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学術情報の社会共有における

        「出版モデル」と「インターネットモデル」の

              比較による学術情報共有環境の考察




              群馬大学大学院社会情報学研究科 福西敏宏

                       1
12年10月5日金曜日
本研究の出発点
              専門書が急激に売れなくなったのはなぜ

              なのか?


              必要とされている学術情報が、必要とし

              ているところに、必要とされる形で、届

              いているのか?
                                   2

12年10月5日金曜日
本研究の出発点
              専門書が急激に売れなくなったのはなぜ

              なのか?


              必要とされている学術情報が、必要とし

              ているところに、必要とされる形で、届

              いているのか?
                                   2

12年10月5日金曜日
本研究の問題意識
              社会が大きく変化し、新しい技術や価値

              観が社会に大きな影響を与える今、学術

              情報はさまざまな局面で必要とされてい

              るはずでは?




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12年10月5日金曜日
先行研究
              大学図書館を中心とした図書館情報学などの分野での学術情報

              流通の現状の分析の研究(土屋2004など)

              情報工学などでのIT技術での市民と研究者のコミュニケーショ

              ンを図る試みの研究(尾暮2008など)

              理科離れ・リスク対処などの分野での科学コミュニケーション

              の可能性を探る研究(佐倉2006など)




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12年10月5日金曜日
学術情報の定義の検討
              学術情報とは、学術研究活動のために必要とされ

              る情報と、そのような活動の成果であ (り、学術

              活動の一環と しての教育研究活動によって利用さ

              れ) る情報の総体である。(土屋(2004))



               学術研究活動と社会の関わりは?

                                        5

12年10月5日金曜日
学術情報の定義の検討
              学術情報とは、学術研究活動のために必要とされ

              る情報と、そのような活動の成果であ (り、学術

              活動の一環と しての教育研究活動によって利用さ

              れ) る情報の総体である。(土屋(2004))



               学術研究活動と社会の関わりは?

                                        5

12年10月5日金曜日
学術情報と社会
           科学技術の高度化に伴い,自然科学等の学問は専門化・細分化してきた。し

          かし,地球環境問題や社会の安全・安心に係る問題など,多くの要因が絡んだ

          現代の複雑な社会的課題は,専門化・細分化された知識だけでは十分に対応で

          きず,知の総力を挙げて解決しなければならない。

           専門化・細分化された様々な分野の知識の統合や自然科学と人文・社会科

          学の各分野で得られた知識の統合など,分野を超えた取組によってこのような

          課題を解決していくことが,今,求められている。(文科省科学技術白書H.

          16年版)




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12年10月5日金曜日
学術情報と豊かさ
           これまでの科学技術は,豊かな生活や社会活動に貢献してきた。一方で,人々の求める豊か

          さは,物質的な豊かさから精神的な豊かさに比重を移しており,今後の科学技術は,心の豊かさ

          にも貢献していく必要がある。




                                    (文科省科学技術白書H.16年版)

                                                        7

12年10月5日金曜日
本研究での学術情報の定義
              学術情報とは、一義的には人々に豊かさをもたら

              すべく、さまざまな領域で行われている学術研究

              活動の成果である。そしてそれは蓄積され参照さ

              れることでさらなる学術研究活動の発展の為の利

              用や、かつ学術研究活動の一環としての教育研究

              活動によっての利用を前提とした、そのような情

              報の総体である。
                                       8

12年10月5日金曜日
学術利用情報の定義の必要性
              研究者以外の一般市民にとって、学術情報それ自

              体が求められているわけではない。

              研究者の専門分野のフレーミングと生活者のフ

              レーミングは異なる。

              蓄積され抽象化された学術情報は難解な場合が多

              い。

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12年10月5日金曜日
学術利用情報の定義
              学術情報をもとに、目的や用途によって、 加工・

              編集された情報。複数の領域の学術情報を組み合

              わせたり、比喩などを用いて難解なものを近似的

              な理解をもたらすなどの手法が使われる。




                                       10

12年10月5日金曜日
本研究の目的
              学術情報から学術利用情報への変換には、学術情

              報の生産とは違った視点やスキルが必要になる。

              そのような視点やスキルを持つ存在を、学術イン

              タープリターとしてとらえ、各メディア・機関で

              そのようなスキルや人材を確保・維持するための

              仕組みをさぐる。

              cf.サイエンス・インタープリター
                                       11

12年10月5日金曜日
先行研究
              個別領域か、個別メ

              ディアによってい

              て、社会全体として

              の学術情報共有との

              関わりが見えてこな

              い。




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12年10月5日金曜日
本研究のターゲット

              各研究領域、各メ

              ディアを横断的に捉

              えることで、社会全

              体での学術情報共有

              を俯瞰し、新たな共

              有の形の可能性を模

              索する。




                          13

12年10月5日金曜日
本研究のターゲット

              各研究領域、各メ

              ディアを横断的に捉

              えることで、社会全

              体での学術情報共有

              を俯瞰し、新たな共

              有の形の可能性を模

              索する。




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12年10月5日金曜日
出版から見た学術情報の社会共有
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12年10月5日金曜日
インターネットからみた社会共有
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12年10月5日金曜日
Wikipedia日本語版の項目「情報」と平凡社世界大

              百科事典の項目「情報」の作成過程の比較

              Wikipediaは変更履歴がオープンなので分析が比較的容易だが、世界大百科事典の製作過程はオー

              プンになっていないので、論者の経験からの類推による部分が大きい。




              Wikipedia               世界大百科事典

               自発的な共同作業                一企業による集権的な作業
               文章の長さの制約なし              文章の長さの制約あり

               制作期間の制約なし               制作期間の制約あり

               執筆者は金銭的な報酬なし            執筆者は金銭的な報酬あり

               執筆者は水平的な組織              執筆者は垂直的な組織

               免責事項あり                  免責事項なし

               

                                                                 16

12年10月5日金曜日
Wikipedia日本語版項目「情報」の変更履歴




                               17

12年10月5日金曜日
Wikipedia日本語版項目「情報」の変更履歴




                               18

12年10月5日金曜日
Wikipedia日本語版項目「情報」の変更履歴の分析

              のべ148回の変更履歴

              81ユーザ(bot含む)

              同一者による変更の最大数17回

              25ユーザが利用者ページで自己の属性に言及(bot除く)

              1ユーザがsysop(管理者)であることを明示的に言及。

              2ユーザがWikipedia外部へのリンクを持つ。




                                             19

12年10月5日金曜日
Wikipedia日本語版『情報』のバイト数の変化




                                   Wikipedia日本語版『情報』の変更履歴より作成




                                                                20

12年10月5日金曜日
平凡社『世界大百科事典』1988

              最高の執筆陣が結集、全項目を署名入りで責任執筆(平凡社パンフレット)


              編集委員520名、執筆者7000名、85,000項目


              10年の歳月


              およそ、100億円にのぼる資金


              パンフレットに記されている主要編集・執筆陣は、数10冊∼数100冊の著書・翻訳書を、岩波

              書店・ちくま書房などをはじめとする有名出版社から刊行




                                                             21

12年10月5日金曜日
平凡社『世界大百科事典』1988 主な編集・執筆陣
        ●編集長               増田四郎 一橋大学名誉教授       治、軍事化)
        加藤周一               向坊  隆 東京大学名誉教授      澁澤龍彦 評論家(エロティシズ
                           吉田秀和 評論家            ム、サド、デカダン派)
        ●編集顧問                                  杉浦民平 作家(デカメロン)
        伊藤正男 東京大学教授        ●主な執筆陣              高階秀爾 東京大学教授(色〈美術
        今西錦司 京都大学名誉教授      阿部謹也 一橋大学教授(市、時     における〉、フランス美術)
        宇沢弘文 東京大学教授        間)                  多田富雄 東京大学教授(免疫)
        梅棹忠夫 国立民族学博物館館長    荒俣  宏 評論家(怪物、博物学、   中沢新一 東京外国語大学AA研助
        江上波夫 古代オリエント博物館館   図版)                 手(石、道祖神)
        長                  池内  紀 都立大学教授(笑い、世   西部  邁 東京大学教授(経済人)
        桑原武夫 京都大学名誉教授      紀末)                 野村万作 狂言和泉流(狂言)
        小谷正雄 東京大学名誉教授      石毛直道 国立民族学博物館教授     日高敏隆 京都大学教授(生物、個
        西郷信綱 国文学者          (食事)                体)
        佐藤進一 歴史学者          大岡  信 詩人・評論家(詩語)    廣末  保 評論家(近松門左衛門)
        島田虔次 京都大学名誉教授      亀井俊介 東京大学教授(ジェ      村上陽一郎 東京大学教授(科学、
        中野好夫 評論家           シー・ジェイムズ、カウボーイ)     物理学)
        林  達夫 評論家          川田順造 東京外国語大学教授(ア
        藤田省三 法政大学教授        フリカ、歴史)
        古島敏雄 東京大学名誉教授      坂本義和 東京大学教授(世界政
                                                                 22

12年10月5日金曜日
Wikipedia 項目「Wikipedia:検証可能性」
                             指しています。記事を執筆する際は、閲覧                 ペディアの閲覧者層や他の編集者が満足に   けをウィキペディアに記載することで、読
                             者や他の編集者が内容を検証できるよう、                 検証することができないから」です。読者   者にも検証可能にするということです。編
                             en:Wikipedia:Reliable sources(信頼で   は、あなたが誰なのかを知りません。世界   集者が独自に検証できるからといって、そ
                             きる情報源)にあたり、出典を明記するべ                 中の閲覧者があなたに連絡して確認を取れ   れは(一般的な)検証可能性を満たしたこ
                             きです。                                るように、あなたの連絡先を載せるという   とにはなりません。
                             この文脈における「検証可能性」とは、編                 わけにはゆきません。たとえあなたに連絡
                             集者が、例えばニューヨーク・タイムズの                 がとれるようになっていたとしても、閲覧   情報源/ソース [編集]
                             記事の中身が真実かどうか検証する責任が                 者があなたを信じる理由がどこにあるで    この件について詳しくは、
                             あるという意味ではありません。実際のと                 しょう。                  en:Wikipedia:Reliable sources
                             ころ、編集者はその種の調査をしないよう                 その情報をウィキペディアに載せてよいも   (Wikipedia:信頼できる情報源) をご覧くだ
                             強く求められます。なぜならウィキペディ                 のにするには、まず、広く信頼されている   さい。
                             アでは独自研究(オリジナル・リサーチ)                 報道機関を説得してあなたの話を発表して   ウィキペディアの記事は、事実確認と正確
                             を発表してはならないからです。記事は信                 もらわなければなりません。それは、査読   さについて定評のある、信用できる第三者
                             頼できる情報源が公開している題材だけを                 を受けるのと同様の過程を経ることになり   情報源に基いて書くべきです。学術的な主
                             含むべきです。それは個々の編集者が真実                 ます。つまり、まず記者、次に編集者、そ   題については、なるべくピアレビュー(査
                             であると思うかどうかには関係ありませ                  しておそらくは事実調査員にチェックされ   読)を経た情報源を用いるべきです。ま
       ウィキペディアに執筆してよいかどうかの   ん。直観に反するようですが、ウィキペ                  るでしょう。もし問題があれば、さらに弁   た、主張する内容に応じて適切な情報源を
       基準は「真実であるかどうか」ではなく    ディアに掲載してよいかどうかの基準は                  護士、そして編集長にチェックされるかも   選ぶべきです(珍奇な主張には強固な情報
       「検証可能かどうか」です。つまり、私た   「真実かどうか」ではなく「検証可能かど                 しれません。このような事実確認とその評   源が必要です)。
       ちがウィキペディアで提供するのは、信頼   うか」(真偽よりも検証可能性)なので                  価のしくみがあるのは、新聞に正確で公正   ウィキペディア日本語版では、可能な限り
       できるソース(情報源)を参照することに   す。                                  な記事を載せるためです。          日本語による情報源を示すべきであり、常
       より「検証できる」内容だけだということ   検証可能であることと真実であることの違                                       に日本語による情報源を日本語以外の言語
       です。このことをウィキペディアでは検証   いは、次の例で見ればよくわかるでしょ                  この事実関係を確認するという過程は、    による情報源より優先して使用するべきで
       可能性と呼んでいます。           う。あなたは、ある著名な物理学者の「X                 ウィキペディアでは提供できません。それ   す。これは、情報源の資料が正しく使用さ
                             理論」についてウィキペディアの記事を書                 ゆえに、独自研究は載せないという方針と   れたことを、日本語版の読者が容易に検証
       「真実かどうか」ではなく「検証可能かど   いているとします。X理論は査読審査を経                 検証可能なことのみ載せるという方針が大   できるようにするためです。
       うか」 [編集]              て学術誌に掲載されており、したがって                  変重要となるのです。(注:要するに、査
                             ウィキペディアの記事として適していま                  読に相当する機能はウィキペディアの外部
       百科事典を編纂する際、良い記事を執筆す   す。ところが、執筆中にあなたがその学者                 に求めよということ)
       るためには、広く信頼されている発行元か   に連絡をとったところ「実を言うと、今で                 もしもその新聞があなたの話を載せてくれ
       らすでに公開されている事実、表明、学    はX理論は完全に誤りだと考えていま                   たならば、ようやくその情報をウィキペ
       説、見解、主張、意見、および議論につい   す。」と言われてしまいます。あなたが原                 ディアの記事に書き込んで、その新聞を情
       てのみ言及すべきです。このことをよく理   著者本人からこれを聴いたとしても、彼が                 報源として示すことができます。
       解することは、良い記事を執筆するために   そう言ったという事実をウィキペディアに                 分かり易く言えば、検証可能性とは信頼で
       最も大切な秘訣の一つです。ウィキペディ   書いてはいけません。                          きる情報源(例えば、査読制度のある雑誌
       アは、完全で、信頼の置ける百科事典を目   なぜいけないのでしょう。それは「ウィキ                 や新聞)からすでに公開されている情報だ
                                                                                                                       23

12年10月5日金曜日
Wikipedia 項目「情報」2009年9月2日 (水) 23:55版
       情報                        情報と意味 [編集]             しんだ人間が日常的に用いる情報概念でも         関連項目 [編集]
       出典: フリー百科事典『ウィキペディア       ここで、情報に「意味」があるとは、その    ある。
       (Wikipedia)』              事象をとらえる文脈、あるいは視点がある    →情報工学                       ウィクショナリーに情報の項目がありま
       この項目では、一般的な意味の「情報」に       からであり、情報は、こうした、ある文                                 す。
       ついて記述しています。学校の教科として       脈、視点によって立ち現れてくるものであ    情報処理における情報                  情報化社会
       2003年に設置された情報(じょうほう)に     る。ここで言う、文脈/視点とは「∼に     データが復号(デコード)され、データに         情報革命
       ついては「情報 (教科)」をご覧ください。     とっての意味」、「∼にとっての情報」の    何かが加わったもの。また、符号化されて         情報技術
                                 「∼」に相当するものであり、情報は本     データになる前の、データに何かが加わっ         情報格差
       広義の情報(じょうほう、英             来、常にこうして「∼にとっての情報」と    た状態のもの。ここでいうデータは、上記         情報理論
       Information)は、人の判断・意思を左   して扱われるものである。           の「情報理論・情報科学における情報」に         データ - コンピュータ - 処理系 - 復号
       右・決定させるすべての事象である。 これ      ただし、通常の会話の中で「富士山」と     相当するものであり、この定義では単純に         計算機科学 - 情報学 - 情報・メディア・コ
       は一定の文脈の中で意味を持つものを広く       言ったとき、誰にとっての「富士山」か問    情報量ではとらえきれないものが情報とさ         ミュニケーション研究
       指す概念であり、言語、貨幣、法律、環境       題にされないのと同じ理由で、「情報」が    れている。                       情報源 - 情報量
       中の光や音、神経の発火やホルモンなどの       誰にとっての情報か問題にされないことも    →応用情報学                      情報 (教科)
       生体シグナルを始め、あらゆるものを「情       多い。これは、私たちの意識は、社会的な                                情報の散逸
       報」とみなすことができる。たとえば、<       視点、社会的な文脈を自分でも気づかない    情報学における情報                   インテリジェンス
       私>の意識にのぼるあらゆるものは、<私>      形で取り入れてしまっているからである     定義するためにさまざまな試みがなされて         情報機関
       にとって意味があるものであり、<私>に       (これは一般に、間主観性と言われるもの    いる。たとえば、西垣通の『こころの情報         情報戦
       とっての「情報」であると言える。          である)。こうした情報は、<社会>に     学』[3]における「それによって生物がパ        情報番組
       歴史的には、事象、事物、過程、事実など       とっての情報と言うこともできる。こうし    ターンをつくりだすパターン」がある。た         情報公開 - 情報公開法 - 個人情報保護法
       の対象について知りえたこと、「知らせ」       た<社会>にとっての情報は、それがどの<   だし、西垣が同書で「同じパターンでも人
       の意味で使われてきたもので、情報学の発       社会>にとっての情報か意識されている場    によってとらえ方が違う」ということを強         脚注 [編集]
       展の中で、より広い意味で使われるように       合は、本来の意味での情報と変わらない     調していることからも分かるように、この         [ヘルプ]
       なったものである。                 が、グローバル化した一元的な<社会>に    場合、一般的な意味でのパターンというよ         ^ こうした情報と意味についての議論は主
       一方、今日では、コンピュータによる情報       おいては、情報の「∼にとっての」という    り、「パターンについての主観的なとらえ         に基礎情報学で扱われるものである.
       処理を前提とした情報(データ)が問題に       部分が見えなくなり、そこでは結果とし     方」、「パターンで意味されているもの」         ^ C. Shannon, "A Mathematical
       されることも多い。情報の本来の定義に基       て、「意味が問題にされない情報」が扱わ    というニュアンスが強いことに注意する必         Theory of Communication", The Bell
       づき、情報とデータを区別して、情報を        れることもある。今日のインターネット社    要がある。単純に言えば「意味をもつも          System Technical Journal, Vol. 27,
       「意味を持つデータ」と考える見方もある       会、グローバル化の問題は、こうした観点    の」が情報だと考えることができる。           1948, pp. 379-423. http://cm.bell-
       が、こうした分野では、全体的に情報の意       から理解される必要がある。[1]       →社会情報学/基礎情報学                labs.com/cm/ms/what/shannonday/
       味が問題にされないことが多いため、結果                                                          shannon1948.pdf
       として、情報とデータは区別されないこと       情報の定義 [編集]             語源 [編集]                     ^ 西垣通『こころの情報学』筑摩書房,
       になる。この場合、情報は「意味が問題に       情報理論・情報科学における情報        情報という語は、明治期の森鴎外による訳         1999, p.32.
       されない情報」として扱われていることに       出現頻度の対数として測定される情報量を    語という説があったが、実際にはそれより         ^ 小野厚夫: 情報小論. 「国際文化学研究」
       なり、本来の「意味が問題にされる情報」       もつもの。この定義は、シャノンが定義し    も古く、1876年出版の訳書『佛國歩兵陣        (神戸大学国際文化学部紀要)創刊号, pp.
       とは区別して考える必要がある。           た情報量の概念が基になっているが、シャ    中要務實地演習軌典』において、仏語           1-16, 1994. http://ccs.cla.kobe-
                                 ノン自身は情報の定義を明確にしておら     renseignement (案内、情報)の訳語と   u.ac.jp/Jouhou/kyoukan/Ono/
       目次 [非表示]                  ず、情報量の測定方法しか論じていない     して「敵情を報知する」意味で用いられた         joho_rep/940331.html
       1 情報と意味                   [2]。ここから逆に、情報量をもつものが   のが最初である[4],[5]。             ^ 小野厚夫: 情報という言葉を尋ねて(1).
       2 情報の定義                   情報だとする考え方が生まれてできたの     中国語では、「信息(Xinsu)」という。       情報処理学会誌, Vol.46, No.4, pp.
       3 語源                      が、この定義である。             「情報(Qingbao)」は、諜報の意味になる     347-351, 2005.
       4 関連項目                    ビット、バイトといった単位で量を計測で    ので、注意が必要である(中国語版参           カテゴリ: 情報 ¦ 情報学 ¦ 知識 ¦ 和製漢語
       5 脚注                      きるものとしての情報は、すべてこの定義    照)。
                                 によるものである。コンピュータに慣れ親
                                                                                                                   24

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平凡社『世界大百科事典』1988 編集方針
       《世界大百科事典》の編集方針について    に知りたいことについては、利用すること    て、近きより遠きへ及ぼした。項目は、日   でその関係を説明しようとした。伝説の重
       [現代は情報が多すぎて、また少なすぎる   のできる情報が、あまりにも少ないという    本に近いほど多く、記述は、原則として、   要さには特別の注意を払う。たとえば歴史
       時代である]                ことになる。                 日本とのかかわりの深いほど詳細である。   的事実のほとんど何も知られていない小野
        一般の市民は、新聞・雑誌・書籍・電波    そういう情報の不足に対応するために     たとえば朝鮮半島の歴史・文化・社会にか   小町や弁慶の伝説的人物としての役割を詳
       メディアの伝える情報の、いわば洪水のな   は、知りたい対象の全体を念頭におきなが    かわる項目は、過去および現在の日本語に   述する。
       かでくらしている。限られた時間のなか    ら、部分的な情報をまとめてゆくほかはな    よるあらゆる百科事典のそれよりも、はる   [わかりやすさのために]
       で、どういう本を読むべきか、選択は必ず   い。また専門家に、情報の正確さを犠牲に    かに多くを採る。また、たとえば西洋の人   1――科学技術上の概念を厳密に定義する
       しも容易でない。しかも情報の量は、どの   しないままで、しかもわかりやすく話すく    物や事件については、その日本とのかかわ   ためには術語を用いなければならない。し
       領域でも急速に増大し、新しい事実が知ら   ふうを求めるほかはないだろう。  百科事   り(作品の翻訳、事件の影響など)をでき   かしそういう定義に立ち入る前に、術語を
       れ、新しい概念が導入され、新しい仮説が   典が、このような現代社会の要請に応じる    るかぎり詳しく述べる。           知らない読者にも、近似的な理解、あるい
       提案される。非専門家ばかりでなく、専門   ためには、従来の百科事典の改訂ではなく    4――整理とは分類であるが、この事典で   は大づかみな要領の会得が可能になるよう
       の研究者にとってさえも、追いついてゆく   て、まったく新たに編集の方針そのものを    の分類は、必ずしも従来の慣習に従わず、   な説明を与えることにした。今までの百科
       ことがむずかしいだろう。          考えなおす必要がある。この百科事典が、    しばしば叙述の効率を基準として、新しい   事典の、正確ではあっても難解な記述に閉
        このような情報量の増大とその広範な伝   多すぎる情報を整理し、細分化された知識    分け方を用いた。たとえば、〈アメリカ合   口した経験のある読者は、この事典を見
       達が成り立つための条件の一つが、政府機   をまとめ、専門家の表現を非専門家にわか    衆国〉という国名での記述を抑えて、地域   て、科学技術上の用語のおよその意味をた
       関や大企業が経営する大きな組織の活動で   りやすくするために採用した方針は、次の    や大都市の項目の記述を豊富にする。この   ちどころに把握できることに、驚くだろ
       あることは、いうまでもない。したがっ    ようなものである。              方法は、またたとえばアフリカ大陸につい   う。
       て、市民が受け取る情報のなかには、政治   [整理のために]               ても有効であろう。国境の意味は、人種    2――歴史的に、また地域的に、意味を異
       的または商業的な目的のために操作された   1――知識の体系については、中心的な概    的・文化的・言語学的・宗教的に、必ずし   にする言葉がある。そういう言葉について
       ものもある。                念の説明を重んじ、技術については、その    も決定的でない。              は、語義の変遷や地域差にも立ち入って説
        受取り側は、どう反応することができる   原理を重んじた。たとえばコンピューター    [まとめのために]             明することにした。その言葉を用いた本文
       だろうか。もし右往左往して、しかも受身   について、論理回路の意味を懇切ていねい    1――同じ地域の問題を扱うのに、専門領   の解釈を正確にするために役だつはずであ
       に操られることを望まないとすれば、多す   に解説し、その技術的な細部や応用範囲を    域を異にする委員会の学際的討議を重んじ   る。  編集の方針は以上のとおりである。
       ぎる情報を整理しなければならないし、特   できるだけ簡潔に述べる。これは幹と枝葉    た。互いに関係のない専門的知識の並列で   それがどの程度に実現されているかは、事
       にみずからの立場に従って整理しなければ   をはっきりと区別するということである。    はなくて、その間の関係を求め、対象の全   典を利用する方々の判断にまつほかはな
       ならないだろう。              たとえ枝葉にめざましい変化があっても幹    体が見失われないように努めたのである。   い。この事典は、専門領域以外の事物につ
        情報または知識の蓄積の、もう一つの条   は変わらないから、この方針は、日進月歩    2――また地域に限らず、他の項目、特に   いて、早く、正確な情報を得たいと思う日
       件は、専門化である。研究者や技術者は、   の領域で、この事典の記述が古くならない    たとえば動植物の名前などについても学際   本国民のだれでも利用することのできる道
       いよいよ細分化された領域で、またその領   ということをも意味するだろう。        的な記述を重んじた。したがってこの事典   具である。道具が役にたつだろうことを切
       域でのみ仕事をする。そこでは、同じ領域   2――事典は執筆者または編集者の意見を    は、動物学者の述べる〈鶴〉に満足せず、   に願う。
       の専門家の間でしか通用しない特殊な術語   発表するための機関ではない。しかし特定    同時に民俗学者の語る日本の伝説のなかで   《世界大百科事典》編集長 加藤周一
       の体系も発達する。彼らの話は、素人には   の立場をとらずに情報を整理することはで    の〈鶴〉を併記する。〈鶴〉に関する知識
       わかりにくい。またたとえわかっても、市   きないだろう。この事典が基本的な立場と    を、たとえば《夕鶴》の理解にも役だちう
       民が個人的にも、社会的にも、知りたいと   したのは、平和と民主主義と人権の擁護で    るようにまとめようとした。
       思う事物の全体ではなくて、一面を語るに   ある。                    3――事実と仮説とを区別したうえでそれ
       すぎない。情報の洪水のなかで、ほんとう   3――また地域的には、日本を中心とし     を関連づけ、歴史と伝説とを峻別したうえ
                                                                                              25

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平凡社『世界大百科事典』1988 項目「情報」
       情報 じょうほう information        報概念の最初の規定である。 しかし同じ容         まではその情報伝達 (複写・翻訳) の機構   開発されつつあるが, 容易には解決されな
                                   量をもっていても,区別されない符号が並          も解明されており, 遺伝子操作は遺伝子情    いであろう。
       〈情報〉という語は,広義にはニュースや         んでいるのと区別されるものが特定の順序          報の加工にほかならない。             現在,情報伝達の媒体はますます多様化
       知識を指すのにも用いられているが, 厳密        で並んでいるのとでは情報の量が異なる。           しかし一般に用いられている情報の概念     し, 速さも量も増大しており,情報処理の
       には,人間を離れて客観的に伝達・処理が         ハートリーは〈心理的要素を考慮に入れて          は技術的情報だけでなく, 意味内容を含め    速度や記憶容量も増えているが, 質の向上
       できるようになった段階でのそれをいう。         きめなければならない〉として〈情報量〉          たものとして理解されている。 〈情報収     と変換の技術が今後の課題で, 入出力機構
       その伝達や処理は元来は人間が担っていた         の規定を避けたが, シャノン               集〉とか〈情報の漏洩〉という場合の情報     や翻訳の自動化が開発目標となっている。
       ものであるが, 技術発達の過程で,材料加        C.E.Shannonは 48 年,確率pの状態にあ   は, 符号だけではなくその符号のもつ意味    質については〈忠実度 fidelity〉の高度化
       工から〈物質〉の概念が生まれ, 原動機の        る情報量Cを− logpで定義した。 これだ       内容をも指している。 換言すれば,人間の    が技術的課題である。 他方で,パターンの
       開発から〈エネルギー〉の概念が生まれた         と,確率が小さいほど情報量が大きいとい          行動や社会の存続にとって意味のあるもの     意識的変換を情報処理で行う芸術活動や,
       ように, 通信技術やコンピューターや自動        う心理的事実と合うのである。 この定義に         ごとについての〈知らせ〉が情報と考えら     表現形式と意味内容の分離を効果的に生か
       制御の発達の結果, 新しく〈情報〉の概念        よれば−符号あたりの平均情報量Hは            れているのである。 人文・社会科学におい    したパロディなども流行しており, 情報概
       が形成されたのである。 情報を生産したり                                     て対象とされる情報の概念も, ほぼこれに    念の果たしている役割は通信やコンピュー
       伝達したりするのは制御のためであり, 利                                     近い。 これはプラグマティックな意味の面    ターや自動制御に限られない広がりをもつ
       用しやすくするために保存 (記録・記憶)                                     から見た〈価値的情報〉と呼ぶことができ     といえよう。 ⇒記号   情報理論
       や加工 (情報処理) も行われる。 現代的意                                   る。 価値的情報は種々の特質をもっている
       味での情報の特徴は,その表現形式と意味         となり, 熱力学でいうエントロピーと同じ         が, その第 1 は時間の次元をもつことで   坂本 賢三
       内容が分離されうることである。 20 世紀       形をしているので〈エントロピー〉と呼ば          あって, 時間とともに価値が減少し (予報
       初頭すでにソシュールが言語を記号と見,         れる。 ただし熱力学の場合と異なり負号が         はその時が過ぎれば価値がなくなる), 未
       能記 (シニフィアン signifiant,意味する   ついているので〈負エントロピー (ネゲン         来の時間が反映する (将来の目標のための
       もの) と所記 (シニフィエ signifiレ,意味   トロピーnegentropy) 〉ということもあ     現在の決定に必要な情報が価値をきめる)。
       されるもの) を区別していたが,数学や工        る。 統計力学でいうエントロピーが〈無秩         第 2 は,多くのコピーを取ることができ,
       学では意味内容は一般的な扱いができない         序性の測度〉であるのに対し, 情報のエン         無限の大量生産が可能であり,複製という
       のでこれを捨象し表現形式のみを扱う。 こ        トロピーは負なので情報は〈秩序性の測           ことの意義が変化する。 物の場合には複製
       のように意味内容 (メッセージ) を切り離       度〉といってもよい。 このように量的に定         は偽物であるが,パンチカード, ビデオ
       して符号 (コード) のみを取り上げた場合       義されることによって, 情報のノイズや          テープやフロッピーディスク, コンパクト
       の情報を〈技術的情報〉という。             フィルタリングの問題が解けるようにな           ディスクなどはオリジナルと同じ価値を持
        技術的情報は符号の組合せであって一般         り, 代数学を用いた符号化の理論もでき          つ。 しかもコピーして譲渡・伝達しても情
       的にいえば〈パターン〉である。 情報伝達        た。 技術的情報は符号の系列であるから,         報源から情報は失われない。 第 3 に,情
       (通信) や情報処理で扱われる情報はこのパ       情報をベクトルと考えヒルベルト空間の点          報の受取り手も努力を必要とする。 必要な
       ターンで, 量的に規定することができる。        とみなして幾何学的に扱う信号空間の理論          メッセージを得るためには,大量の情報の
       1928 年にベル電話研究所のハートリー        もある。 さらに,53 年に DNA の二重ら      中から必要なものを選び出さなくてはなら
       R.V.Hartleyが, n個の区別しうる状態を   せん構造を提案した J.D.ワトソンと          ず, 解読のためのコードを知っていなけれ
       もつ記憶装置は lognの〈情報容量C〉をも      F.H.C.クリックは, ガモフの示唆によって      ばならない。 前者のためには情報検索
       つと定義し, これで測られる量を〈情報         遺伝が情報の伝達であり, ヌクレオチドの         (データベース), 後者の場合には翻訳機が
       information〉と呼んだ。 これが技術的情   配列パターンが遺伝情報であるとした。 い
                                                                                                             26

12年10月5日金曜日
考察

               Wikipediaと世界大百科事典の項目の作成過程とその結果の項目を比

              較すると、Wikipediaがすでに学術利用情報を参照することで作られて

              いるのに対し、世界大百科事典は、より学術情報に近い位置で学術利用

              情報がつくられているように思われる。

               学術利用情報も、学術情報に近いところで変換されるものと、すでに

              変換されている学術利用情報をさらに変換してあらたな学術利用情報と

              するものに分かれることを今後考慮にいれる必要があるだろう。

               また、Wikipediaが検証可能性を既存の出版システムに求めている以

              上、出版システムが機能し続けない限り、Wikipediaもまた危機に直面

              する可能性があると思われる。
                                                     27

12年10月5日金曜日
今後の課題

              各メディア、各社会セクションを横断的に取材、各学術利用情報の生産

              過程と、その生産物を分析し、現在分散している学術インタープリター

              の表現技術を集約する可能性を探る。



              あらたな特定の原理に縛られない持続可能な学術情報インタープリター

              の可能性を探る。




                                                 28

12年10月5日金曜日
参考文献
         •岩渕秀樹(2004)「サイエンスショップの社会技術的再考−デンマークの事例から−」『社会技術研究論文集』 Vol.2,
         30-38, Oct. 2004


         •尾暮 拓也・古田 一雄(2008)「オントロジーを利用した分野特化型情報検索技術の社会的実装」『社会技術研究論文集』
         Vol.5, 206-215, Mar. 2008


         •金本 径卓 , 鈴木 優 , 川越 恭二(2008)「編集履歴に基づくWikipediaにおける記事の信頼度算出手法」『情報処理学会研究
         報告. GN, [グループウェアとネットワークサービス] 』2008(7)社団法人情報処理学会


         •ギアーツ,クリフォード(1999)『ローカル・ナレッジ』岩波書店

         •木村忠正(2008)「解説 ウィキペディアと日本社会―集合知,あるいは新自由主義の文化的論理」『ウィキペディア革命―
         そこで何が起きているのか?』2008 岩波書店


         •佐倉統(2006)「科学技術コミュニケーターの社会的役割と文化論的展望 (特集 理系の説明責任--何を問うべきか)」『科学』
         76(1), (881) 42∼47 ,2006/1


         •土屋俊(2004)「学術情報流通の最近の動向」(web http://mitizane.ll.chiba-u.jp/metadb/up/joho/
         scomm_tutiya.pdf)




                                                                                      29

12年10月5日金曜日
参考文献
         •奈良由美子・伊勢田哲治(2009)『生活知と科学知』放送大学教材 放送大学振興会

         •長谷川一(2003)『出版と知のメディア論―エディターシップの歴史と再生』みすず書房 廣松 渉(1988)『新哲学入門』
         岩波書店


         •廣松 渉(1988)『新哲学入門』岩波書店

         •藤井 敦 , 三條場 旭彦(2008)「説明の観点に基づくテキストの分類と要約」『 情報処理学会研究報告. 自然言語処理研究会
         報告』2008(113)社団法人情報処理学会


         •村松秀(2009)「テレビ映像と様々なメディアをクロスさせた科学教育コ ミュニケーションの新手法の開発 : NHK「理科教
         育クロ スメディア」の取り組みから」Journal of Science Communication, 5: 117-132




                                                                            30

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  • 1. 学術情報の社会共有における 「出版モデル」と「インターネットモデル」の 比較による学術情報共有環境の考察 群馬大学大学院社会情報学研究科 福西敏宏 1 12年10月5日金曜日
  • 2. 本研究の出発点 専門書が急激に売れなくなったのはなぜ なのか? 必要とされている学術情報が、必要とし ているところに、必要とされる形で、届 いているのか? 2 12年10月5日金曜日
  • 3. 本研究の出発点 専門書が急激に売れなくなったのはなぜ なのか? 必要とされている学術情報が、必要とし ているところに、必要とされる形で、届 いているのか? 2 12年10月5日金曜日
  • 4. 本研究の問題意識 社会が大きく変化し、新しい技術や価値 観が社会に大きな影響を与える今、学術 情報はさまざまな局面で必要とされてい るはずでは? 3 12年10月5日金曜日
  • 5. 先行研究 大学図書館を中心とした図書館情報学などの分野での学術情報 流通の現状の分析の研究(土屋2004など) 情報工学などでのIT技術での市民と研究者のコミュニケーショ ンを図る試みの研究(尾暮2008など) 理科離れ・リスク対処などの分野での科学コミュニケーション の可能性を探る研究(佐倉2006など) 4 12年10月5日金曜日
  • 6. 学術情報の定義の検討 学術情報とは、学術研究活動のために必要とされ る情報と、そのような活動の成果であ (り、学術 活動の一環と しての教育研究活動によって利用さ れ) る情報の総体である。(土屋(2004)) 学術研究活動と社会の関わりは? 5 12年10月5日金曜日
  • 7. 学術情報の定義の検討 学術情報とは、学術研究活動のために必要とされ る情報と、そのような活動の成果であ (り、学術 活動の一環と しての教育研究活動によって利用さ れ) る情報の総体である。(土屋(2004)) 学術研究活動と社会の関わりは? 5 12年10月5日金曜日
  • 8. 学術情報と社会  科学技術の高度化に伴い,自然科学等の学問は専門化・細分化してきた。し かし,地球環境問題や社会の安全・安心に係る問題など,多くの要因が絡んだ 現代の複雑な社会的課題は,専門化・細分化された知識だけでは十分に対応で きず,知の総力を挙げて解決しなければならない。  専門化・細分化された様々な分野の知識の統合や自然科学と人文・社会科 学の各分野で得られた知識の統合など,分野を超えた取組によってこのような 課題を解決していくことが,今,求められている。(文科省科学技術白書H. 16年版) 6 12年10月5日金曜日
  • 9. 学術情報と豊かさ  これまでの科学技術は,豊かな生活や社会活動に貢献してきた。一方で,人々の求める豊か さは,物質的な豊かさから精神的な豊かさに比重を移しており,今後の科学技術は,心の豊かさ にも貢献していく必要がある。 (文科省科学技術白書H.16年版) 7 12年10月5日金曜日
  • 10. 本研究での学術情報の定義 学術情報とは、一義的には人々に豊かさをもたら すべく、さまざまな領域で行われている学術研究 活動の成果である。そしてそれは蓄積され参照さ れることでさらなる学術研究活動の発展の為の利 用や、かつ学術研究活動の一環としての教育研究 活動によっての利用を前提とした、そのような情 報の総体である。 8 12年10月5日金曜日
  • 11. 学術利用情報の定義の必要性 研究者以外の一般市民にとって、学術情報それ自 体が求められているわけではない。 研究者の専門分野のフレーミングと生活者のフ レーミングは異なる。 蓄積され抽象化された学術情報は難解な場合が多 い。 9 12年10月5日金曜日
  • 12. 学術利用情報の定義 学術情報をもとに、目的や用途によって、 加工・ 編集された情報。複数の領域の学術情報を組み合 わせたり、比喩などを用いて難解なものを近似的 な理解をもたらすなどの手法が使われる。 10 12年10月5日金曜日
  • 13. 本研究の目的 学術情報から学術利用情報への変換には、学術情 報の生産とは違った視点やスキルが必要になる。 そのような視点やスキルを持つ存在を、学術イン タープリターとしてとらえ、各メディア・機関で そのようなスキルや人材を確保・維持するための 仕組みをさぐる。 cf.サイエンス・インタープリター 11 12年10月5日金曜日
  • 14. 先行研究 個別領域か、個別メ ディアによってい て、社会全体として の学術情報共有との 関わりが見えてこな い。 12 12年10月5日金曜日
  • 15. 本研究のターゲット 各研究領域、各メ ディアを横断的に捉 えることで、社会全 体での学術情報共有 を俯瞰し、新たな共 有の形の可能性を模 索する。 13 12年10月5日金曜日
  • 16. 本研究のターゲット 各研究領域、各メ ディアを横断的に捉 えることで、社会全 体での学術情報共有 を俯瞰し、新たな共 有の形の可能性を模 索する。 13 12年10月5日金曜日
  • 17. 出版から見た学術情報の社会共有 14 12年10月5日金曜日
  • 18. インターネットからみた社会共有 15 12年10月5日金曜日
  • 19. Wikipedia日本語版の項目「情報」と平凡社世界大 百科事典の項目「情報」の作成過程の比較 Wikipediaは変更履歴がオープンなので分析が比較的容易だが、世界大百科事典の製作過程はオー プンになっていないので、論者の経験からの類推による部分が大きい。 Wikipedia 世界大百科事典  自発的な共同作業  一企業による集権的な作業  文章の長さの制約なし  文章の長さの制約あり  制作期間の制約なし  制作期間の制約あり  執筆者は金銭的な報酬なし  執筆者は金銭的な報酬あり  執筆者は水平的な組織  執筆者は垂直的な組織  免責事項あり  免責事項なし   16 12年10月5日金曜日
  • 22. Wikipedia日本語版項目「情報」の変更履歴の分析 のべ148回の変更履歴 81ユーザ(bot含む) 同一者による変更の最大数17回 25ユーザが利用者ページで自己の属性に言及(bot除く) 1ユーザがsysop(管理者)であることを明示的に言及。 2ユーザがWikipedia外部へのリンクを持つ。 19 12年10月5日金曜日
  • 23. Wikipedia日本語版『情報』のバイト数の変化 Wikipedia日本語版『情報』の変更履歴より作成 20 12年10月5日金曜日
  • 24. 平凡社『世界大百科事典』1988 最高の執筆陣が結集、全項目を署名入りで責任執筆(平凡社パンフレット) 編集委員520名、執筆者7000名、85,000項目 10年の歳月 およそ、100億円にのぼる資金 パンフレットに記されている主要編集・執筆陣は、数10冊∼数100冊の著書・翻訳書を、岩波 書店・ちくま書房などをはじめとする有名出版社から刊行 21 12年10月5日金曜日
  • 25. 平凡社『世界大百科事典』1988 主な編集・執筆陣 ●編集長 増田四郎 一橋大学名誉教授 治、軍事化) 加藤周一 向坊  隆 東京大学名誉教授 澁澤龍彦 評論家(エロティシズ 吉田秀和 評論家 ム、サド、デカダン派) ●編集顧問 杉浦民平 作家(デカメロン) 伊藤正男 東京大学教授 ●主な執筆陣 高階秀爾 東京大学教授(色〈美術 今西錦司 京都大学名誉教授 阿部謹也 一橋大学教授(市、時 における〉、フランス美術) 宇沢弘文 東京大学教授 間) 多田富雄 東京大学教授(免疫) 梅棹忠夫 国立民族学博物館館長 荒俣  宏 評論家(怪物、博物学、 中沢新一 東京外国語大学AA研助 江上波夫 古代オリエント博物館館 図版) 手(石、道祖神) 長 池内  紀 都立大学教授(笑い、世 西部  邁 東京大学教授(経済人) 桑原武夫 京都大学名誉教授 紀末) 野村万作 狂言和泉流(狂言) 小谷正雄 東京大学名誉教授 石毛直道 国立民族学博物館教授 日高敏隆 京都大学教授(生物、個 西郷信綱 国文学者 (食事) 体) 佐藤進一 歴史学者 大岡  信 詩人・評論家(詩語) 廣末  保 評論家(近松門左衛門) 島田虔次 京都大学名誉教授 亀井俊介 東京大学教授(ジェ 村上陽一郎 東京大学教授(科学、 中野好夫 評論家 シー・ジェイムズ、カウボーイ) 物理学) 林  達夫 評論家 川田順造 東京外国語大学教授(ア 藤田省三 法政大学教授 フリカ、歴史) 古島敏雄 東京大学名誉教授 坂本義和 東京大学教授(世界政 22 12年10月5日金曜日
  • 26. Wikipedia 項目「Wikipedia:検証可能性」 指しています。記事を執筆する際は、閲覧 ペディアの閲覧者層や他の編集者が満足に けをウィキペディアに記載することで、読 者や他の編集者が内容を検証できるよう、 検証することができないから」です。読者 者にも検証可能にするということです。編 en:Wikipedia:Reliable sources(信頼で は、あなたが誰なのかを知りません。世界 集者が独自に検証できるからといって、そ きる情報源)にあたり、出典を明記するべ 中の閲覧者があなたに連絡して確認を取れ れは(一般的な)検証可能性を満たしたこ きです。 るように、あなたの連絡先を載せるという とにはなりません。 この文脈における「検証可能性」とは、編 わけにはゆきません。たとえあなたに連絡 集者が、例えばニューヨーク・タイムズの がとれるようになっていたとしても、閲覧 情報源/ソース [編集] 記事の中身が真実かどうか検証する責任が 者があなたを信じる理由がどこにあるで この件について詳しくは、 あるという意味ではありません。実際のと しょう。 en:Wikipedia:Reliable sources ころ、編集者はその種の調査をしないよう その情報をウィキペディアに載せてよいも (Wikipedia:信頼できる情報源) をご覧くだ 強く求められます。なぜならウィキペディ のにするには、まず、広く信頼されている さい。 アでは独自研究(オリジナル・リサーチ) 報道機関を説得してあなたの話を発表して ウィキペディアの記事は、事実確認と正確 を発表してはならないからです。記事は信 もらわなければなりません。それは、査読 さについて定評のある、信用できる第三者 頼できる情報源が公開している題材だけを を受けるのと同様の過程を経ることになり 情報源に基いて書くべきです。学術的な主 含むべきです。それは個々の編集者が真実 ます。つまり、まず記者、次に編集者、そ 題については、なるべくピアレビュー(査 であると思うかどうかには関係ありませ しておそらくは事実調査員にチェックされ 読)を経た情報源を用いるべきです。ま ウィキペディアに執筆してよいかどうかの ん。直観に反するようですが、ウィキペ るでしょう。もし問題があれば、さらに弁 た、主張する内容に応じて適切な情報源を 基準は「真実であるかどうか」ではなく ディアに掲載してよいかどうかの基準は 護士、そして編集長にチェックされるかも 選ぶべきです(珍奇な主張には強固な情報 「検証可能かどうか」です。つまり、私た 「真実かどうか」ではなく「検証可能かど しれません。このような事実確認とその評 源が必要です)。 ちがウィキペディアで提供するのは、信頼 うか」(真偽よりも検証可能性)なので 価のしくみがあるのは、新聞に正確で公正 ウィキペディア日本語版では、可能な限り できるソース(情報源)を参照することに す。 な記事を載せるためです。 日本語による情報源を示すべきであり、常 より「検証できる」内容だけだということ 検証可能であることと真実であることの違 に日本語による情報源を日本語以外の言語 です。このことをウィキペディアでは検証 いは、次の例で見ればよくわかるでしょ この事実関係を確認するという過程は、 による情報源より優先して使用するべきで 可能性と呼んでいます。 う。あなたは、ある著名な物理学者の「X ウィキペディアでは提供できません。それ す。これは、情報源の資料が正しく使用さ 理論」についてウィキペディアの記事を書 ゆえに、独自研究は載せないという方針と れたことを、日本語版の読者が容易に検証 「真実かどうか」ではなく「検証可能かど いているとします。X理論は査読審査を経 検証可能なことのみ載せるという方針が大 できるようにするためです。 うか」 [編集] て学術誌に掲載されており、したがって 変重要となるのです。(注:要するに、査 ウィキペディアの記事として適していま 読に相当する機能はウィキペディアの外部 百科事典を編纂する際、良い記事を執筆す す。ところが、執筆中にあなたがその学者 に求めよということ) るためには、広く信頼されている発行元か に連絡をとったところ「実を言うと、今で もしもその新聞があなたの話を載せてくれ らすでに公開されている事実、表明、学 はX理論は完全に誤りだと考えていま たならば、ようやくその情報をウィキペ 説、見解、主張、意見、および議論につい す。」と言われてしまいます。あなたが原 ディアの記事に書き込んで、その新聞を情 てのみ言及すべきです。このことをよく理 著者本人からこれを聴いたとしても、彼が 報源として示すことができます。 解することは、良い記事を執筆するために そう言ったという事実をウィキペディアに 分かり易く言えば、検証可能性とは信頼で 最も大切な秘訣の一つです。ウィキペディ 書いてはいけません。 きる情報源(例えば、査読制度のある雑誌 アは、完全で、信頼の置ける百科事典を目 なぜいけないのでしょう。それは「ウィキ や新聞)からすでに公開されている情報だ 23 12年10月5日金曜日
  • 27. Wikipedia 項目「情報」2009年9月2日 (水) 23:55版 情報 情報と意味 [編集] しんだ人間が日常的に用いる情報概念でも 関連項目 [編集] 出典: フリー百科事典『ウィキペディア ここで、情報に「意味」があるとは、その ある。 (Wikipedia)』 事象をとらえる文脈、あるいは視点がある →情報工学 ウィクショナリーに情報の項目がありま この項目では、一般的な意味の「情報」に からであり、情報は、こうした、ある文 す。 ついて記述しています。学校の教科として 脈、視点によって立ち現れてくるものであ 情報処理における情報 情報化社会 2003年に設置された情報(じょうほう)に る。ここで言う、文脈/視点とは「∼に データが復号(デコード)され、データに 情報革命 ついては「情報 (教科)」をご覧ください。 とっての意味」、「∼にとっての情報」の 何かが加わったもの。また、符号化されて 情報技術 「∼」に相当するものであり、情報は本 データになる前の、データに何かが加わっ 情報格差 広義の情報(じょうほう、英 来、常にこうして「∼にとっての情報」と た状態のもの。ここでいうデータは、上記 情報理論 Information)は、人の判断・意思を左 して扱われるものである。 の「情報理論・情報科学における情報」に データ - コンピュータ - 処理系 - 復号 右・決定させるすべての事象である。 これ ただし、通常の会話の中で「富士山」と 相当するものであり、この定義では単純に 計算機科学 - 情報学 - 情報・メディア・コ は一定の文脈の中で意味を持つものを広く 言ったとき、誰にとっての「富士山」か問 情報量ではとらえきれないものが情報とさ ミュニケーション研究 指す概念であり、言語、貨幣、法律、環境 題にされないのと同じ理由で、「情報」が れている。 情報源 - 情報量 中の光や音、神経の発火やホルモンなどの 誰にとっての情報か問題にされないことも →応用情報学 情報 (教科) 生体シグナルを始め、あらゆるものを「情 多い。これは、私たちの意識は、社会的な 情報の散逸 報」とみなすことができる。たとえば、< 視点、社会的な文脈を自分でも気づかない 情報学における情報 インテリジェンス 私>の意識にのぼるあらゆるものは、<私> 形で取り入れてしまっているからである 定義するためにさまざまな試みがなされて 情報機関 にとって意味があるものであり、<私>に (これは一般に、間主観性と言われるもの いる。たとえば、西垣通の『こころの情報 情報戦 とっての「情報」であると言える。 である)。こうした情報は、<社会>に 学』[3]における「それによって生物がパ 情報番組 歴史的には、事象、事物、過程、事実など とっての情報と言うこともできる。こうし ターンをつくりだすパターン」がある。た 情報公開 - 情報公開法 - 個人情報保護法 の対象について知りえたこと、「知らせ」 た<社会>にとっての情報は、それがどの< だし、西垣が同書で「同じパターンでも人 の意味で使われてきたもので、情報学の発 社会>にとっての情報か意識されている場 によってとらえ方が違う」ということを強 脚注 [編集] 展の中で、より広い意味で使われるように 合は、本来の意味での情報と変わらない 調していることからも分かるように、この [ヘルプ] なったものである。 が、グローバル化した一元的な<社会>に 場合、一般的な意味でのパターンというよ ^ こうした情報と意味についての議論は主 一方、今日では、コンピュータによる情報 おいては、情報の「∼にとっての」という り、「パターンについての主観的なとらえ に基礎情報学で扱われるものである. 処理を前提とした情報(データ)が問題に 部分が見えなくなり、そこでは結果とし 方」、「パターンで意味されているもの」 ^ C. Shannon, "A Mathematical されることも多い。情報の本来の定義に基 て、「意味が問題にされない情報」が扱わ というニュアンスが強いことに注意する必 Theory of Communication", The Bell づき、情報とデータを区別して、情報を れることもある。今日のインターネット社 要がある。単純に言えば「意味をもつも System Technical Journal, Vol. 27, 「意味を持つデータ」と考える見方もある 会、グローバル化の問題は、こうした観点 の」が情報だと考えることができる。 1948, pp. 379-423. http://cm.bell- が、こうした分野では、全体的に情報の意 から理解される必要がある。[1] →社会情報学/基礎情報学 labs.com/cm/ms/what/shannonday/ 味が問題にされないことが多いため、結果 shannon1948.pdf として、情報とデータは区別されないこと 情報の定義 [編集] 語源 [編集] ^ 西垣通『こころの情報学』筑摩書房, になる。この場合、情報は「意味が問題に 情報理論・情報科学における情報 情報という語は、明治期の森鴎外による訳 1999, p.32. されない情報」として扱われていることに 出現頻度の対数として測定される情報量を 語という説があったが、実際にはそれより ^ 小野厚夫: 情報小論. 「国際文化学研究」 なり、本来の「意味が問題にされる情報」 もつもの。この定義は、シャノンが定義し も古く、1876年出版の訳書『佛國歩兵陣 (神戸大学国際文化学部紀要)創刊号, pp. とは区別して考える必要がある。 た情報量の概念が基になっているが、シャ 中要務實地演習軌典』において、仏語 1-16, 1994. http://ccs.cla.kobe- ノン自身は情報の定義を明確にしておら renseignement (案内、情報)の訳語と u.ac.jp/Jouhou/kyoukan/Ono/ 目次 [非表示] ず、情報量の測定方法しか論じていない して「敵情を報知する」意味で用いられた joho_rep/940331.html 1 情報と意味 [2]。ここから逆に、情報量をもつものが のが最初である[4],[5]。 ^ 小野厚夫: 情報という言葉を尋ねて(1). 2 情報の定義 情報だとする考え方が生まれてできたの 中国語では、「信息(Xinsu)」という。 情報処理学会誌, Vol.46, No.4, pp. 3 語源 が、この定義である。 「情報(Qingbao)」は、諜報の意味になる 347-351, 2005. 4 関連項目 ビット、バイトといった単位で量を計測で ので、注意が必要である(中国語版参 カテゴリ: 情報 ¦ 情報学 ¦ 知識 ¦ 和製漢語 5 脚注 きるものとしての情報は、すべてこの定義 照)。 によるものである。コンピュータに慣れ親 24 12年10月5日金曜日
  • 28. 平凡社『世界大百科事典』1988 編集方針 《世界大百科事典》の編集方針について に知りたいことについては、利用すること て、近きより遠きへ及ぼした。項目は、日 でその関係を説明しようとした。伝説の重 [現代は情報が多すぎて、また少なすぎる のできる情報が、あまりにも少ないという 本に近いほど多く、記述は、原則として、 要さには特別の注意を払う。たとえば歴史 時代である] ことになる。 日本とのかかわりの深いほど詳細である。 的事実のほとんど何も知られていない小野  一般の市民は、新聞・雑誌・書籍・電波  そういう情報の不足に対応するために たとえば朝鮮半島の歴史・文化・社会にか 小町や弁慶の伝説的人物としての役割を詳 メディアの伝える情報の、いわば洪水のな は、知りたい対象の全体を念頭におきなが かわる項目は、過去および現在の日本語に 述する。 かでくらしている。限られた時間のなか ら、部分的な情報をまとめてゆくほかはな よるあらゆる百科事典のそれよりも、はる [わかりやすさのために] で、どういう本を読むべきか、選択は必ず い。また専門家に、情報の正確さを犠牲に かに多くを採る。また、たとえば西洋の人 1――科学技術上の概念を厳密に定義する しも容易でない。しかも情報の量は、どの しないままで、しかもわかりやすく話すく 物や事件については、その日本とのかかわ ためには術語を用いなければならない。し 領域でも急速に増大し、新しい事実が知ら ふうを求めるほかはないだろう。  百科事 り(作品の翻訳、事件の影響など)をでき かしそういう定義に立ち入る前に、術語を れ、新しい概念が導入され、新しい仮説が 典が、このような現代社会の要請に応じる るかぎり詳しく述べる。 知らない読者にも、近似的な理解、あるい 提案される。非専門家ばかりでなく、専門 ためには、従来の百科事典の改訂ではなく 4――整理とは分類であるが、この事典で は大づかみな要領の会得が可能になるよう の研究者にとってさえも、追いついてゆく て、まったく新たに編集の方針そのものを の分類は、必ずしも従来の慣習に従わず、 な説明を与えることにした。今までの百科 ことがむずかしいだろう。 考えなおす必要がある。この百科事典が、 しばしば叙述の効率を基準として、新しい 事典の、正確ではあっても難解な記述に閉  このような情報量の増大とその広範な伝 多すぎる情報を整理し、細分化された知識 分け方を用いた。たとえば、〈アメリカ合 口した経験のある読者は、この事典を見 達が成り立つための条件の一つが、政府機 をまとめ、専門家の表現を非専門家にわか 衆国〉という国名での記述を抑えて、地域 て、科学技術上の用語のおよその意味をた 関や大企業が経営する大きな組織の活動で りやすくするために採用した方針は、次の や大都市の項目の記述を豊富にする。この ちどころに把握できることに、驚くだろ あることは、いうまでもない。したがっ ようなものである。 方法は、またたとえばアフリカ大陸につい う。 て、市民が受け取る情報のなかには、政治 [整理のために] ても有効であろう。国境の意味は、人種 2――歴史的に、また地域的に、意味を異 的または商業的な目的のために操作された 1――知識の体系については、中心的な概 的・文化的・言語学的・宗教的に、必ずし にする言葉がある。そういう言葉について ものもある。 念の説明を重んじ、技術については、その も決定的でない。 は、語義の変遷や地域差にも立ち入って説  受取り側は、どう反応することができる 原理を重んじた。たとえばコンピューター [まとめのために] 明することにした。その言葉を用いた本文 だろうか。もし右往左往して、しかも受身 について、論理回路の意味を懇切ていねい 1――同じ地域の問題を扱うのに、専門領 の解釈を正確にするために役だつはずであ に操られることを望まないとすれば、多す に解説し、その技術的な細部や応用範囲を 域を異にする委員会の学際的討議を重んじ る。  編集の方針は以上のとおりである。 ぎる情報を整理しなければならないし、特 できるだけ簡潔に述べる。これは幹と枝葉 た。互いに関係のない専門的知識の並列で それがどの程度に実現されているかは、事 にみずからの立場に従って整理しなければ をはっきりと区別するということである。 はなくて、その間の関係を求め、対象の全 典を利用する方々の判断にまつほかはな ならないだろう。 たとえ枝葉にめざましい変化があっても幹 体が見失われないように努めたのである。 い。この事典は、専門領域以外の事物につ  情報または知識の蓄積の、もう一つの条 は変わらないから、この方針は、日進月歩 2――また地域に限らず、他の項目、特に いて、早く、正確な情報を得たいと思う日 件は、専門化である。研究者や技術者は、 の領域で、この事典の記述が古くならない たとえば動植物の名前などについても学際 本国民のだれでも利用することのできる道 いよいよ細分化された領域で、またその領 ということをも意味するだろう。 的な記述を重んじた。したがってこの事典 具である。道具が役にたつだろうことを切 域でのみ仕事をする。そこでは、同じ領域 2――事典は執筆者または編集者の意見を は、動物学者の述べる〈鶴〉に満足せず、 に願う。 の専門家の間でしか通用しない特殊な術語 発表するための機関ではない。しかし特定 同時に民俗学者の語る日本の伝説のなかで 《世界大百科事典》編集長 加藤周一 の体系も発達する。彼らの話は、素人には の立場をとらずに情報を整理することはで の〈鶴〉を併記する。〈鶴〉に関する知識 わかりにくい。またたとえわかっても、市 きないだろう。この事典が基本的な立場と を、たとえば《夕鶴》の理解にも役だちう 民が個人的にも、社会的にも、知りたいと したのは、平和と民主主義と人権の擁護で るようにまとめようとした。 思う事物の全体ではなくて、一面を語るに ある。 3――事実と仮説とを区別したうえでそれ すぎない。情報の洪水のなかで、ほんとう 3――また地域的には、日本を中心とし を関連づけ、歴史と伝説とを峻別したうえ 25 12年10月5日金曜日
  • 29. 平凡社『世界大百科事典』1988 項目「情報」 情報 じょうほう information 報概念の最初の規定である。 しかし同じ容 まではその情報伝達 (複写・翻訳) の機構 開発されつつあるが, 容易には解決されな 量をもっていても,区別されない符号が並 も解明されており, 遺伝子操作は遺伝子情 いであろう。 〈情報〉という語は,広義にはニュースや んでいるのと区別されるものが特定の順序 報の加工にほかならない。  現在,情報伝達の媒体はますます多様化 知識を指すのにも用いられているが, 厳密 で並んでいるのとでは情報の量が異なる。  しかし一般に用いられている情報の概念 し, 速さも量も増大しており,情報処理の には,人間を離れて客観的に伝達・処理が ハートリーは〈心理的要素を考慮に入れて は技術的情報だけでなく, 意味内容を含め 速度や記憶容量も増えているが, 質の向上 できるようになった段階でのそれをいう。 きめなければならない〉として〈情報量〉 たものとして理解されている。 〈情報収 と変換の技術が今後の課題で, 入出力機構 その伝達や処理は元来は人間が担っていた の規定を避けたが, シャノン 集〉とか〈情報の漏洩〉という場合の情報 や翻訳の自動化が開発目標となっている。 ものであるが, 技術発達の過程で,材料加 C.E.Shannonは 48 年,確率pの状態にあ は, 符号だけではなくその符号のもつ意味 質については〈忠実度 fidelity〉の高度化 工から〈物質〉の概念が生まれ, 原動機の る情報量Cを− logpで定義した。 これだ 内容をも指している。 換言すれば,人間の が技術的課題である。 他方で,パターンの 開発から〈エネルギー〉の概念が生まれた と,確率が小さいほど情報量が大きいとい 行動や社会の存続にとって意味のあるもの 意識的変換を情報処理で行う芸術活動や, ように, 通信技術やコンピューターや自動 う心理的事実と合うのである。 この定義に ごとについての〈知らせ〉が情報と考えら 表現形式と意味内容の分離を効果的に生か 制御の発達の結果, 新しく〈情報〉の概念 よれば−符号あたりの平均情報量Hは れているのである。 人文・社会科学におい したパロディなども流行しており, 情報概 が形成されたのである。 情報を生産したり て対象とされる情報の概念も, ほぼこれに 念の果たしている役割は通信やコンピュー 伝達したりするのは制御のためであり, 利 近い。 これはプラグマティックな意味の面 ターや自動制御に限られない広がりをもつ 用しやすくするために保存 (記録・記憶) から見た〈価値的情報〉と呼ぶことができ といえよう。 ⇒記号 情報理論 や加工 (情報処理) も行われる。 現代的意 る。 価値的情報は種々の特質をもっている 味での情報の特徴は,その表現形式と意味 となり, 熱力学でいうエントロピーと同じ が, その第 1 は時間の次元をもつことで 坂本 賢三 内容が分離されうることである。 20 世紀 形をしているので〈エントロピー〉と呼ば あって, 時間とともに価値が減少し (予報 初頭すでにソシュールが言語を記号と見, れる。 ただし熱力学の場合と異なり負号が はその時が過ぎれば価値がなくなる), 未 能記 (シニフィアン signifiant,意味する ついているので〈負エントロピー (ネゲン 来の時間が反映する (将来の目標のための もの) と所記 (シニフィエ signifiレ,意味 トロピーnegentropy) 〉ということもあ 現在の決定に必要な情報が価値をきめる)。 されるもの) を区別していたが,数学や工 る。 統計力学でいうエントロピーが〈無秩 第 2 は,多くのコピーを取ることができ, 学では意味内容は一般的な扱いができない 序性の測度〉であるのに対し, 情報のエン 無限の大量生産が可能であり,複製という のでこれを捨象し表現形式のみを扱う。 こ トロピーは負なので情報は〈秩序性の測 ことの意義が変化する。 物の場合には複製 のように意味内容 (メッセージ) を切り離 度〉といってもよい。 このように量的に定 は偽物であるが,パンチカード, ビデオ して符号 (コード) のみを取り上げた場合 義されることによって, 情報のノイズや テープやフロッピーディスク, コンパクト の情報を〈技術的情報〉という。 フィルタリングの問題が解けるようにな ディスクなどはオリジナルと同じ価値を持  技術的情報は符号の組合せであって一般 り, 代数学を用いた符号化の理論もでき つ。 しかもコピーして譲渡・伝達しても情 的にいえば〈パターン〉である。 情報伝達 た。 技術的情報は符号の系列であるから, 報源から情報は失われない。 第 3 に,情 (通信) や情報処理で扱われる情報はこのパ 情報をベクトルと考えヒルベルト空間の点 報の受取り手も努力を必要とする。 必要な ターンで, 量的に規定することができる。 とみなして幾何学的に扱う信号空間の理論 メッセージを得るためには,大量の情報の 1928 年にベル電話研究所のハートリー もある。 さらに,53 年に DNA の二重ら 中から必要なものを選び出さなくてはなら R.V.Hartleyが, n個の区別しうる状態を せん構造を提案した J.D.ワトソンと ず, 解読のためのコードを知っていなけれ もつ記憶装置は lognの〈情報容量C〉をも F.H.C.クリックは, ガモフの示唆によって ばならない。 前者のためには情報検索 つと定義し, これで測られる量を〈情報 遺伝が情報の伝達であり, ヌクレオチドの (データベース), 後者の場合には翻訳機が information〉と呼んだ。 これが技術的情 配列パターンが遺伝情報であるとした。 い 26 12年10月5日金曜日
  • 30. 考察  Wikipediaと世界大百科事典の項目の作成過程とその結果の項目を比 較すると、Wikipediaがすでに学術利用情報を参照することで作られて いるのに対し、世界大百科事典は、より学術情報に近い位置で学術利用 情報がつくられているように思われる。  学術利用情報も、学術情報に近いところで変換されるものと、すでに 変換されている学術利用情報をさらに変換してあらたな学術利用情報と するものに分かれることを今後考慮にいれる必要があるだろう。  また、Wikipediaが検証可能性を既存の出版システムに求めている以 上、出版システムが機能し続けない限り、Wikipediaもまた危機に直面 する可能性があると思われる。 27 12年10月5日金曜日
  • 31. 今後の課題 各メディア、各社会セクションを横断的に取材、各学術利用情報の生産 過程と、その生産物を分析し、現在分散している学術インタープリター の表現技術を集約する可能性を探る。 あらたな特定の原理に縛られない持続可能な学術情報インタープリター の可能性を探る。 28 12年10月5日金曜日
  • 32. 参考文献 •岩渕秀樹(2004)「サイエンスショップの社会技術的再考−デンマークの事例から−」『社会技術研究論文集』 Vol.2, 30-38, Oct. 2004 •尾暮 拓也・古田 一雄(2008)「オントロジーを利用した分野特化型情報検索技術の社会的実装」『社会技術研究論文集』 Vol.5, 206-215, Mar. 2008 •金本 径卓 , 鈴木 優 , 川越 恭二(2008)「編集履歴に基づくWikipediaにおける記事の信頼度算出手法」『情報処理学会研究 報告. GN, [グループウェアとネットワークサービス] 』2008(7)社団法人情報処理学会 •ギアーツ,クリフォード(1999)『ローカル・ナレッジ』岩波書店 •木村忠正(2008)「解説 ウィキペディアと日本社会―集合知,あるいは新自由主義の文化的論理」『ウィキペディア革命― そこで何が起きているのか?』2008 岩波書店 •佐倉統(2006)「科学技術コミュニケーターの社会的役割と文化論的展望 (特集 理系の説明責任--何を問うべきか)」『科学』 76(1), (881) 42∼47 ,2006/1 •土屋俊(2004)「学術情報流通の最近の動向」(web http://mitizane.ll.chiba-u.jp/metadb/up/joho/ scomm_tutiya.pdf) 29 12年10月5日金曜日
  • 33. 参考文献 •奈良由美子・伊勢田哲治(2009)『生活知と科学知』放送大学教材 放送大学振興会 •長谷川一(2003)『出版と知のメディア論―エディターシップの歴史と再生』みすず書房 廣松 渉(1988)『新哲学入門』 岩波書店 •廣松 渉(1988)『新哲学入門』岩波書店 •藤井 敦 , 三條場 旭彦(2008)「説明の観点に基づくテキストの分類と要約」『 情報処理学会研究報告. 自然言語処理研究会 報告』2008(113)社団法人情報処理学会 •村松秀(2009)「テレビ映像と様々なメディアをクロスさせた科学教育コ ミュニケーションの新手法の開発 : NHK「理科教 育クロ スメディア」の取り組みから」Journal of Science Communication, 5: 117-132 30 12年10月5日金曜日