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Japanese entrepreneurship and human capital in silicon valley
- 2. JAPANESE ENTREPRENEURSHIP AND HUMAN CAPITAL IN SILICON VALLEY
シ リ コ ン バ レ ー に お け る
日本人アントプレナーシップと人材の流動性について
シリコンバレー(SV)は世界的にイノベーションとアントプレナーシップの中
枢という位置にあり、様々な産業構造や技術、及びサービスを生み出している。
そんな SV ではエンジニアリング・ハイテク分野の企業家のうち54%(200
5年)が移民であり、際立って移民の活躍が目立つエコシステム(生態系)とな
っている。SV は人材の流動性が、米国、及びカリフォルニア州と比べても極め
て高いことでも有名である。しかし、SV には日本人のプレゼンスが低く、最近
まではシリコンベレー独自のエコシステムを有効活用できた日本企業は極めて少
なかった。しかし近年、DeNA の SV 企業買収や新たな日本人起業家の進出で、
日本から見た日系ベンチャー企業のシリコンバレーでの活躍に注目が集まってい
る。
SV での日本人創業者が携わっているベンチャー企業の大規模な実態調査はこれ
までに行われておらず、全体像は極めて分かりにくい。日本では SV のエコシス
テムについての研究が90年代後半から加速しているが、そのほとんどが SV の
実態と日本の現状を比較したものである。新たな日系ベンチャー企業が SV で活
躍できるようになり、これから伸びていく企業の数が増えていくにつれて、SV
で日系ベンチャー企業がどのような経験を積んできたかという「生きた」情報の
重要性が高まる一方である。
この第一歩として、本レポートでは、創業者の一人以上が日本人であるベンチャ
ー企業を集め、インタビューを通して会社の経歴と体験談を聞き、主に人材に焦
点を当てた。まずは日系ベンチャー企業を「タイプ1:SV で創業」、「タイプ
2:日本で創業、早期段階で SV に展開」、及び「タイプ3:日本で創業、規模
がある程度拡大してから SV に展開」という三種類に分け、タイプ1十社とタイ
プ2数社に話を聞いた。具体的な企業名と詳細を含んだケースは、会社の意向で
今のところ非公開だが、主な分析の結果は下記の通りである。
• 人材の確保ルートパターン:CEO 或いはトップマネージメントの紹介
はベンチャーキャピタリスト(VC)が行っていることが圧倒的に多い。
しかし、VC の紹介で雇った CEO やトップマネージメントも、経営の方
針と合わない場合や、十分なパフォーマンスが得られない場合、創業者や
VC によって排除できる仕組みとなっている。一方で、人材紹介会社の活
用は、必要な人材を収集するという手段に限られており、採用はベンチャ
ー企業において時間と労力をかけて行われていた。
• 人脈の重要性:VC や創業者の人脈も VC やトップマネージメントの確
保に重要や役割を果たしている。VC は前職が起業家などであることが多
く、広い人脈を持っている。また、SV の VC は、ファイナンスに関する
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知識ではなく、人脈形成を最重要視しているという調査結果もある。さら
に、教育機関や前職の会社などで養った人脈を持つ創業者が有利に事業を
進めていくことができていた。
• 雇用制度の多様化:非正社員(契約社員)がローエンドの仕事に限らず、
会社になくてはならないスター・エンジニア的な存在だったり、小規模の
会社は契約社員として CFO を雇用していたり、システムの重要な部分を
契約社員のプログラマーが開発・改善していたりする例が見られた。また、
ストックオプションを拒む契約社員もいれば、ストックオプションを給料
の補填のために多めに出す会社などある。また、人脈へのアクセス方法と
して、アドバイザリーボードが役に立ったケースもあった。
• 創業者のキャリア:事業が成功しなくても、創業者は他の会社で正社員
として次の機会を伺い生計を立てることが容易にできるので、失敗のリス
クも軽減されている実態があった。
• VC の意向:SV の VC からは人脈ネットワークなど様々な恩恵を得るこ
とができるが、VC 側も厳しい競争にさらされているので、事業に身売り
の強要や創業者を排除することがあった。
• 創業メンバーの結束:初期の段階で事業内容の変更を強いられる例が多
く見られた。このようなときに、創業メンバーが強い結束を維持している
ベンチャー企業は、困難を乗り越えることができていた。
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