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Plus de Taisuke Kinugasa (11)
JTAアスリート育成パスウェイ
- 1. 2017/3/19
1
我が国における
アスリート育成パスウェイ
⾐笠 泰介
JSC ハイパフォーマンスセンター
スポーツ開発事業推進部 先任研究員
JTA 強化情報・科学委員
JTAカンファレンス@19Mar17
勝負は僅かな差で決まる
~0.3%パフォーマンスが向上すれば、
メダル獲得率が上がる(Hopkins、2004)
オリンピックで勝つには?
パフォーマンス(競技⼒)
4年後
8年後
12年後
競技開始年齢
8歳前後
オリンピック出場 メダリスト
24歳前後 28歳前後20歳前後
国際⼤会
アスリート育成パスウェイとは
めざす
きめる
ねらう 選⼿団
発掘
育成
強化
めざす
きめる
ねらう 選手団選手団
タレント
ターゲット
ポテンシャル
A
B
C
• 少子化、二極化、寡占化
• 体力低下
• 中学校期の育成環境の不足
• スポーツ選択機会の不足
• 短期的成果を求める指導
• ワールドクラスのコーチ
• ワールドクラスのライバル
• ワールドクラスのチーム
• ワールドクラスの組織
• ワールドクラスの体制
• ワールドクラスの競技会
• ワールドクラスのコーチング
• ワールドクラスの練習
• ワールドクラスのサポート
• 競技活動に専念できる環境や
制度(高等教育機関)
アスリート育成パスウェイは、
まず、夢を⾒ることから始まる
Chester Hill博⼠
UCI & British Cycling
- 2. 2017/3/19
2
スポーツ界で求められるタレント像
求められる、応援したくなる⼈材とは?
ロールモデル:誰もが憧れる模範となる役割を担う
真のチャンピオン:成⻑思考を持つ、スポーツの普遍性、
連携性、協調性、⾃律性、社会的責任の原則を理解した
上で、オリンピック・パラリンピックの7つの価値を体
現できる
圧倒的:トップレベルの、平均から逸脱した
ユニーク:独特の、Xファクターを持つ
誰もが憧れるロールモデルとして真のチャンピオンの
覚悟を持ち、“圧倒的な”パフォーマンスと“ユニークな”
ポテンシャルを兼ね備えたタレント
第1回NPP@ボート
平成25年8⽉25⽇〜9⽉1⽇(8⽇間)
フィル・ボーギニョン
出 ⾝ オーストラリア
所 属 モレシー・ボート・クラブ
ヘッドコーチ
2001年 オーストラリアジュニア ナショナルチーム コーチ
2004年〜2006年 クイーンズランド⼤学にてスポーツ科学、
スポーツコーチング、ローイングの学位取得
(AISスカラシップコーチ)
2013年〜 ロンドンのモレシー・ボート・クラブ ヘッドコーチ
主な実績
2003年 ジュニア世界選⼿権⾦メダル
2004年 ジュニア世界選⼿権⾦メダル
2006年 U-23世界選⼿権⾦メダル
2013年 W杯第1戦、第2戦 男⼦軽量級ペア⾦メダル
グッドコーチの発掘
第5回NPP@⾃転⾞競技
平成27年9⽉19⽇〜23⽇(5⽇間)
ロス・エドガー
出 ⾝ イギリス
所 属 ワールドサイクリングセンター
トラック種⽬コーチ
• TID出⾝の北京オリンピック銀メダリスト
• IF(国際⾃転⾞競技連盟)が所管するワー
ルドサイクリングセンターでコーチで、世
界各国の⾃転⾞のTIDに携わっているコー
チ
ジュニアでもシニアでも実績あるコーチ メダリストの若⼿コーチ
我が国におけるTIDに関する
取組の変遷
2000 -
2004
2005 -
2008
2009 -
2012
スポーツ振興基本計画
(2000)
JISS開所
(2001)
Fukuoka TID
(2004)
Bifuka TID
(2005)
Wakayama TID
(2006) Iwate TID
(2007)
Yamagata TID
(2007)
Yamaguchi TID
(2009)
Tokyo TID
(2009)
Kamikawa TID
(2009)
Nagano TID
(2009)
Saitama TID
(2011)
Kyoto TID
(2011) Miyagi TID
(2013)
Hokkaido TID
(2014)
2013 –
2020
Post 2020??
シンガポールスポーツスクール
にて福岡県・JISSが招聘(2008)
韓国とのTID合同
プログラム実施
(2010)
World LTAD Symposium
(カナダ)にてJSCがプレゼン
(2014)
Talent Identification
Conference(カタール)にて
JSCが招待講演(2014)
ワールドクラス・パスウェイ・
ネットワーク設立
(2015)
文部科学省委託事業「メダルポテンシャル
アスリート育成システム構築事業」を受託
(2012、2013)
パラパスウェイ
勉強会始動
(2015)
スポーツ基本法
(2011)
スポーツ基本計画
(2012)
エリッサ・モーリー女史、モラグ・クローサー女史
(AIS・TIDコーディネーター)招聘(2004)
RTID始動
(2014)
オリNTID始動
(2012)
Rugby
Hirao Project
(1996)
Akita TID
(2009)
Kochi TID
(2009)
Kagawa TID
(2009)
SATセミナー(タイ)にて
JSCが招待講演(2016)
TIDカンファレンス(シンガポー
ル)にてJSCが招待講演
(2016)
パラNTID始動
(2016)
⼀貫指導システム
スポーツ振興基本計画(2000年)
「トップレベルの競技者を組織的・計画的に
育成するため、⼀貫指導システムを構築す
る 」
⼀貫指導とは、「世界クラスの競技能⼒の開
発を⽬指して、競技者の成⻑と発達に対応し
ながら、その可能性を最⾼度に開発するため
に、発掘、育成、強化の全体を通じた共通の
理念と指導カリキュラムに基づいて、それぞ
れの時期に最適な指導を⾏うこと」
⼀貫指導システムとは、「⼀貫指導を実施す
るために必要な資源・要素・条件の仕組みお
よびそれを活性化し、効果的に運営するため
の仕組み」
地域タレント発掘・育成事業の連携・協働体制
◎
◎
◎
◎ ◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎
◎◎
◎◎
◎
◎
◎ ◎
◎
北海道(2014)
種目特化型
(カーリング、スケルトン、バイアスロン)
美深町(2005)
種目最適(転向)型
(エアリアル)
上川北部(2009)
種目特化型
(冬季5競技種目)
秋田県(2009)
種目特化型
(フェンシング、ライフル、スピードスケート)
岩手県(2007)
種目適性型+種目特化型
(5競技種目)
宮城県(2013)
種目適性型
栃木県(2016)
種目適性型
山形県(2009)
種目適性型
長野県(2009)
種目特化型
(冬季10競技種目)
埼玉県(2011)
種目適性型
東京都(2009)
種目最適(転向)型
(7競技種目)
三島市(2015)
種目適性型三重県(2016)
種目特化型
岐阜県(2015)
種目適性型
京都府(2011)
種目特化型
(フェンシング、バドミントン、カヌー)
山口県(2009)
種目特化型
(レスリング、セーリング、フェンシング)
福岡県(2004)
種目適性型
高知県(2009)
種目適性型
香川県(2009)
種目適性型
和歌山県(2006)
種目適性型
佐賀県(準備中)
大分県(2015)
種目特化型
(6競技種目)
宮崎県(2015)
種目適性型
愛媛県(2015)
種目適性型
Aカテゴリー
(16地域)
Bカテゴリー
(8地域)
東北
ブロック
東北
ブロック
九州
ブロック
九州
ブロック
北海道
ブロック
北海道
ブロック
世界の動向:TIDの国際モデル
国 プログラム
AUS Talent search
eTID
FTEMフレームワーク
GBR Sporting Giants, Girls4Gold,
Pitch2Podium, Tall and Talented, Fighting
chance, Paralympic Potential,
Power2Podium
SGP National Youth Sports Institute (NYSI)
Singapore Sports School (SSP)
Junior Sports Academy (JSA)
Youth Sports Academy (YSA)
QAT ASPIRE Academy for Sports Excellence
- 3. 2017/3/19
3
NFのTIDへの取組
競技団体 名称 実施年
⽇本ラグビー
フットボール
協会
平尾プロジェクト 1996
セブンズアカデミー 2009〜
⽇本サッカー
協会
スーパー少⼥プロジェクト 2004〜
“未来のなでしこ”セレクション 2012〜
⽇本バレー
ボール協会
バレーボールアカデミー(⾙塚ド
リームス)
2005〜
2012
JVA男⼦・⼥⼦
エリートアカデミーオーディション
2011〜
⽇本バスケッ
トボール協会
ジュニアエリートアカデミー(ビッ
グマン)
2012〜
⽇本⾃転⾞競
技連盟
Girlʼs Summer Camp 2010〜
⽇本ボブス
レー・リュー
ジュ・スケル
トン連盟
選⼿発掘トライアウト
2009
2013
⼀地域や⼀競技団体だけではアクセス
できる⼈材(タレントプール)や活⽤
できる資源(拠点や資⾦等)には限り
があり、ドナー(提供者)・レシピエ
ント(受容者)型の連携の中で、包括
的かつ系統的な新たなアスリート育成
パスウェイの開発が求められている
2008年北京オリンピックと2012年ロンドンオリンピック
メダルポテンシャルアスリート(MPA)数と
メダル獲得成功率の現状
2008年
北京前
WC成績
2012年
ロンドン前
WC成績
アメリカ 200 (29%) 193 (38%)
中国 162 (35%) 158 (41%)
イギリス 109 (32%) 114 (36%)
⽇本 71 (20%) 84 (32%)
(JSC情報国際部調べ)
なぜ国の事業として
アスリート育成パスウェイが
求められているか
スポーツ基本計画(平成24年3⽉)
「4.国際競技⼒の向上に向けた⼈材の養
成やスポーツ環境の整備」の政策⽬標
• 「国は、中央競技団体がメダルを獲得できる潜
在的な能⼒を有するアスリートの発掘・育成・
強化を図り、トップアスリート層を厚くしてい
くような育成システムを⾃⽴的に構築していく
ため、JSCと連携する」
• 「国及びJSCは、中⻑期的な視点から、将来性
豊かなジュニアアスリートを発掘・育成してい
くため、その育成システムを⽀援する」
当該スポーツ実施者
ユース
ジュニア
カデ
など
トップ候補
アスリート
トップ
アスリート
国際競技⼤会⼊賞
(8位以内)
国際競技⼤会9〜16位
アジア⼤会等国際競技⼤会出場
年代別代表選⼿
年代別世界選⼿権・YOG出場
広域ブロックタレント
地域TID事業タレント
地域の有望者
年代別強化指定選⼿
地域の⼦ども層等
パフォーマンスパスウェイ下位⽬標従来の強化基盤
- 4. 2017/3/19
4
FTEMフレームワーク
めざす
きめる
ねらう 選⼿団
かえる
合同トライアル
ナショナルタレント発掘・育成プログラム
National Talent Identification & Development Programme
種目最適型プログラム
Gateway
ターゲット種目:カヌースプリント、自転
車(トラック種目)、7人制女子ラグビー、
女子スケルトン
NTC以外にも包括連携大学を活用し
た発掘プログラムの開発・実施
九州、東北、東京(JISS)にて不特定多
数の競技団体によるオーディション型の
発掘プログラムを展開
オンライン登録型の発掘プログラム。
長身者をテーマに、登録競技団体(6
団体)の発掘プログラムや各種NTID
プログラムへとつなげる
アスリート育成パスウェイへの入口と、メダルまでのファストトラック(短期育成)という
「選択の機会と場の提供」
育成プログラムへとつながったタレント9名
• ボート:女子1名
• 7人制女子ラグビー:2名+委託2名
• 自転車(トラック):男子2名
• カヌースプリント:女子1名、男子1名
約500名
→JSCデュアルキャリア調査(2014)におけるオリンピアン263名のデータを分析
⽇本におけるパスウェイ軌跡分析
ユース年代を⽀える⼈たち
JOC調査、⾐笠と広瀬(2014)
アスリートライフスタイルのフレームワーク
アスリ ート
と し ての
コ コ ロ エ
アスレ ティ ッ ク
ラ イ フ
ソ ーシャ ル
アスリ ート と し てのコ コ ロ エ( 大切にし たいこ と )
競争心, チャ レ ンジ、 創造性
立ち 直る力, リ スペク ト など
アスレ ティ ッ ク
( スポーツ に関わる こ と )
ト レ ーニン グ, 試合, リ カ バリ ー
アン チド ーピン グなど
ラ イ フ
( 生活や人生に関わる こ と )
目標設定、 タ イ ムマネジメ ン ト
キャ リ アプラ ン ニン グなど
ソ ーシャ ル( 社会性に関わる こ と )
人と のつき 合い方, 社会的な責任
お金の管理や使い方など
アスリ ート ラ イ フ スタ イ ル
意思決定, 課題解決, 自立
何をするのか?
- 5. 2017/3/19
5
メダリストの特徴
(JSCスポーツ開発事業推進部調べ)
McCraw(2009)
17.6
20.8
23.0
26.7
16.3
19.0
20.9
24.3
15
20
25
30
ITFプロランク ATP/WTAトップ100 ATP/WTA最⾼ランク ATP/WTAトップ100平均
年齢(歳)
2年以内
4.3年間
3.7年間
1年後
ATP・WTAトップ100プレーヤーパスウェイ
ATP・WTAトップ100プレーヤーパスウェイ
Reid & Morris (2013)
• 2009年ATPトップ100プレーヤーの平均年齢:26.8±3.2歳
→ 80年台と⽐較して平均年齢が3歳アップ(Gallo-Salazarら, 2015)
→ 男⼦と⽐較して⼥⼦の平均年齢は1.2歳アップ
• ATPポイント獲得年齢:16.9±1.2歳→4.5±2.1年かけてATP100プレーヤー
に
• プレーヤーパスウェイとして、ITFジュニアサーキットの位置づけは重要
→ ATPトップ100プレーヤーの91%がITFジュニアのランク有り
→ しかし、ITFジュニアサーキットでの成功が、その後のATPでの成功には結び
ついていない
→ 男⼥ともにITFジュニアトップ20が⼀つのベンチマーク(Reidら, 2006;
2009):男⼦の45%及び⼥⼦の61%がATP/WTAトップ100に
勝ち続けるためには
1.コーチ
2.育成環境
3.タレント
Over-supply
Under-supply
Chance
パスウェイ=タレントのサプライチェーン
“Optimal” supply chain
(王道)
促進要因(Promotion factors)
環境要因 個体要因
阻害要因(Distractions)
環境要因 個体要因
出⼝戦略
⼊⼝戦略
NTC
競技別アスリート育成パスウェイの
⾒える化と共有化
NTID
ジュニア
強化A指定
ジュニア
強化B指定
ジュニア
強化C指定
ジュニア代表枠
(◯名)
地域の⼦ども層等
北海道
東北
関東
東海
近畿
中国
四国
九州
トライアウト
NF育成事業
対象:16〜19歳
◯◯名
ナショナル
チーム
強化A指定
強化B指定
シニア代表枠
(◯名)
新たな⼈材プール
オリンピック・
パラリンピック
世界選⼿権
Wカップ
国体
競技会
記録会
全⽇本選⼿権
薄⾚:TID/選抜⼤会
茶:拠点
⻩⾊:NF独⾃事業
緑:NF強化指定制度
世界ジュニア
インターハイ
全中
パフォーマンス
パスウェイ
競技⼈⼝
(◯◯◯名)
競技会
パスウェイ
拠点
パスウェイ
NF育成事業
対象:16〜19歳
◯◯名
⾚:JSC事業