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2015夏期学校給食学習会
グローバルに考えよう食品の安全
遺伝子組み換え食品・農薬問題を軸にして
印鑰 智哉
オルター・トレード・ジャパン
政策室
米国で拡大する慢性疾患
❖ 米国でアレルギー、不妊症、糖尿病、神経関連の病、
ガンなどがこの20年で急激に増加
❖ 「20年前はこんなアレルギー、なかった」
❖ 「昔、不妊クリニックなんて見たことなかった。今で
は町を歩くとどの道の角にも不妊クリニックができた」
❖ それとともに、人びとの意識が大きく変わりつつある
米国での糖尿病の動向
糖尿病患者数の割合とグリホサート、遺伝子組み換え耕作の割合の比較
米国での腎臓、腸の病気
末期腎不全[腎臓疾患]による死亡者の推移
腸内感染による年齢調整死亡率→
急性腎損傷→
肝臓、胆管、甲状腺、膀胱、胆嚢ガン
自閉症
2025年までに2人に1人が自閉症!?
認知症、パーキンソン、アルツハイマー
米国での慢性疾患、1990年代末から急上昇
❖ 1990年末からさまざまな慢性疾患が米国で急上昇
❖ 1996年に遺伝子組み換え作物耕作が大規模に始ま
る
❖ 遺伝子組み換え作物に散布されるモンサントのラ
ウンドアップ(グリホサート)の使用が急激に増
える
粉ミルクに遺伝子組み換え
ドキュメンタリー『遺伝子組み換えルーレット−私たちの生命のギャンブル』から
なぜ、粉ミルクに遺伝子組み換え?
ミルクから作るんじゃないの?
粉ミルクは何でできている?
さまざまなものに大豆、トウモロコシが使われている
国内メーカー
粉ミルクA
乳糖、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、脱脂粉乳、パーム
油、全粉乳、パーム核分別油、大豆白絞油、ガラクトオリゴ
糖液糖、デキストリン(でんぷん糖化物)、精製魚油、炭酸
Ca、塩化K、レシチン、クエン酸Na、塩化Mg、V.C、ピロリ
ン酸鉄、タウリン、V.E、硫酸亜鉛、シチジル酸Na、ナイア
シン、パントテン酸Ca、V.A、硫酸銅、イノシン酸Na、ウリ
ジル酸Na、グアニル酸Na、5-AMP、V.B6、V.B1、V.B2、
国内メーカー
粉ミルクB
デキストリン(でんぷん糖化物)、分離大豆たんぱく質、ぶど
う糖、大豆白絞油、パーム油、パーム核分別油、MCTオイ
ル、フラクトオリゴ糖、食用シソ油、食塩、炭酸Ca、リン酸
K、レシチン、リン酸Ca、塩化Mg、海藻灰抽出物、V.C、メ
チオニン、クエン酸鉄Na、クエン酸Na、タウリン、シスチ
ン、V.E、硫酸亜鉛、ナイアシン、パントテン酸Ca、V.A、
V.B2、V.B1、V.B6、硫酸銅、葉酸、V.D、V.B12日本の粉ミルクメーカーは非遺伝子組み換え素材を使っていると言われます。(未確認)
約75%は大豆・トウモロコシ
粉ミルクの成分表
上記の 68.1%を構成するのはトウモロコシ、大豆、砂糖で、米国のトウモロコシ、大豆、
砂糖の9割以上は遺伝子組み換え。ビタミンなどもトウモロコシから作っている可能性
お菓子も
遺伝子組み換えだらけ
❖ 米国では7割以上の加工食品になんらかの形で遺伝子組
み換え作物が入っていると言われます。
❖ 主にはGMコーン(コーンスターチ、甘味料、オイルな
ど)、大豆(タンパク、油など)。米国では砂糖も9割
以上が遺伝子組み換えの甜菜から作るので注意。人工
甘味料も危険性が指摘されています。
❖ スーパーで売られている食肉のほとんどは飼料が遺伝
子組み換え
遺伝子組み換えで健康被害が考えられる要素
❖ グリホサートなどの残留農薬
❖ Bt毒素(虫が食べると虫の腸を破壊する毒素)
❖ 抗生物質耐性タンパク(ノルウェー政府は養殖
飼料への利用を禁止)
❖ 組み換えられたRNAなどが血流に入り、アレ
ルギー反応?
Bt毒素は虫の腸を破壊する
だけど、哺乳類には安全?
Btコーンの植え付け面積と炎症性腸疾患
Bt毒素が引き起こすもの
❖ 小腸、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓に有害
❖ 消化システムの機能妨害
❖ 体重の上昇、下降
❖ 男性の生殖器官に損傷
❖ 血液生化学的阻害
❖ 免疫システムの阻害
Bt毒素が妊婦と胎児の血から検出
❖ Bt毒素が妊婦の93%、胎児の80%の血液から発見された。
❖ 妊婦はBtコーンなどは直接食べていない。それは家畜の飼
料。食肉を通じてBt毒素が妊婦の体内に吸収されたと考え
られる。
❖ モンサントはBt毒素は哺乳類の腸で破壊されて排出される
と言っていた→ 現在ではBt毒素は自然のものだから安全
だ、と。しかしBt農薬と異なり、分解されずに血液に取り
こまれる。安全は確保されない。
グリホサートとは?
❖ 元は産業用の配管洗浄液。
❖ モンサントはグリホサートが植物やバクテリアの生命
を保つ上で不可欠なシキミ酸経路をブロックすること
を1970年に発見し、1974年に農薬として特許を取得。
❖ ラウンドアップ®はモンサントの除草剤の商品名。グ
リホサートにさらに有害な添加物が加えられている。
モンサントのドル箱に
グリホサートが及ぼす可能性が指摘される障害
❖ 腸内細菌の障害
❖ ガン(小児脳腫瘍含む、さまざまな腫瘍)、白血病
❖ ホルモン系の障害、出生障害、生殖プロセスへの障害
❖ DNAへの障害
❖ 呼吸器系の障害
❖ 皮膚病、アレルギー、セリアック病、自己免疫性疾患
❖ 神経系への障害、発達障害
❖ 抑鬱、精神的疾患
グリホサートは低濃度でも危険
❖ 「グリホサートによる内分泌撹乱の影響
はもっとも深刻だ。というのはひじょう
に低い濃度であっても長い期間さらされ
ることで病気に陥る可能性があるから
だ」。“GMO Myths and Truths”
神経関連の障害
❖ グリホサートは神経毒(神経系に毒性がある)
❖ 神経関連の障害にはパーキンソン病、アルツ
ハイマー病、いくつかの形態の抑鬱が含まれ
る。
❖ 胎児や乳児に神経毒がおよぶと、自閉症や
ADHD(注意欠如・多動性障害)
腸内細菌への影響
❖ 研究によると、グリホサートは腸内の善玉菌の
活動を妨げ、悪玉菌の活動を活発にする。
❖ 過敏性腸症候群(IBS)、下痢、栄養失調、自閉
症の一部の人びとにはこの腸内細菌の乱れが見
られる。多臓器不全や結腸ガンにおいてもこの
腸内細菌の撹乱が一役を買っている可能性があ
る。
出生障害と生殖、発達問題
❖ 人の生殖への毒性によって、
以下のような傾向が出てく
る。
❖ 流産、不妊 、死産、早産など
❖ 女性だけでなく男性の精子
も破壊する(精子の数が減
る、精子が異常になる)
ホルモン系撹乱
❖ グリホサートはホルモン系撹乱物質
である。内分泌攪乱はガン、出生障
害、不妊などの生殖問題や胎児、乳
児、子どもの発育問題に関与する。
DNA損傷
❖ DNA損傷はガン、生
殖問題、男の不妊、
出生障害、寿命の減
少の結果を生む可能
性がある。
皮膚病
❖ この少女は皮膚病を持って生
まれた。彼女の生まれた地域
は遺伝子組み換え大豆の集中
的な耕作地域。
❖ グリホサートの空中散布によ
りDNA損傷した可能性があ
る。
❖ アルゼンチンなど遺伝子組み
換え大豆集中耕作地域に頻発
金属キレート効果
❖ グリホサートは人間に本質的な栄養として必要なミネラ
ルの栄養を結合させてしまい、植物が吸収できなくなる。
マンガン、マグネシウム、鉄分、亜鉛、カルシウムなど。
その結果、人間もその栄養分を取ることができなくな
る。
❖ 栄養失調と肥満が共存する。
グリホサート・遺伝子組み換えは抗生物質が
効かないバクテリアの蔓延の危険を高める
❖ グリホサート、2,4-D, ジカンバにより抗生物質が効かなくな
る。
❖ 遺伝子組み換えには抗生物質に耐性のある蛋白が使われる。
❖ 米国での抗生物質の80%はファクトリー・ファーミング(工
場型畜産)で家畜対象に使われる(成長を促し、病気を防ぐ
ため)。抗生物質が効かないバクテリアが生まれる好環境
❖ 毎年、米国で200万人が抗生物質が効かないバクテリアに感
染し、2万3000人が死亡する(米国政府CDCの情報)
農業労働者で死者が相次ぐ
❖ グリホサートが使われている農園で働く中米
やスリランカで農業労働者が通常まれな慢性
腎疾患(CKDu)に大量にかかり数万単位で
死亡
❖ エルサルバドル議会グリホサート禁止決定、
スリランカ大統領令で禁止→米国政府の圧力
で反故に
WHOがグリホサートの発ガン性認定
❖ WHO(世界保健機関)の外部研究機関である国際がん
研究機関(IARC)がグリホサートを今年3月20日に2A
(ヒトに対する発癌性がおそらくある)グループに分
類。
❖ このグループは実験動物での発ガン性は十分確認され
たが人へのデータが十分ないというもの。そのため「お
そらく発ガン性がある(Probably Carcinogenic)」
❖ 枯れ葉剤2,4-Dも2Bのグループに分類された。
動物での発ガン性が確認された!
❖ 1は確実な発ガン性物
質
❖ 2Aは実験動物での十
分な証拠があるもの。
人での証拠が十分でな
いため、1とは区別さ
れる。
❖ 2Bは実験動物での証拠
がまだ十分でないもの。
IARCによる発ガン性の区分
1 :ヒトに対して発がん性がある
2A:ヒトに対しておそらく発がん性が  
   ある
2B:ヒトに対して発がん性があるかも
   しれない。
3 :ヒトに対する発がん性について  
   は分類できない
4 :ヒトに対しておそらく発がん性が  
   ない。
激増するグリホサートの使用量
❖ グリホサートをかけても枯
れない耐性を持ったスーパー
雑草がどんどん増える→グ
リホサートの使用量が増え
る。
❖ 米国環境庁はグリホサート
の残留許容量を2013年に引
き上げ決定(2014年から実
施) http://www.examiner.com/gmo-in-seattle/nancy-swanson
米国で引き上げられたグリホサート残留許容量
❖ 人参 0.2ppm→5.0ppm (25倍!)
❖ 甜菜 0.2ppm→6.0ppm (30倍!)
❖ 大豆、トウモロコシなど 20ppm→40ppm
❖ ちなみに40ppmとは乳ガンを誘発するのに必要な濃度の
10万倍
❖ 日本はまだ大豆などは20ppmのまま。引き上げないか監
視が必要。輸入大豆の残留量も監視が必要。
さらに危険なベトナム戦争の枯れ葉剤!
❖ グリホサートが効かなくなってきたので、さ
らに危険な2,4-Dやジカンバを混ぜようとして
いる。どちらもベトナム戦争の枯れ葉剤作戦
で使われた枯れ葉剤。
❖ WHOは2,4-Dの発ガン性を認める(2B判定)
❖ 米国で50万人以上が反対し、2年以上承認され
なかったが2014年9月以降、相次いで承認。
❖ 日本政府は2012年に米国政府に先んじてすで
に承認。2015年、ブラジル、アルゼンチンが
相次いで承認。
❖ 中国政府が承認すれば大規模栽培が始まる。
ベトナム戦争での悲劇
来年以降さらに危険になる遺伝子組み換え
❖ 日本の農水省は今年7月27日に枯れ葉剤ジカンバ
の大麦、小麦、マイロの基準値を緩和するととも
に、新たに大豆と大豆油かすの基準値を設定=枯
れ葉剤ジカンバ耐性遺伝子組み換えの輸入の準備
完了?
❖ 枯れ葉剤2,4-D耐性遺伝子組み換えも登場?
❖ グリホサート残留量も上がってくる?
グリホサート規制続々
❖ スリランカ、グリホサートの輸入・販売・使用を禁止
❖ フランス、オランダ、個人用のグリホサート販売禁止
❖ ドイツ消費者保護相、EU全体でグリホサートの禁止を提
言
❖ エルサルバドル議会、グリホサートなどの農薬禁止決定
❖ バーミューダ諸島、アルゼンチンの自治体など禁止決定
❖ ブラジル公共省、グリホサート使用禁止を提言
❖ アルゼンチンの3万人の医師・医療従事者連盟が禁止要請
❖ 米国では10月にグリホサート禁止法案提出予定
❖ 日本は…
始まりは米国の母親たち
❖ 子どもたちにアレルギー、自閉症などの問題が深刻化する中で、
遺伝子組み換えや農薬問題について米国の母親たちが動き出す。
❖ Moms Across America 2013年7月4日独立記念日に172カ所で遺伝
子組み換え反対のデモ。Unstoppable Momsとして中国や台湾な
どにも広がり、MomsAcrosstheWorldとして活動が広がっている。
MOMS ACROSS AMERICA からMOMS ACROSS THE WORLDへ
母親たちが自分たちの母乳を検査
❖ 米国の母親たちが医療専門家
の支援を受けて体内残留検査
❖ ヨーロッパの許容基準よりは
るかに高い濃度のグリホサー
トが母乳と尿から検出
❖ モンサントやグローバルな規
制機関はグリホサートは体内
に蓄積しないと言ってきたが、
残留が確認された。
遺伝子組み換え食べなくてもグリホサート残留?
❖ 体内残留検査を行ったMoms Across Americaの
母親たちは遺伝子組み換えを避ける食生活をし
ていた。
❖ それなのになぜ、グリホサートが体内に残留?
❖ グリホサートが遺伝子組み換えでない作物にも
使われている
グリホサートがかけられる作物
出典:U.S. Geological Survey
グリホサートが噴霧される作
物が増えている。
プレハーベスト:収穫直前に
作物に噴霧させることで収穫
が早く楽にできる。
大豆やトウモロコシの他、小
麦、コットン、野菜、果物、
米、果樹、ブドウ、牧草など
多くの作物にグリホサートが
使われている。
農業労働者の健康被害は特に
深刻。
米国穀物ベルトでは雨、地下
水、空気からも成分が検出さ
れる。
アレルギーやセリアック病が増加
❖ 右の図は小麦にかけられ
るグリホサートの量とセ
リアック病の件数のグラ
フを合わせたもの。
❖ 小麦を通じて、グリホサー
トが体内に入っている可
能性は高い。
❖ 米国産の農作物のグリホ
サート残留は要注意
食を変えることで改善できる!
❖ 遺伝子組み換えや農薬が含まれる食事を
採って、深刻なアレルギー、自閉症など
になった子どもたち、食事を有機食品に
変えたら、症状が急に改善し、全快した
例も
❖ 親から親へと伝わり、遺伝子組み換え反
対運動を押し上げる結果に。
❖ ドキュメンタリー 映画『遺伝子組み換え
ルーレット−私たちの生命のギャンブ
ル』にその証言が紹介されている。日本
語版10月公開予定。
日本からもグリホサート残留チェックできます
❖ 世界の市民が体内のグリホサート残留量や使っ
ている水道水に含まれる量を測定し、グリホ
サートの世界的禁止を求めるプロジェクトが
開始。
❖ 政府の規制機関にも十分通用する高精度な測
定方法が使われる。
❖ 尿、水道水の検査がスタート。母乳は今年後
半から。
❖ 一検体119ドル
❖ 申し込みは http://altertrade.jp/monsanto 通
じて可能。日本語の詳しい説明あり
たった2週間で体内の有害物質がなくなった
The Organic Effect https://www.youtube.com/watch?v=oB6fUqmyKC8
医食同源
❖ 食物はエネルギーを得るだけでなく、文字通り、
血となり肉となる。
❖ 有害物質の含まれる植物を食べれば体内も有害物
質が蓄積し、さまざまな健康被害の原因となりう
る。
❖ わずかな期間でも食の改善により、症状の改善が
見られるケースがある。食こそ、健康への道
今年を変化の年に!
❖ 今年、相次いで遺伝子組み換えとその農薬による
健康被害が認識された。少なからぬ政府の規制機
関も変わりつつある。
❖ 一方で、遺伝子組み換えは今、より危険な方向に
変わりつつある。
❖ 今年のうちに歯止めを!
遺伝子組み換えは古い技術
❖ 遺伝子組み換えは世界の10数パーセントの農地(29カ国)でし
か生産されていない。20年近く米国政府などが懸命に押しつけ
てきたけど、広がっていない。一方、抵抗は全世界に広がって
いる(ロシア→実質禁止、フランス→耕作禁止、エクアドル→
憲法で遺伝子組み換え禁止、ペルー→遺伝子組み換えモラトリ
アム)
❖ 遺伝子組み換えでは生産は増えない。
❖ 化学肥料や農薬など化石燃料を畑にぶち込まないと維持できな
い農業→気候変動を激化。化石燃料もなくなる。維持できない
戦争技術に始まった農薬技術
❖ 戦争で生まれた爆弾技術から化学肥料が作られ、
神経兵器(生物兵器)の開発から農薬が作られた。
❖ 遺伝子組み換え企業はもとはみな化学企業。戦争
で大きくなった。戦後余った生産力を使って農業
に進出
❖ 原発も遺伝子組み換え企業もルーツは戦争
❖ 農業にこうした技術は不要。
アグロエコロジーこそ解決策!
❖ 生態系の力を生かし、農民の力を復活させるアグロエ
コロジーが世界各地で発展。ブラジルやフランスなど
の政策にも採用される(EU、アフリカ、南北米大陸
で広がる。アジアでも11月に国際会議)。
❖ FAO食糧農業機関もアグロエコロジーこそが解決策で
あることに同意
❖ 遺伝子組み換えではなくアグロエコロジーが世界の農
業のあるべき姿
農業生物多様性の減少
❖ 米国では80年間で93%の
種が農業生産から消えた。
❖ 生物多様性がなくなると
変化に対応ができなくな
る
❖ 生物多様性は生命維持の
源泉、免疫回復にも必要
❖ アグロエコロジーで生物
多様性の回復を!
http://ngm.nationalgeographic.com/2011/07/food-ark/food-variety-graphic
アグロエコロジーと有機農業
アグロエコロジー 有機農業
参加型認証

2者認証
外部投入依存
大規模企業型
第3者有機認証
小規模家族農業
地域循環
肥料、市場など
多国籍企業アグリビジネスに乗っ取られた食のシステム
❖ 種子は遺伝子組み換え企業6社が7割近くを握っている。
❖ 「この世界には1粒の穀物だって自由市場で売買されてい
ない。1粒もだ」穀物メジャーが世界の穀物貿易をほとん
ど握る。
❖ 流通資本が食品流通を握っている。
❖ 食の生産から流通まで巨大企業が支配。食は利益を生むた
めのもの。内部の情報を知ることができない。情報コント
ロール。食の安全はこのシステムでは確保できない。
❖ 消費者と生産者が食を取り返す時。直接つながろう。
地域の農業と学校給食をつなぐ
❖ ブラジルの貧しい地域の学校が地域の小規模家族
農業がアグロエコロジーで作り出した食料を学校
給食で使う。
❖ 政府の政策で全国で農民からの買い取りが義務付
けられる。
❖ 有機農業=金持ちのためではない、すべての人の
ための食料・栄養政策を実現する上で学校給食は
柱になる。
アグロエコロジーを学ぶ若者たち
料理を学ぶことこそ学校で
❖ 米国では子どもたちは親よりも短い人生しか過ごせない時
代が来ていると言われる。日本では?
❖ 大量の加工食品に囲まれ、有害物質を取りこみ、糖尿病、
肥満、心臓病、栄養失調、神経症、ガンなどが増えていく。
❖ もし料理をすることを覚えることができたら、自分の食を
自分で決められたら、そのシナリオを変えられる。
❖ 学校給食は健康と食のあり方を決める最重要の事業。
遺伝子組み換えと疾病
ドキュメンタリー『遺伝子組み換えルーレット』から
どんな作物が遺伝子組み換え?
❖ もっとも気を付けるべきは肉・卵と加工食品。飼料の8割以
上は遺伝子組み換え。
❖ 食生活を工夫すれば避けることは十分可能。
❖ すでに市場に出ているもの:大豆、トウモロコシ、綿、ナタ
ネ、甜菜、アルファルファ、 パパイヤ、 ズッキーニ、イェ
ロー・スクアッシュ、リンゴ(まだ市場未確認)、ナス(バ
ングラデシュのみ)
❖ 今後出てきそうなもの:小麦、米、じゃがいも、 パイナップ
ル、バナナ、カカオ、トマトなど
最近の動向1
❖ ゲノム編集…他の生物の遺伝子を組み込むのではなく、遺伝子
を直接操作して特定の遺伝子を抑制するなどする遺伝子操作(他
の生物の遺伝子を入れていないので、遺伝子組み換えでないと
して規制されない可能性)リンゴ、小麦、人間の卵子でも…
❖ 遺伝子組み換え昆虫…遺伝子組み換え蚊。農薬で天敵が死に、
農薬に強い蚊が激増。幼虫がすぐに死ぬように遺伝子組み換え
した雄の蚊を大量放出。効果ないどころか事態悪化。遺伝子組
み換えミバエ…オレンジやオリーブにつくミバエを遺伝子組み
換え蚊と同様に減らそうとするもの
最近の動向2
❖ 遺伝子組み換え動物…遺伝子組み換え鮭。米国で承認間
近。短期間に巨大化する。養殖の鮭も病原菌が多く、抗
生物質が多量使われている。それ以上に大きな問題を指
摘する専門家多し。 も遺伝子組み換え大豆など
❖ 遺伝子組み換えユーカリ…通常よりも早く育つユーカリ
や寒冷地でも育つユーカリが開発され、大規模植林が始
まる可能性。遺伝子組み換え農業以上に生態系を破壊す
る危惧
最近の動向3
❖ 米国で最悪のモンサント保護法案が成立するかも。
DARK Act(Deny American’s Right to Know、米国人の
知る権利を否定する法律)。州や自治体が遺伝子組み換
え食品表示義務や禁止、監視など規制することを禁止す
る法律。成立すると遺伝子組み換え食品は「自然食品」
として売ることが許される可能性
最近の動向4
❖ ラテンアメリカやアフリカで、モンサント保護法
案が吹き荒れている。農民が種子を保存して、共
有したりすることを犯罪として処罰する法律。毎
年、種子企業から種子を買わなければならないと
する法律。ラテンアメリカ各国で登場したが、大
きな反対運動。現在、アフリカが狙われている。
アジアではすでに種子を保存してそれを商業用の
農業に使うことは非合法になっている国がある。
最近の動向5
❖ ターミネーター種子(自殺種子とも)。種子
が発芽できず、死んでしまう種子。モラルに
反するとして開発禁止(モラトリアム)が生
物多様性条約国会議で決定されているが、ブ
ラジルでモンサントが合法化法案を作成。一
方、日本のモンサント社のサイトでは一切開
発していないと書いている。
最近の動向6
❖ 世界で母親たちのグループの活動が大きく広
がっている。アルゼンチン…ソフィア・ガ
ティカさん(モンサントの農薬散布に反対し
ゴールドマン環境賞受賞)、Moms Across
America(米国)Mothers Are Demystifying
Genetic Engineering、MADGE(オーストラ
リア)、インド、台湾や中国でも。
最近の動向7
❖ 世界からのグリホサートの規制の動きなどもあり、モンサン
ト社は株価を落としている。世界最大の農薬企業でもあるス
イスの遺伝子組み換え企業、シンジェンタを買収して、社名
も変更し、米国から英国に本社を移すという話も出ている。
❖ 他の遺伝子組み換え企業もシンジェンタ買収に興味を示して
いる。
❖ 遺伝子組み換え広がらず、遺伝子組み換え企業は苦しい状態。
規制が世界で進めば遺伝子組み換えは原発産業と同様に崩壊
する可能性もありうるだろう。
最近の動向8
❖ 日本政府は遺伝子組み換え作物の承認プロセスの簡
略化を行い、承認プロセスが迅速化される。
❖ 枯れ葉剤耐性遺伝子組み換えなども米国などが承認
する前に承認される。
❖ 日本の遺伝子組み換え承認件数は世界一
❖ 一方、中国は遺伝子組み換え承認にひじょうに慎重
になっている。ロシアは実質禁止へ。国によって正反
対の方向に。
最近の動向9
❖ 「遺伝子組み換えと従来の作物は実質的に同
等」と説明してきたが、遺伝子組み換え大豆
は発ガン性物質であるホルムアルデヒドを警
告レベルまで蓄積し、免疫を健康に保つグル
タチオンを枯渇させてしまうことが米国の研
究機関の研究で明らかになった。
本格登場間近の遺伝子組み換え小麦
❖ 2004年にモンサントは消費者の反対、農民の
懸念を前に開発を表向きには放棄。しかし、
あきらめてなかった。
❖ 現在は米国の小麦生産組合、オーストラリア
の組合も遺伝子組み換え小麦の生産に積極的
❖ 日本の生産者もモンサントに招かれていると
いう話も
「健康にいい」遺伝子組み換え
❖ 「農民の利益になる」
遺伝子組み換えの時代か
ら「健康にいい」遺伝
子組み換えへ
❖ オメガ3脂肪酸の多い大
豆、ビタミンA強化した
バナナ、花粉症が治る稲
❖ 遺伝子組み換え産業の
マッチポンプ
究極の遺伝子組み換え 合成生物学
❖ 他の生物の遺伝子の一部を組み込
むようなこれまでの遺伝子組み換
えと異なり、たとえばコンピュー
タで作ったDNAで生物を作るな
ど、生物を合成する手法。バニラ・
クリームやオイルで実用化済
❖ 農民がいない世界へ。工場で食料
を作る。農業の工業化の究極的形
態
❖ 培養肉など、家畜すらも不要とさ
れる人口食の時代が来る?
❖ 健康や生態系への影響は?
最後に自己紹介をかねて…
❖ オルター・トレード・ジャパンとは? フィリピン・
ネグロス島で農薬を使わない地バナナやマスコバド糖
(黒糖)を輸入して貧しい地域の小規模生産者と共に
自立を求めて活動して27年目のオルター・トレード・
ジャパンはバナナとマスコバド糖の他、パレスチナか
らのオリーブオイル、ラオスや東ティモールからのコー
ヒー、インドネシアからのエコシュリンプ、パプアから
のカカオの民衆交易を行っています。
❖ 保育園などでもご利用いただいております。
健康問題を扱ったドキュメンタリー
米国で起きている慢性
疾患の問題を取り扱っ
たドキュメンタリー映画
『遺伝子組み換えルー
レット−私たちの生命の
ギャンブル』日本語版実
現するためのプロジェク
ト開始しました。
遺伝子組み換えの怖さだ
けでなく、避けること
で改善できることを知っ
てほしい。
http://bit.ly/gmmoviej
フォローアップ
❖ オルター・トレード・ジャパン http://
altertrade.jp/
❖ 個人のブログ http://blog.rederio.jp/
❖ Facebook https://www.facebook.com/
InyakuTomoya
❖ Twitter https://twitter.com/tomo_nada

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