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ImageJ を使った画像解析実習
2値化・領域抽出
第194回農林交流センターワークショップ
「 植物科学・作物育種におけるフェノーム解析
- はじめて画像解析を行う研究者のための入門実習 - 」
2015-9-17 16:15-17:15 (実習60分)
実習主担当 長野 智晃
エルピクセル(株)
画像全体の情報を見る
• ここまでで、
– 画像のサイズ(640x480等)
– ピクセルタイプ (8bit gray scale、24bit RGB
etc.)
– 各ピクセルの輝度
の調べ方を学んだ。
• 画像データにもう少し有効な情報としては、
「輝度ヒストグラム」等がある。
輝度ヒストグラム ( h キー )
h
位置情報を無視した上で,全画素について
輝度の分布を可視化したもの.
輝度の基本的な統計量(最小,最大,平均,
標準偏差等)も表示されている.
RGB輝度ヒストグラム (h キー+RGBボタン)
RBGでサイクル
Brightness & Contrast による表示状態の変更 ( Shift + c キー)
スライドバーを動かすことによる調整は,表示上の"明るさ"を
変えているに過ぎない.→ 輝度は変化しない.
8-bit 画像の場合は Apply ボタンを押すことによって,その時の
表示範囲が0~255にスケールされる.→ 輝度が変化する.
真っ白
真っ黒
画像の一部の情報を見る
• 画像全体ではなく、画像の興味ある部分
(ROI, region of interest)の情報が知りた
いことが良くある。
• ROIの指定法は次の演習で詳しく行うが、
ここでは「線状ROI」を使った小技を紹介
する。
輝度プロファイル (ROI + k キー)
線分上の輝度を「形 (プロファイル)」として可視化.
横軸が距離 or 位置,縦軸が輝度.
→多重蛍光標識像から局在関係を示す直観的手法として
利用可能
ドラッグして線を引いてから「kキー」を押下
RGB別 輝度プロファイル (ROI + kキー)
Plugins > Graphics > RGB Profile Plot
RGB 信号のうち主に Blue が果皮の位置により
変化していることがわかる.
その他のメニューバー項目
Edit メニュー: 画像の切り貼り,描画
Undo: 直前の作業の取消し.
1ステップ限定かつ
一部のみ対応.
Cut, Copy, Paste:
画像の切り貼り.
対象は画像全域かROI .
Copy to System:
他アプリへのコピー.
Clear, Fill, Draw: 単色描画.
Color Pickerで色は設定.
Selection: ROI の制御.
(Selection = ROI)
Add To Manager:
複数のROI を管理.
Image メニュー: 種別,色,スタック,変形,複製等,色々
Type: 輝度タイプの変換.
8-bit, 16-bit, 32-bit, RGB color...
Adjust: 表示上の明るさの調整や二値化等.
Color: グレイスケール画像とカラー画像の
変換等.
Stacks: 時系列画像(動画像),立体画像の
処理.輝度投影,スライス一覧(montage)
の作成等.
Crop: ROI 部分の切り出し.
Duplicate: 画像ウインドウの複製.
Rename: 画像ウインドウのタイトル変更.
Scale: 画像解像度の変更.つまり画像サイズ
の拡大・縮小.
※表示の拡大・縮小と混同しないよう注意.
Process メニュー: 基礎的な画像処理(フィルタ等)
Find Edges: 輪郭強調.
Binary: 2値画像(白黒画像)処理.
Math: 加減乗除等による
各画素の輝度変更.
Filters: ノイズ抑制等のフィルタ.
Image Calculator:
画像と画像の間
の演算.
加減乗除等.
Analyze メニュー: 測定やグラフ関係
Measure: ROI 部分の諸パラメタの測定.
Analyze Particles...: 粒子解析.
Set Measurements...: 'Measure' で測定する
パラメタの選択.
Set Scale...: 1画素が何 µm かを設定する.
Histogram: 輝度ヒストグラムの表示.
Plot Profile: 輝度プロファイルの表示.
他のメニュー
Plugins: プラグイン,マクロ,ショートカット
キー設定等.
Window: 画像ウインドウ,ログウインドウ等
の一覧や並び換え.
Help:ブラウザにウェブ上のマニュアルを
表示する等.
手作業でのROI設定を介した形状解析: 長さ
線分や曲線をマウスで引き, t キーで ROI Manager に登録,を繰返す.
ROI Manager の「Show All」をチェックしておくと見やすい.
Measure ボタンで登録済の ROI 全部をまとめて測定.
角度や長さ(画素単位)が得られる. Excel等でμmに変換し,統計処理.
Excel 等にペースト or
テキストファイルに保存して
R スクリプトで統計処理 等.
t
ROI: region of interest,関心領域,注目領域
手作業でのROI設定を介した形状解析: 面積
or
測定項目は Analyze > Set Measurements... で決定.
「測定対象領域をマウスで指定し,
t キーで ROI Manager に登録」を繰返す.
Measure ボタンで測定.
t
二値化による領域抽出 ( Shift + t キー)
or
蛍光像の場合,「高い輝度の領域」が「測定対象領域」の
場合が多い.閾値となる輝度を決め,二値画像(白黒画像)
に変換することで,領域抽出(領域分割, segment)ができる.
ではどのように閾値を決めればいいのか?
グレイスケール画像
(濃淡画像)
二値画像
(白黒画像)
人間の目視による閾値決定
作業者の感覚が頼り.
同じ人が作業しても,
閾値が同じになるとは
限らない(部屋やモニタ
の明るさの影響など).
Threshold ウインドウでは,
人間による閾値決定だけでなく
自動閾値決定もできる.
右図のように,
複数のアルゴリズムから選択する.
いずれも輝度ヒストグラムをもとに
「ある明るさ」を閾値として
背景と背景(解析対象)を分ける.
画像自体と解析対象に関する
輝度分布の性質によって,
適切なアルゴリズムは異なる.
※形状情報は用いていない.
→ 前処理による
ヒストグラム形状の変化
自動閾値決定
2値化後はツールバーの wand tool を用いることで簡単に
ROI設定を行うことができる
2値化後のROI設定
Analyze -> Analyze Particles を用いる方法
2値化後のROI設定の自動化
File -> Save As -> Selection
ROI設定を保存できる
拡張子は .roi
File -> Open で roi ファイルを開くことで読み込むことができる
1から複数のROIを保存する場合は、ROI Manager から行う
ROI Manager -> More -> Save
拡張子は .zip
(ROI を選択していると、選択したROIだけが保存されるので
注意、deselect を押してから保存すると安全)
File -> Open 又は ROI Manager -> More -> Open
から読み込むことができる
ROI設定の保存

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