇用者側、当事者側の双方で、「何のために仕事をしているのか?」を考え直してもらわなければいけない。「あなたはどういう価値を提供できるのか?」を探すことでもあります。それができなければ、管理職にもなれないし、天下り先もないわけです。今は連結決算の企業が多いので、変な人間を関連会社に送り込んで、決算が悪くなったら困る。甘い話は現在の日本には、ほとんどありません。